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◎私の詩すべて◎

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切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
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#生き方

なくならない世界

すべてのものは過去にはならない 時間はただの位置でしかない 古くなるなんて錯覚だよ 脳は現在も過去も区別しない 好きな電気は何度でも 脳に読み聞かせてあげて 君の好きな世界は いつもここにあるよって安心させてあげて あの歌はいつでも歌ってくれる あの物語はいつも仲間に入れてくれる あの人との思い出は無くなったりしない 君が愛しく抱きしめるかぎり 君の好きな世界は ずっと一緒なんだよ

いつまでも続くパーティを

何度だって遊ぼう。 たくさんおもちゃを作ろう。 あれもこれも歌って踊ろう。 ぬいぐるみを抱きしめよう。 何度だって旅に出よう。 夕日は明日も明後日もいつまでも見よう。 好きなだけ卵を焼こう。 ピクニックもあちこちでしよう。 何度だって好きな言葉を口にしよう。 一人ぼっちで誰にも聞こえなくても。 君の名前も時々呼ぶよ。 自分には「大丈夫だよ」って言おう。 何度だってパーティしよう。 すべてが消えて無くなっても。 壊れた人形になるとしても。 いつまでも笑っていよう。 嬉し

星のきみ

明日にも世界が終わるなら 名も無いきみに会いに行こう ぼくにとっての何なのか 名は無いとしてもうつくしい かすかな光でかがやくきみよ 世界の終わりの明日の日に きみがすべてを手放して ぼく一人を待つのなら 迷わず走って会いに行く 辿り着けないと分からずに 遠いきみを抱けるのだと 愚かな願いの離せぬままに ぼく一人を待つきみが そこに居たなら命など かまわず向かって行けるのに どこにも見えないぼくのきみ 名も無いきみはいつまでも ぼくの夢に生きていて 明日にも世界が終わる

やすらかにおやすみ

夢の中でだけは 仲良しでいてね 顔を合わせず 手にも触れず 見えない命であろうとも 君は僕が描く 限りなく終わりなく 思うままにあらわす 月の裏の廃墟を歩く 人のいない静けさ 手を繋いでどこまで 終わらないお話 疲れたらひとやすみ 好きな色を食べたなら また少し踊ろう まどろみの来るまで 甘やかしふざけよう 夢の中で夢見る 時は経たず漂う 目を開けばいつでも 優しく笑う君だけ 何もかもを忘れた 遊びだけの舞台で 何度でも繰り返し 不思議な話つくろう 僕が全て描く 君を

会いに行くから生きていて

僕を必要とする君が 僕の名前も知らぬまま 一人でうずくまっている 抱きしめに行かねばならない 立ち止まっている暇は無い 目に見えるところにいる人が 僕に役を求めない 必要ないのだと 潰れそうになる けれどどこかで 僕を必要とする君が 僕の姿も知らぬまま 一人で潰れそうになる 手を繋ぎに行かねばならない 僕が潰れたら守れない 目に見えるところに生きる理由 今日もつくれない 息が苦しくて 眩暈までする けれどどこかで 僕の愛すべき君が 愛されると思わぬまま 一人で狂いそう

君の声の届く場所

君の声の届く場所に居たい 僕はいつでも振り向いて 抱きとめてあげる 君の望みの中に 僕は在る 君の声の届く場所に居よう 僕は君を探さずに 声だけ覚えている 君が鳴くとき 僕も鳴く 君の声の届く場所に居ても 僕は時々僕を忘れ 静かに眠るよ 君も世界から 居なくなる 君の声の届く場所に居られず 僕は一人ぼっちでも 怖さに耐えるよ 君が僕のこと 忘れても 君の声と会えて嬉しかったの 僕は何の役も果たせず 一夜の夢として 君をすり抜ける 寂しいね 君の声の届く場所に居たい

すべてがしあわせ 苦しみも悲しみも痛みも涙も 美しさに屈服させられるのならば ぼくの画面を汚す色さえ無ければいいの ぼくの好きなあなたという色をくれ 美しい画面を、舞台を、 描くためだけにぼくの命は有る