選び服を着る
春がきた。
だからどうと言うことは特段無いのだけど、兎に角春が来た。
とくに今日なんかは物凄くちょうどよい温度をしている。
そのせいか朝7時半なんかに目が覚めた。そういう時は大体朝の支度がだらついて、結果としていつもとそんなに変わらない時間に家を出ることになる。例に漏れず今日もそうなった。
仕事場に着ていく服の正解が未だに分かっていない。
私服で勤務する仕事であり、さらにそのなかでも超自由度がある方だと思うので、実際のところ正解はない。いきなり髪色がピンクになってもそんなに違和感の無い職場だし。
ただ、私服はどうしてもその人の個性や嗜好が出る。人間として見られた時の判断材料にされると思うと、生半可な気持ちで選べない。
「人は外見が9割」という言葉を鵜呑みにはしないが、外見に内面の要素が全く含まれないという事はない。ジャージで高級料理店に入れる人間が恥ずかしがり屋だと聞いて信じられる人間がいるだろうか?
そんな事を言いつつも、結局服装に多大な注意を払っているのかと言われればそういうわけでもないのだ。
自分が服を着るときの最終要因はほとんど諦めに近い。「考えても仕方ない」「そもそも選べるほど服がない」という後ろ向きな決定を毎日している。
スティーブ・ジョブズが同じ服を何枚も持っていた話を聞いたけど、かなり理にかなってるな~と思うと同時に、自分は出来ないなとも思った。
それをしたら多分、「あの人毎日同じ服着てね?」と思われそうなことに耐えられなさそうな気がするからだ。これもまた自意識的後ろ向き要因。
ただ、前向きな思いとして、まだぎりぎり服を選ぶことを楽しめるかもしれないという希望を持っているのも事実としてある。
人の内面が外面に表出するように、外面が内面に与える影響は必ずあるし、なにより着飾ること自体は楽しいものだと思う。
そもそもそう思ってなければ服装で悩んだりしないか。
一度でいいから、めちゃくちゃゆっくり服を選んでみたい。
できれば店員がいない店で。大多数のオタクの例に漏れず、服屋の店員を異常に怖がっているので、出来ることなら遭遇しない状況がいい。
ゲーム内で服を選ぶのが好きなのは、一瞬でいろんな服を着れるのと、店員に話しかけられないからかも。
現実は、恐れをなしながらも勇気を出して店員に声をかけ、試着室に服を持っていき、まだ買ってもいない服に気を使いながら試着し、似合わねえな…とか着られてるな…とか思いながら服を返すという超絶だるい作業が待っている。
もしかして服を選ぶのが本当に好きな人は、この過程すらも楽しんでたりするのだろうか?
もしそうだとしたら、おみそれする。おみそれする、という使い方があるのかは知らんけどそのくらいの気持ちだ。
逆に、実は皆だるいと思ってるとしたらそれはもうビジネスチャンスだ。
店員がひとりもいない服屋を建てよう。
ちょっと想像しただけですごいいろんな問題が目に浮かんだけど、誰しも最初に不可能だと思ったことを成し遂げた人間が、いつだって成功者となる。
なので、誰かどうか、個室服屋を作ってください。お願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?