キケロ「老年について」#09 新しいスキルを身につける

 老人は、のろまで弱々しい、などと言う人もいるが、とんでもない、老人たちは、若い頃と同じように何かに熱中することで、どれだけ活動的になり得ることか。
 それだけではない。人はどんなに年をとっても、新しい何かを身につけようとする姿勢を失ってはいけないよ。
 アテネのソロンが詩の中で「年老いてから、毎日何かしら新しいことを学んだ」と自画自賛しているのは知っているね。私も同じことをしようと思って、年をとってからギリシャ語を独学したんだ。
 まるで長年の渇きを癒そうとするかのように夢中になった。今こうして、いろんな例を挙げることができているのもそのおかげだ。
 ソクラテスは年をとってから竪琴を弾けるようになったらしい。私もなにか楽器を弾けるようになれればよかったのだが、ともあれ、私は文学だけには打ち込んだと言えると思うよ。


※文学、そして音楽、年をとってから没頭するものにこれ以上のものはないかもしれませんね。私も楽器が弾ける友人のことをとても羨ましく思います。若いときにやっておけばよかったなぁ。友人たちは今からでも遅くないと言ってくれますが、上手になるために必ず必要な、基礎練習を繰り返し繰り返ししんぼう強く続けられる自信が私には全くないのです。

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