キケロ「老年について」#08 賢明な老人と心根のよい若者

 ある作家が「若者からみると、老人の最大の不幸は、自分は退屈なのではないかと感じることだろう。」と書いているが、冗談じゃない、退屈だなんてことはまったくない!
 年寄りは若者にとってお荷物などではなく、若者が付き合っていて楽しい存在にもなり得るのだよ。
 賢明な老人は、心根のよい若者といっしょに楽しくすごし、そして若者から敬意と親愛の情を受け取ることで、自らの老境までもが軽やかになったように感じるものだ。
 また若者も、賢明な老人から、「徳」に近づくにはどうしたらいいかという知恵を与えられ、それが喜びとなるだろう。
 若き友人たちよ、私は君たちといっしょにいるのが楽しい。君たちも同じくらい楽しんでくれるといいのだがね。


※論語の中にも、孔子が自分の理想を述べた場面がありますよね。
 気のおけない古参の弟子である子路と顔淵に「ひとつ先生の志を聞かせてください」と言われ、「そうだな、わしは、老人からは安心されるように、友人からは信頼されるように、若者からは慕われるようになりたい。」と答えたとのこと。
 この前には子路と顔淵が自分たちの理想を述べているわけですが、それと合わせて、私はこの師弟のやりとりがなぜか心にジ~ンときます。とってもうらやましい(笑)。

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