キケロ「老年について」#14 老人に身体的強靭さを期待する者はいない

 年をとると身体が弱ってしまうということは事実だが、そのどこに問題があるのだろうか?
 老人には誰も肉体的強靭さなど期待していない。高齢者は法律でも慣習でも、体力が必要になるような責務は免除されている。社会から、老人にできない仕事はしなくてよい、いや、できる仕事ですら強いてやることはないと思われているのだ。
 確かに、普通の仕事でもこなせないような病弱な老人は多い。中には、自分が生きるのに必要なことさえできなくなっている老人もいる。しかしこれは老齢だからといことではなく、年齢に関係なく病弱な人なら全般的にそうなのではないかね。
 若者でさえ、生まれつき虚弱体質な人は病気がちなのをどうすることもできない。そうであれば、年をとって身体の強さを失うことは当たり前で何の不思議もないことだ。
 しかし、高齢になっても、運動と自己管理によって、相応の体の調子を保持してしっかり責任を果たしている人もいる。

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