【ネタバレ】アナと雪の女王2 感想・考察・解説
アナ雪2、見てきました。
あ~なるほど~こうなるのか~と思っていろいろ考えながら見て考察したのでまとめときます。
前提としてアナ雪1も2も女性向けのストーリーだと思っていて、なので男性はそんなに感動しないのかなと思ってます。(ていうかディズニーのプリンセスものは全部そう)
女性向けストーリーってどういうものかと簡単に言うと「あるべき本来の姿に戻る」がテーマで、このテーマはプリンセスストーリーの王道です。逆に男性受けするストーリーは「成長・獲得・レベルアップ」みたいな感じですよね。女性向けは、能力とかは最初から全然変わらないけど、心の成長やささいな気づきで「ここが私の居場所だったんだ!」「今までがおかしかったんだ!」というふうに人生が好転する、というストーリーですね。
若干余談ですが、アナ雪は1も2も女性向けセールスで言われるプリンセスマーケティングのまんま上をなぞるようなストーリーです。男性で全然理解できなかったという人は名著、プリンセスマーケティングを読んでみると非常に理解しやすいと思います。↓↓
それはさておき。
2は一言でいうと、「自己実現・自立・本来の居場所を取り戻す」というストーリですね。
それを踏まえて、先に1を振り返ります。1からの線でみると2の妥当性がわかるので。
てことで本編行きます。
アナ雪1の捉え方
先に一作目がどういう物語だったかを復習しておきましょう。
・エルサ「私のチカラ、みんなにバレたくない!バレたら恥ずかしい!」
・エルサ「バレちゃった!あわわわわ!逃げよう!」
・エルサ「ここは私一人だけの城!ここでならありのままの自分でいられる!!これが私!私はこのままでいいの!ほっといて!」(♪ありの~ままの~)
・アナ「エルサのチカラは恥ずかしいものじゃないわ!みんなエルサのことが大好きよ!
・エルサ「そんなわけない!ほっといて!」
~いろいろあって愛に気づく~
・エルサ「つまり愛なのね!」「そう!私たちに必要なのは愛なの!」
END
↑こんなかんじですよね。
つまりアナ雪1は『自己肯定』と『他者からの承認』の物語なんすよ。
一番共感をよんだのは「ありの~ままの~」のシーンだと思ってて、あれってまさにエルサの自己肯定のシーンですよね。
自己肯定感があまり高くない人ってマスだとおもっていて、そんな人たちに、「今のままの私をまずは自分自身が認めてあげるんだ!私は自由だ!」というメッセージがぶっ刺さったのかなと思います。
この段階では、エルサは自己を肯定できるようになって精神的な自由を手にしたものの、ひとりで勝手に「私はこれでいいの!!!」とおもってるだけで、それを他者に認めさせたり、人の群れの中で「これが私!私は私!」と発するには至っていません。
そこに「勇気を出して!エルサ!一緒に外に出よう!」と無限回励ましてくれるのが妹のアナです。
そして最終的には「これが私よ!」を外に出せるようになってみんなと幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
これがアナ雪1だと僕は思ってます。
じゃあこのあとアナ雪2は何をテーマに描くのか?と考えるともうそりゃこうなるよなという感じなんですよね。
アナ雪はマズローの5段階欲求を順に上がっていく話
心理学の最前線ではマズローの図はもう全然使われてないらしいんですが、説明には便利なので引用します。
これです↓
これでいくと、アナ雪1のエルサは「自我の欲求」の段階にいます。
自分で自分を承認し、最終的には外からも承認されてることに気づいてよかったねというのが1。
じゃあ続編をやるなら、つぎはもう一個上の「自己実現欲求」のはなしになるよねということですね。
具体的に見ていきましょう。
ずっとどこかに行きたがるし、独りで行きたがるエルサ
物語中、エルサはとにかく単独行動したがります。
エルサは、冒頭からずっとどこからともなく聞こえる声に呼ばれている気がしています。
作中では、
「私は他の人とは違うとずっと思っていた」
「(他の人と違う私には)ふさわしい居場所があるんだ」
「その居場所への未知への旅へ行きたくてしょうがないんだ」
「いかなくちゃ」
といったかんじでエルサはグイグイいきます。
エルサは1の終わりの段階で、ありのままの自分をだせるようになって、自分らしさを見出している状態の人間です。そして、自分らしさに向き合うと、私の居場所は明らかにここではない、もっとふさわしい場所があると感じています。
さらに面白いのは、エルサは積極的に妹のアナを置き去りにしようとし続けます。
逆にアナは、エルサについていこうとし続けます。
これ、1と立場が逆なんですよね。
1は、歩むべき道を知っていたのはアナでした。だからエルサの背中を押し続けていた。
2では、エルサはずっと自分の行くべき道へ進もう、進もう、とし続けて、むしろアナが「心配なの!」とかいって足を引っ張るという形。エルサは「この道は魔法の道。魔法が使える私一人で行くべき」と思っていて、客からみてもそれはそのとおりです。
エルサは自立の道が見えてる人で、アナはまだ見えてない人なんすよね。
そしてエルサが勝手にスタコラサッサと行ってしまって、いろいろあって氷漬けになり戦闘不能に。その結果としてオラフがきえちゃいます。
オラフという支えを失ったアナは、そこではじめて「ひとりで歩いていかなくちゃ」という気持ちになります。アナの自立です。
ここで気づいたんですが、オラフはエルサからアナへの親愛のメタファーなんですね。オラフに命を吹き込んだのエルサだし、幼い頃の二人の仲良しの証としてのオラフでもありますよね。
エルサが一人上京しちゃって、連絡も全然くれなくて寂しくて私一人だ...みたいなことです。
アナ雪1でも、たった一度くじけたアナを励ましたのはオラフだったし、アナがエルサを支えているようにみえて、アナもエルサに支えられていたんだね、と読み取れるのかな...と。
それでエルサとアナが自立してそれぞれの道を歩むんだけど、道中も結局助け合うし、エンド手前で新愛の証オラフも復活、それぞれ別の職業についても、花金にはジェスチャーゲームを嗜むなど、関係性はかわっても愛は永遠、ズッ友だよ!
でエンドなのかな...と思いました。
なんとなく、ベンチャーを共同創業した2人が一旦は解散してそれぞれ会社を立ち上げたけど、その後も投資家紹介し合ったり、たまには飲みに行って刺激し合う、みたいな感じしますよね。
1よりは響かなさそう
こんなかんじで、よくできたプリンセスストーリーだなと思います。
プリンセスストーリーは、こんな比喩だらけで、女性はこれを見ていて本当に感動するのか?と毎回思っちゃうんですが、まあ生き様でみせれば共感できるのかもですね。
一方で、自己肯定の段階をこえて自己実現に向かっている人って、そんなにいない気がしますよね。
自己肯定のとこでとまってる気がします。すくなくともアナ雪1のときはそうだったからアレだけ共感を呼んだんだと思うんですよね。
それで考えると、「アナ雪2ですごい背中押された!」という人はあんまりいない気がしますね。
「アナ雪2、昔見たときはよくわかんなかったけど、今見るとしみるんだよね~」って言う人が5年後ぐらいに出てくるんじゃないでしょうか。しらんけど。
1で自分らしさを自分で認められるようになり、人にも出していけるようになったエルサ。そしたら次は自己実現の話を描くしかないよな、というのが2のテーマの必然です。
それだけだとアレなので、いろいろ話をまぜまぜにして複雑な話の作りになったのかなぁとか考えたりしますが、どうなんでしょうね。
おわりに
ということでした。
考察のしがいのある映画なので、暇な日があったら見に行ってもいいかもですね。絶賛上映中です。
では。
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