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面白いブログ、分析してみた。『スタバでダベる女子大生に対し畏敬の念を禁じえない』編

2019年初にマーケターに転生してからというもの、言葉を紡ぐのがお仕事になった僕、そやは、文章について日々勉強しています。


勉強の一環として、インターネットで高評価されてる文章を研究するという取り組みを始めることにしました。

他の人のバズったブログから、読んでいて面白い文章表現を学び取っていきたいと思います。

特に今は『読ませる文章表現』にフォーカスして学んでいるので、内容が濃いわけじゃないけど、文章が面白いがゆえに面白いブログにスポットを当てていきたいなと思います。


というわけで今回は熊谷真士さんのブログ『もはや日記とかそういう次元ではない』の中から、『スタバでダベる女子大生に対し畏敬の念を禁じえない』を分析してまとめていきたいと思います。

氏の独特の文章を、本noteでは『熊谷ライティング』と表現することにします。


こんなかんじで、印刷して分析してます。結局分析はこれが一番いいよね。

画像1

ではここからは実際に熊谷ライティングを紐解いていきたいと思います。



『スタバでダベる』の大筋

ちなみに話の大筋はこんなかんじです。

・ある日、代々木上原のスタバにいたところ、隣で女子大生2人が恋バナをし始めた。
・この二人には以前も遭遇したことがある。前も元カレの話をしていたが、今回もずっと元カレの話をしている。
・なんでそんなに話すこと、あるの!?
・ていうか女子の共感力、すごすぎないか!?
・ていうか共感できない話題でも話盛り上がるのかよ!?どっちでも良いんだな!?
・ていうか女子の共感って適当すぎん!?
・ああもうなんかすごい!?女子すごいわ!
(落ちナシ)


という感じです。

この話があそこまで広がるんだからすごいですよね。


ちなみに、『スタバでダベる』を読んでないこのnoteよくわからないと思うので、もし読んでない人や、読んだけどだいぶ前で忘れちゃってる人がいたら、ここで改めて一読をオススメします。

↓↓



『スタバでダベる』で、よく使われるテクニック

さてようやく分析本編です。


『スタバでダベる』から共通項をみつけ、テクニックっぽいものを見つけてはオリジナルの名前を付けました。なんだろう。必殺技みたいな感じです。

こうして整理してみると、意外と同じ必殺技でゴリ押しているということに気づきます。


【テクニック #1】 『三段同義』

このテクニックは、同じ意味の文章を3回続けるというもの。

3回じゃなくて2回や4回のこともあります。

例えば

複数の仏陀が


2体の仏陀が並んでいる


何気なく入ったスターバックスに、2体の仏陀が鎮座していた

終盤のここ。

3文いずれも趣旨は『仏陀が並んでいる』で一貫していて、表現を少しずつ変えながら繰り返します。

これにより文章に心地よいテンポが生まれます。

このテクニックを『三段同義』と呼ぶことにします。


また、文章が続くにつれて、具体性がプラスされることが多いです。

例えば

奴らは先日、数時間に渡り互いの元カレの情報を発表し合っていた。(1)

両親との関係に始まり、車の運転から性感帯に至るまで、怒濤の発表会である。(2)

世の男性諸君は、あらゆる個人情報は元カノを経由し北半球全体に散布されると肝に銘じた方が良い(3)

序盤のここ。

この3文もすべて、趣旨は『女子大生2人が元カレの話をしまくっていた』で一貫しています。

一方で、(1)にくらべて(2)は、どのような内容の発表をしていたのかが追加されており、より具体的になっています。


別の例↓

私は、誤っていたのか(1)

この女性達の実力を見誤っていたのか (2)

奴らは、マウンテンゴリラにも匹敵する無敵のモンスターなのか (3)

これは(1)がむしろ情報が欠如していて、(2)で正しい情報量になり、(3)は別の切り口で表現するという流れですね。

もちろん、趣旨は『彼女たちはすごい(のかもしれない)』で一貫してます。


こんなかんじで、とにかく3文でテンポを作る、というのが『スタバでダベる』の基本スタイルとなっているようです。



【テクニック #2】 『やりすぎ具体』

このテクニックは、やりすぎなくらい詳しい具体を出すというものです。

具体的な他に、やりすぎな誇張をふくむ場合もあります。

例えば

若しくは、特筆に値する特徴が数百個近くもある、とんでもないキワモノと付き合ってきたのか。

モンゴル人の父とネパール人の母を持つラッパー気質でゲートボール部キャプテンを務める女子プロレスラー風の爺さんと付き合ったとでも言うのか

モンゴル人の父とネパール人の母を持つラッパー気質でゲートボール部キャプテンを務める女子プロレスラー風の爺さん

こ れ は や り す ぎ 


他の例では、先ほども出した文章の一部

世の男性諸君は、あらゆる個人情報は元カノを経由し北半球全体に散布されると肝に銘じた方が良い

ここもですね。『北半球全体に散布される』やりすぎな具体です。

『そこらじゅうで話されるぞ』を大げさに誇張して具体的にするとこうなります。


他の例だと

「私、AB型の人って付き合ったことないんだけどぉぉおお♪」
「え〜〜♪わっかるー♪ 私もなんだけどぉぉぉお!偶然じゃなああい!?」

なんということだ 

に続く次の文↓

この会話を聞き、「いやAB型は基本的に少ないから、元カレにAB型がいないことは決して不思議なことじゃないんだよバカ」と、 そう思った俺がバカだった

この2人の話を聞くとそれぞれ6人ずつくらいとは付き合っている様子だが、

「その全てがAB型ではない」確率は、(1 - 9/100)^12 = 32% 

「全てAB型でない」確率というのは、こんなにも低いのだ

奴らはなんとそれを、このわずかコンマ数秒の間に計算し、瞬時に確率を導きだし、「比較的確率が低い、すなわち偶然である」 と結論づけた

ここの趣旨は『なんでもかんでも適当に共感してない?』ということですが、

その発展として『確かに正確に計算すると確率は32%だけど、これ計算して言ってるなんて、そんなわけないよなぁ?』という話をしているんですね


トークが面白い人の特徴として『たとえ話がうまい』というのがよく言われるところですが、『やりすぎ具体』はたとえ話にもつながるものがあり、『やりすぎ具体』の結果として、上手いたとえ話が完成するということもあるだろうなと思います。




【テクニック #3】 『やりすぎ形容詞』

このテクニックは、やりすぎなくらい程度を甚だしくするというものです。

厳密には形容詞ではないものも含まれると思いますが、僕が品詞にあまり詳しくないのと、用語上わかりやすいので形容詞としています。


『怒涛の』
『尋常ではない』
『凡人のそれではない』
『もの凄い』

こんなかんじのワードを多用しています。

そもそもブログタイトルからして『もはや日記とかそういう次元ではない』とあるので、 『やりすぎ形容詞』が『熊谷ライティング』のDNAに深く刻まれているテクニックなのは間違いないでしょう。


一方、一般的な表現である『すごい』『非常に』の登場回数はゼロ。

『すごい』は『もの凄い』で代用されてますね。

熊谷ライティングだと『極めて』とかが好まれる気がします。


・なにか程度を表す場合はやりすぎなくらい最上級に。

・文章が弱いなと思ったら、やりすぎ形容詞を挿入する。

みたいな運用ルールで書くといいかもです。


【テクニック #4】 『イメージギャップ』

このテクニックは、イメージの違う表現で落差を作るというものです。

これにより面白く感じます。

例えば

「ってかあいつ、ちょーうける。何の為に生きてんの?って感じだよね」




何の為に生きているのか

なんということだ


ここにきて


何と言う問いかけだ

古くはソクラテスから始まり、(略)

終盤のここです。


『スタバでダベる』はそもそもの大枠として『女子大生』が登場するため、

『くだけた』喋り方の女子大生

                 ⇅

『堅苦しい』語り口調の地の文

というギャップが、そこかしこに使われています。


他のパターンだと↓

一方が、もの凄い勢いでまくしたてると、もう一方はもの凄いスピードで相づちを打つ。うんうん分かる、うん分かる、分かる分かる、分かるぅぅう〜!分かるうううー!分かるうぅうう〜♪♪分かる分かる分かる分か分か分か分分分分ふんふんふんわわわわわわわっっっwわかかじょいえじゃおあjfじあっじj 

真面目な地の文の中にこうした表現が突然登場するとクスッとしてしまいますよね。

ちなみにこの文章はやりすぎ具体でもあるなと思います。誇張した具体例ですね。


【テクニック #5】 『連想チェイン』

このテクニックは、連想ゲーム的に文章をつなげていくというものです。

もう、何の話題でも良いし相手がどう思っても良いのだ。分からなくても、良い。
思いついただけ出した方が、手数の多い方が勝つ ノーガードの殴り合い、ドン・フライvs高山だ。 互いに流血必死の真実の強者によるタイマン

ここは

思いついただけ出した方が、
        ↓
手数の多い方が勝つ

        ↓
ノーガードの殴り合い
        ↓
ドン・フライvs高山だ。
        ↓

互いに流血必死の真実の強者によるタイマン

でチェインしてると思います。

これは半分想像ですが、書きながら

『手数が多い方が勝つ』→ボクシングを連想→『ノーガードの殴り合い』→『ドン・フライvs高山』の試合を思い出す→互いに流血必死の真実の強者によるタイマン

と連想ゲーム的に発想してるとおもいます。(僕も高校の頃そんなノリでワケ解んない文章生産してたんで、多分同じじゃないかな。しらんけど)


僕はボクシング詳しくないんですが、調べたところによると

ドン・フライvs高山戦は、お互いが一切のディフェンスを無視して殴り殴られた「伝説のシバキ合い」として有名

らしいです。


チェインを続けていって、最終的に本筋からちょっとずれたところに着地して、そこを広げたり、天丼的に再利用したりするのも良いなと思います。


他の例だと、ブログ概要欄の

そう、それは日記という既存の枠組みに一切捕われることのない、余りにも宇宙的でユニバースな、それでいてユニバーサルでユニセックスでリバーシブルな、日々の出来事を綴る、例のあれ。日記。

ここですね。

宇宙的
        ↓
ユニバース(英語にしただけ)
        ↓
ユニバーサル(語感が近い)
        ↓
ユニセックス(語感が近い)
        ↓
リバーシブル(ユニセックスとイメージ近い)

で『連想チェイン』してます。

どうでもいいけど、今まで紹介したテクニックの中だと『連想チェイン』が一番必殺技っぽくて気に入ってます。


終わりに

ということでした。

本当は改行の使い方とか、多様はされてないけど用いられてるテクニックがいろいろあるんですが、この辺にしときます。


この僕のnoteは基本的に『軽い読み味のわかりやすい文章を書く』という一点を目標にした文体で書いているんですが、こういう文章もいいよなぁ。お仕事では書いていきたいなと思いました。


何回かこの『面白いブログ、分析してみた。』シリーズはやっていくと思うので、よかったらnoteフォローしてくださいね。



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そやでした!

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