ガルクラ『空の箱』は何の歌?歌詞考察・解釈【トゲナシトゲアリ】
今期はまんまとガールズバンドクライにめちゃくちゃどっぷりハマってしまっています(現在最新11話)
アニメは概ね4周してまして、考察深まりまくりですね。
各話のサブタイトルの元ネタとなっている曲を聞いて回ったり、トゲナシトゲアリの本物バンドのライブ動画を見たり、YouTubeチャンネルの過去動画で各キャラの「直してほしいところ!」みたいな動画を見たりしています。
ちなみに一番面白かったのは仁菜ですね。
この子心強すぎだろ。ほんとに黙っていじめられてたんか?
以下本編です。
『空の箱』って何の歌?
やけに白いんだ やけに長いんだ
コタエはだいたい カタチばかりの常識だろう
指先が震えようとも
めっちゃいい曲ですよね。ガルクラを象徴する一曲です。
これ何の歌なんだろうっていうのがわかってそうでわかってなくて、「考察」とかで検索してもそれらしい記事がでてこなかったので分からなないままになってました。
それが、つい先程、急にわかったので、同じようにこれなんの歌?ってなってる人のために書いておきます。
このnoteはほんとに大したものではなく、「空の箱」を聞くにあたって必要なたった一つの切り口を与えるものに過ぎません。しかし、このたった一つの切り口を知ってさえいれば、「空の箱」が仁菜の人生を変えるほどの歌になった理由がわかります。
『空の箱』は『解答欄』。何を書いているかというと・・・
まず前提ですが、空の箱の読みは「ソラノハコ」ではなく「カラノハコ」です。
歌詞には
この空欄を埋めれば解けますか
とあるので、僕は最初、テストの解答欄かな?と思ってました。
しかしそういう切り口で見ると、仁菜の人生が変わるほどの歌には見えてきません。
確かに、求められている解答を書く欄ではあるのですが、テストの回答ではないんですね。
ではなんの空欄なのか?
そのヒントは、曲の一番最初にありました。
やけに白いんだ やけに長いんだ
つまりこの空欄は、長文を書けるくらいの大スペースの空欄なのです。
ここで察しのいい人は気づいたかもしれませんね。
そう、これは反省文の記入欄なんです。
「空の箱」は反省文を書かされている歌なんです。
8話でも「いじめなどではなく、双方反省文を〜」という校長先生のセリフがありますし、10話ワンダーフォーゲルでも「反省文」とかかれた紙を前に何もかけず、ぐしゃぐしゃに書きなぐっているシーンがあります。
『反省文』でみていくとすべての歌詞の意味がわかる
では、これは反省文の歌なんだと思いながらもう一度歌詞を見ていきましょう。
やけに白いんだ やけに長いんだ
コタエはだいたい カタチばかりの常識だろう
指先が震えようとも
仲直りの反省文を書きなさいと言われてるけど、自分が悪いと思っていないので全く筆が進まず、真っ白なままなんですね。
だからやけに白いし、やけに長いということです。
そして「コタエはだいたい カタチばかりの常識」は、反省文ってだいたい、決まり切ったフォーマットで書くことが求められてるしょうもないものだよねということです。
教科書通りとはよく言ったもので
難しい言葉だらけ
ここも反省文のことですね。難しい言葉で書きがち。
僕も学生時代に何度か書かされたことがありますが、『思慮の浅い』とか『浅はかな行動でした』と書いておけばだいたいそれっぽくなりますよね。
地図にはないはずの三叉路に今
ぶつかっているのですが
何を頼りに進めばいいのでしょうか
この空欄を埋めれば解けますか いつの日か
あなたならどうやって先へと進みますか
書きたくない(私は間違っていない)という道と、思ってもない反省文を書いしまって飲み込んで進む道の三叉路にきてるわけですね。
仁菜はもともと、厳格な家に育ったいい子であって、成績も優秀。こういうシチュエーションで反省文を書かないという選択肢がなかったわけです。(アニメで退学後の破天荒な仁菜しかみてないととてもそうは思えないですが)。
選択肢がなかったからこそ、心の底からで許せないイジメに直面して、自分を貫くべきか、飲み込むべきか、どっちにすればいいか迷ってしまった。
そこで『空の箱』に背中を押されて、吹っ切れてしまったわけですね。
覚醒仁菜誕生の瞬間です。
歌の力ってスゲ〜。モモカさん、とっても罪深いミュージシャンですね。
自分の曲で焚きつけられた人間がはるばる熊本からやってきて、ビンタまでされてりゃ世話ねーわというか、むしろミュージシャン冥利に尽きるのかもしれないですね。
正解は無いんだ 負けなんて無いんだ
あたしは生涯 あたしであってそれだけだろう
ここが一番メッセージのところですよね。
「私は私である」というのは、自分を貫くよ、という意味ですよね。
これ歌ってたのモモカさんなのに、「貫くよ」と言ってたのに、自分を貫いてダイダスを辞めたところまではよかったが、そのあと田舎に引っ込もうとしたり、仁菜と出会ったはいいものの、8話までず〜っと歯にものはさがったような態度でモジモジしてたモモカさんまじウケんね〜ですね。
あこがれの人がそんな態度だと、仁菜があれだけ厄介ファンするのも分かる気がしますね。
実際のところ、モモカをもう一度『空の箱』のモモカに引き戻せるのはもはや仁菜だけという状態でしたから、すべての旧ダイダスファンの代弁者だったといっても過言ではありません。
溢れだしそうなほど詰め込んだ
他人の箱を横目に
下手な愛想笑いすら やっぱり出来てない
この「箱」も反省文についてですね。他の人はやりすぎくらいいっぱい反省文書いてて、「チッこいつダル、思ってもない適当書いとるやん」みたいなかんじでしょうか。
こうしてみていくと、仁菜のシチュエーションにはバッコリ当てはまっていて、勇気をもらって自分を貫く力をもらったわけですね。
仁菜はまさにこのシチュエーションから、この歌の標榜する精神性を獲得した人間ですから、モモカが10話あたりで仁菜のことを「あたしの歌」と呼んだのも納得です。
モモカ視点、バンドやめようと思ってたら昔作った歌が人間になってケツを蹴りに来たってかんじです。
何周かみてるとわかってくるのですが、8話の
モモカ「仁菜は昔の純粋だった頃の自分に似てたので可愛がってた」
仁菜「そんなのどうでもいいので『空の箱』で歌ってたみたいに自分を貫いてください!自分のほうが正しいって思ってるんでしょ!モモカさんの音楽は最高!私たちは間違ってない!」
これが1話から8話までのすべてを表してます。
つまりガルクラ1期の大部分はモモカがふたたび立ち上がるまでのストーリーであり、この話の主人公はモモカだ〜!って僕は思ってます。
モモカ側の葛藤があんまり重たいウェイトで描かれてないので、そのへんを想像しないとモモカが女々しくウジウジしてる感じに見えて来ちゃうんですが、そのへんはこの動画で補完してください。かなりモモカ視点での葛藤に触れてくれています。
皆で一緒にやるということこそダイダス4人の目的だったはずなんですが、モモカは音楽性や売り方もこだわりがあり譲れず、結果的に皆でずっとやっていくというのを裏切ったのは自分の方という自責があったはずです。
その上、伸び悩んでた旧ダイダスに対して新ダイダスがどんどん売れていくので、ますます自分が間違ってたんじゃないかという気持ちになりまくり、もっかい勝負しようと気持ちになれなかったんでしょうね・・・。
でもなんか熊本から正論モンスターがやってきてしまい、何の因果か拾ってしまったので、もっかいやることになりました。
こんな人生もあっていいよね?
おまけ考察2つ
概ね以上です。なんかしたい話をいっぱいしちゃたので、めっちゃ話それちゃいました。
意外とどっぷりハマったアニメでも、数年するとこういう細かい部分の考察は忘れてしまったりするので、時間をおいて読み直すと、当時の自分いいこと言ってるな〜って思ったりするんですよね。それがまた楽しいです。
ついでにおまけ考察を2つ置いときます。
1つはこの反省文ソングをなぜモモカが書いたかということです。
モモカも反省文かかされるような不良だったんでしょうか。
正直その可能性も十分あります。
が、もう一つの可能性としては、反省文ではなく、進路希望調査票という説です。
『空の箱』は進路希望調査の紙を目の前において歌っても、概ね意味が通ります。
進路希望用紙は
やけに長いんだ
という歌詞は文字通りの該当はしなそうですが、なんて書くか迷っていて手がつかないので長く感じるという意味では受け取れます。
そんなかんじで反省文よりはしっくりこない箇所がぼちぼちあるものの、
学校を中退してバンドの道を進むかどうかを迷っているときに「辞めてバンドやろうぜ!」という歌として作った可能性を感じることができます。
あくまで考察としては面白いですよね〜レベルではありますが。
おまけ考察その2ですが、バンド名『トゲナシトゲアリ』についてです。
作中では客のTシャツを仁菜が見ていいなと思ってそのままつけてますが、脚本的にはどういう意図なんでしょうか。
一つの考察は、最後に省略されている「トゲトゲ」ですね。
もととなっている生き物の名前は「トゲアリトゲナシトゲトゲ」です
表面上もトゲあるひと(仁菜・モモカ・智)と表面上はトゲがない人(スバル・ルパ)で構成されてるけど、結局トゲトゲを隠しているという意味です。
皆にロックが必要なんだよね。
あともう一つは「トゲナシトゲアリ」の中にナシトゲ=成し遂げが隠れているということですね。トゲ成し遂げアリ。
これはかなり意図的だとおもいます。というのも、もともとの生き物の名前は「トゲアリ トゲナシ トゲトゲ」で、アリ→ナシの順なのですが、バンド名ではナシが先になっています。
皆の夢を成し遂げるバンドという意味が込められていますね、これは。あるとおもいます。
まだどこでも見たことない考察なので、SNSでドヤ顔で披露していいですよ。
あと2話、よろしくお願いします。
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