30代男性のガールズバンドクライ、最終回13話、涙の感想

昨日深夜に公開された最終回を見、運命の華を10回聞き、2回目を見、そして眠り、かわさき100フェスで歌うリアルトゲトゲのライブを見て、一休みして今これを書いています。

超良かったね、ガールズバンドクライ。直近1年はかなりアニメ方策だったと思うのですが、その中でも個人的1番のアニメシリーズでした。

最終回、アニメ全話、そしてさっきライブに行ってきたのでそのすべての感情をぐちゃぐちゃにして、最初に出てきた言葉から順番に書いていきたいと思います。


「だって、私、まちがってないから!」

最高の名シーンです。も〜〜〜よかったですねここが抜群に。

この一瞬は8話ラストの告白シーンを超える輝きを放っていました。

最終回このセリフがこの作品のすべてを物語っています。

僕が思うに、ガールズバンドクライが13話かけて伝えてきたメッセージはすべて、「私は間違ってない」に集約できるとおもいます。

井芹仁菜のようなメンタリティの人間は実在しません。仁菜のような純粋に信念を貫き通すのは無理なんです。

実在しないからこそ、光り輝いて見えるし、刺さっちゃうんですよね。

僕たちの失ったものを持っている気がしてしまい、目が離せなくなってしまうんですよね。

桃香を始め、他の4人はいわば大人です。

特に最終回の桃香は大人の代表のような発言をします。

「どれだけ金がかかってると思ってる」

「ダメージを少しでも減らすことを考えるしかない」

「ごめん」

年長者なのに、ガキンチョのメンバーにも頭を下げます。

これは俺達です。このアニメを見ている俺達。社会に生きる俺達。

でも仁菜はそんなの見てもいません。

桃香さんの歌は通用する、それを信じてやってきたんでしょ。ダイダスに負けを認めるなんて絶対イヤだ。「私、間違ってないから!」


言ってることはめちゃくちゃです。

皆辞めとけというのに勝ち目ない戦いを挑み、やっぱり勝てないという普通の現実が来て、でも現実はお金がかかるのでごめんなさいしないといけないタイミングが来て、なのに「絶対やだ!」

やばすぎます。現実だったら殴られてます。ありえない。

ありえないからこそ仁菜は実在しないんです。

仁菜は単に世間知らずにワガママを言っているのではなく、何ヶ月も頑張って作った曲の再生数がついてこなかったり、ただ生きているだけでも明らかにダイダスに負けている現実を日々突きつけられているちゃんと現実の中にいるのに、それでも貫いてくるんです。

だからトゲトゲは仁菜に惹かれちゃうんだよな。
そもそも音楽で食っていくというのが無理かもと思うことの連続で、自分を曲げてしまうことばかり。

この子となら、それでも信じてやっていけるかもと思わせる心がそこにある。

仁菜は皆の代わりに泣いてるんですよね。だから皆「また始まったよ」と大人の立場で呆れ顔で見てるけど、最後には「こいつは私の中の本当の私だ」という感情になってしまい、しょうがないな〜って仁菜についていっちゃうわけです。

「私はなんてちっぽけなんだ」とシクシク泣く仁菜をみて、桃香も「私の歌、やっぱ尊いな〜」って顔してます。


この「実在しない純粋さが眩しすぎる」という感情には覚えがあり、僕はこの作品を見ている間、しばしSHIROBAKOの劇場版のことを思い出していました。

絶望の淵で、もう一度劇場アニメをつくりましょうと制作陣をあつめる宮森。実在しない希望が眩しすぎて、思い出すだけで涙が出てしまいます。

仁菜が刺さってしまった人は、ぜひSHIROBAKOも見てみてください。


「運命の華」演奏しながら歌う皆が眩しすぎる

個人的にここが第二の泣き所でした。

「運命の華」は一見すると桃香から仁菜へのラブソングで、「メジャーデビュー曲は私たちのことを歌にしたいんだ」ってどういうこと?って思ってしまうのですが、もう一歩踏み込むとまた別のものが見えてきます。

それは、トゲトゲのメンバーはある意味で全員桃香だということです。だから桃香→仁菜の歌を作るだけで、全員の歌になるんです。

灯りも風もない まるで孤立の牢獄
苦しくて辛くって 傷だらけで全部が嫌だったんだ

運命が絡まって轟いて 他の道食べ尽くした
私に残った人生 君と歌っていくこと

消えたかった あたしはもういない 消えなくてよかったな
だって君と出会い 芽吹いてしまった運命の華

皆共通して、居場所がなく、孤立の苦しみの中にいました。

スバルは演技の道に行くつもりがないのに親元を離れて一人暮らしでアクターズスクールに通い七光りで周りはちやほやしてくるし、

桃香は方向性の違いでダイダスを辞め、

智は親と不仲で家を飛び出し、

ルパは親と死別で天涯孤独。

全員が、仁菜と出会えて良かったな、お陰で咲く場所を見つけられたという歌として共感できる歌詞になっています。

それを最後に皆で歌う。

ガルクラのラストとしてはもう最高ですね。願わくばフルコーラスでやってほしかったです。

多分総集編の劇場版がやると思うので、その時にはぜひフルコーラスを!頼みます!後アフターストーリーもちょっとでいいので入れてください!!お願いします!!!

アニメのラストの曲としてはものすごくいいと同時に、メンバー全員がこの曲をいいと思っているという事実が、トゲトゲの結束をまさに表現していて最高に尊いです。

売れなかったけど、この曲が超いいというのは皆思ってて、かつ後悔してなさそうなのがいいですよね。

そしてもう一方で、今までずっと薄暗い歌詞を書き続けていたモモカーンのファンが呆然とし、なんか急に満たされた曲きたんだが・・・となってしまい、結果的にモモカンファーストラブソングが全然売れないというのがまた最高におもろいですね。

ダイダス辞めて闇落ちしてるときは「生きる意味ってやつを誰か教えて早く」とか言うし、ダイダスで書いた空の箱も反骨っぽいのに、流石に「もっと君が笑う明日がみたい 運命なんだ」はハッピーすぎて流石についていくの難しいかもです。ドラッグでもキメたか?

安心してください、キメてなくても仁菜に「私の歌」とか言ってしまうので、最初からキマっています。

個人的には

消えたかった 私はもういない
消えなくてよかったな・・・

のところがすごくラブソングの歌詞ヘタ感あってツボです。

歌のフレーズとしては好きなんですけど、詩だけ見るとなんかおもろくないですか?

桃香は今のメンタリティだと今後もハピ曲を描いてしまいそうなので、今後のトゲトゲのことを考えると、歌詞はしばらく仁菜に書かせたほうがいい気がしてきますねw

仁菜は13話で勝手にエゴサして全力で炊けることがわかってしまったので、永遠のロックスターになれます。


あと余談ですけど、小指立てて集まってるのって、5人でやる指切りみたいで尊いですよね。

やっぱ主人公は桃香だった

桃香だったなと思います。

桃香が我々視聴者と同じ大人の立場で、社会にもまれ、そこで昔の自分と出会って、また前を向いて歩いていくという物語だというのが僕の解釈です。

仁菜がどんな状況になっても自分を貫いていくのと同様に、桃香も大人であり続けてるので、普通に込み入った状況になると大人としての思考が先に走ってしまいます。

それを仁菜が引っ張っていくという構造はなんかもうずっと崩れない気がしてきました。

仁菜がああいう人間であると同じで、桃香もああいう人間なんです。

最終的に皆が腹落ちして咲く場所をみつけられて、良かったのかなと思います。うーんでもやっぱりダイダスには負けちゃうし、事務所も辞めて大変な状況になっているビターエンドな感じがとってもガルクラっぽいですよね。

ちゃんと現実に足のついたエンディングだったなと思います。大変なことはもっといっぱい待ってるだろうけど、それでも桃香は幸せだと思います。

仁菜がハタチになったら、一緒に飲んだくれるのかな〜。願わくば、そこまでの物語が読みたいもんですね。


ていうか仁菜の1月のカレンダーで毎晩桃香の家に行っている描写がありましたよね。
あれはギターの練習に行っているのかと思ってたんですが「あんなにギターがうまくなってるなんて」と驚いていたので、違ったんですね・・・一体何をしにいっていたんでしょうか・・・
吹きさらしの寒い木造一軒家で女二人・・・何もおこらないはずがなく・・・・(死)

余談ですけど桃香って百歌からきてそうですよね。百の歌。こう字を当てると一生ミュージシャンってかんじがします。まんますぎるので桃香にして、歌うたいっぽい名前をつけたかったのかなと思いました。


生のトゲトゲ

今日、かわさき100フェスに出演する、生のトゲトゲを見てきました。

川崎市政100周年記念イベントで、川崎ゆかりのアーティストを招いての小規模なフェスで、アーティストとしてはsumikaとトゲトゲ、SHISHAMOとスキマスイッチのピアノの人が来てました。

12000円とかなり高かったためか、結構直前までSS席がソールドしておらず、ワンマンは即完しそうだし、近くでトゲトゲを見られるラストチャンスかもとおもったので勢いで取りました。(結果的にはSS席の中では後列だったのでそんなに近くなかったのですがまあよしとします)


YouTubeにあがっている過去のライブ映像を見て、結構声に緊張が見られたので、生はそんなにうまくないのかな〜と思っていたのですが、普通に上手かったです!


声なき魚をやってくれたのがかなり良かったですね。空白とカタルシスと、運命の華はやらなかったので、ワンマンもいきたいな〜と思いました。



作中でも桃香の作る曲は売れ線ど真ん中じゃなさそうな描かれ方をしていますが、実際に前後のsumikaやSHISHAMOと比べて、たしかに売れ線っぽい音じゃないかも?と思いました。

ギターの音作りの感じとかが特にそう感じたのと、あとノリ方というか、視聴難易度が高いなと漠然と感じました。

専門家でもないので雰囲気で語っていますが、ギターはもっとわかりやすく粒感やフレーズが聞こえてくるほうが売れ線感があるなと。

あと売れ線のバンドってノリ方がわかりやすいというか、初見の曲でもこのフレーズは縦揺れ、ここは手を前後させようとか、わかりやすくノレるんですよね。

曲のテンポ間のせいかもですが、トゲトゲの曲は割と全体的に(ライブでは)乗りづらかったかもです。

あと全体的にsumikaのファンが多かったこともあり、トゲトゲの曲が初見の人がノレてなかった印象です。

また、テンポが早く譜割りが難しい曲ばっかりなので、知っていても一緒に歌いづらかったり、観客が一緒に歌うことが想定されているパートがかなり少ないように感じました。

ノリやすさはたぶんですがぼざろ曲のほうがだいぶ上ですね。

客の方を向いて作ってるわけじゃない感じが作中のトゲトゲとは解釈一致だなと思う一方、トゲトゲがアニメの枠を飛び出してライブシーンに受け入れられていようなバンドを目指すなら、客に歌わせたりとか、手拍子煽るとかそういうのは流石に必要かもと思いました。

sumikaみたいないわゆるライブハウスから上がってきたロックバンドのファンの間には、暗黙知的にこの曲はこういうノリ方、みたいなのがあったり、暗黙知的なノリ方を取り入れた曲構成になっていて初見でも客が反応しやすかったりするんですよね。

なので知らないアーティストの曲でもわりと瞬発力があるというか、錆になったらすぐに、あるべきノリ方でノレるんですが、
トゲトゲの曲はそこのカルチャーの分断みたいなのを感じました。

トゲトゲのファンはアニメファンであってライブハウスの民や邦ロックファンではないので、ワンマンであってもライブハウス的なノリ方が醸成されていくかも不明で、そこは今後ライブ参加するにあたって一縷の不安ではあります。

うーんていうかこれは僕の願望ですね。
アニメの企画バンドの枠を超えて、いっぱいライブやってあっちこっちのライブハウスでやってるようなバンドになってほしいです。3000キャパでたまにやるより、1000キャパくらいで隔週くらいでやってほしいなという。

そっちに進むなら、もっとノレるかんじにしていく必要はあるなという意味わからん杞憂です。杞憂の域を超えている。
我ながらなにを言っとるんだという感じがします。

結束バンドはうまくライブシーンに受け入れられていっている気がするので、そうなったらいいよねという妄想でした。

そんなムダな心配がありながらも、でも曲はやっぱり良かったですね。声も圧巻でした。

ラス曲前に、「次で最後です!」「え〜!」みたいなくだりでボーカルの理名ちゃんが普通に嬉しくなっちゃってニコニコしちゃって、曲の入りちょっと音程迷子になっていたのが非常に微笑ましかったです。

いい思い出ですね。

そのあとSHISHAMOがでてきて、リビングで雑談してるんか?ぐらいの肩の力の抜けてるMCしてて、ほんとに10年やってるガールズバンドはこんな感じなんだ、すげーなという謎の対比を楽しめました。(SHIAHAMOはメンバー交代してるけど)

身内しかいないちっちゃいライブハウスみたいな、リラックスしたMCでした。


ていうかバンド練もあり、声優レッスンもあり、収録もあり、ラジオとかイベントもあって、かつ理名ちゃんが未成年なので夜はできないことを考えると、理名ちゃんって学校とかないんですかね?めっちゃ忙しくない?と思いました。アニメが終わったのでちょっと余裕できたとおもったらワンマンも控えてますからね。大変だな〜


ルパ智の掘り下げたりないよぉ・・・

さすがに足りなかったです。

とくにルパはなんとなくなんかあるんだろうなで済まされちゃいましたね。
個人的には智ちゃんが一番推しなので、智にスポットが当たるところがもっと欲しかったです。

どうしても狂犬が尺を使いすぎるので・・・

ということで2期をくれ!

ライブで遠征先が仙台で・・・とかそういうのお願いします。


桃香や仁菜、スバルの問題は一通り解決した感がありますが、智は親との不仲全然解決してないんですよね。

智は音楽で食えるようになるというのが一個目指していたマイルストーンというか、音楽で自活さえできてないのが「揉めるなら私たちは辞めるわよ」という焦りの根源の一つだったとおもうので、事務所に所属して固定給が出るという状態は結構安心したし嬉しかったと思うんですよね。

ボカロP出身なので名前が売れてくればコンポーザーの道もありそうだし、基本的に前進した感覚を持ってたんじゃないでしょうか。

でもそれを放り投げて一緒に辞めてくれるのが智ちゃんのツンデレ。実はめっちゃトゲトゲラブなのが感じられます。


オリジナルアニメで2期を作るには数字がいるらしいのですが、ブルーレイプレイヤーとかないし円盤は買えないので映画やってほしいですね。追加カットちょこっとでも見に行きますよ。

劇場版智ちゃんでもいいんですよ?

智ちゃんが親と揉めてトゲトゲして曲も歌詞も持ってきて仁菜に歌わせる話をお願いします。


おわりに

眠くなってきたのでこの辺にしときます。
うーんたのむ2期。

東映アニメーションのトラッキングエグかったですね。3Dアニメーションの新たなる地平でした。

何度でもまた見たいアニメです。また見たい話がいくつもあるアニメです。願わくば続編を・・・どうか・・・。

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