【スコープ】フェイシャルマッサージは“たるみ”改善に効果!
化粧品大手のコーセーと加齢画像研究所 ONI 所長の奥田逸子医師らの共同研究グループは、このほど継続的なフェイシャルマッサージがたるみ改善に有効であることを突きとめた。たるみと関連する皮膚深部の表在性筋膜や脂肪層の状態をCT画像により解析したところ、毎日のお手入れの際に簡単な顔面マッサージを2週間続けると、表在性筋膜と脂肪層の幅が減少し、頬の位置がリフトアップすることを確認したという。加齢とともに進行する顔のたるみは“お肌の悩み”の一つとされており、今回の研究結果はそんな悩める人にとって朗報と言えそうだ。
たるみは皮膚深部にある表在性筋膜や表情筋、脂肪層などの顔面深部構造が加齢により変化することが原因の一つと考えられている。その対策として表在性筋膜をターゲットにした美容医療やエステなどでマッサージが行われています。フェイシャルマッサージによるたるみ解消効果は経験的に知られているが、継続的なセルフマッサージ前後での顔面深部の構造変化を解析した研究はこれまでなかった。
今回の研究では29~37歳の男女5人の被験者に1日2回、乳液を塗布しながらセルフマッサージを2週間継続してもらい、試験開始前と終了時に顔面CT画像を撮影した。マッサージは90秒程度の簡単なもので、試験終了時のCT測定前にも同じマッサージを専門技術者が実施。取得したCT画像から皮膚深部の表在性筋膜(【きょうのWord】)と脂肪層の状態を解析した。
仰向けの状態で撮影したCT画像を用いて試験前後の変化を解析したところ、試験後には左右の筋膜の最大距離である表在性筋膜幅は5人のうち4人が減少し、引き締まっていることを確認したという。表在性筋膜幅の平均減少量は約1.2mm(平均0.94%減)だった。この結果、フェイシャルマッサージは加齢とともに緩みが進行する皮膚深部の表在性筋膜を引き締める効果があるという。
また、頬の脂肪層の厚み減少と頬の位置が上昇するという効果があることもわかった。頬の脂肪層は、起きている体勢では重力により常に下方向に引っ張られるため、たるみ発生の原因の一つとして捉えられている。起きた状態で撮影したCT画像を用いて試験前後の変化を解析したところ、同一部位における脂肪層の厚みが平均で約 0.8mm減少(平均3.7%減)していることが分かった。また、頬の最も高い位置は試験前よりも平均で約2.7mm上方向に移動していた。このことから、フェイシャルマッサージはたるみ改善や頬のリフトアップに寄与していることが分かりました。従来、フェイシャルマッサージはリンパの流れを促進し、むくみを解消すると考えられている。しかし、同社は今回の研究で脂肪層の状態を変化させることでたるみ改善にもつながっているとしている。
【きょうのWord】表在性筋膜
脂肪層の中に存在するコラーゲンやエラスチンなどで構成する厚さ約 1 ㎜未満の非常に薄い膜組織。肌の裏側から皮膚組織を支え、頬のたるみ防止に重要な役割を果たしていると考えられている。加齢とともにこの筋膜の緩みが進行するとされる。
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