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復活を見届けて

 皆様ごきげんよう。千利です。
 私は前回の記事で書いたZOZOマリンスタジアムへの遠征に行く前から、自宅から2番目に近いセ・リーグ本拠地球場であるバンテリンドームナゴヤへの遠征計画を立てていました。
 日程は7月3日。自宅から名古屋までの所要時間は片道約3時間ほど。デーゲームなので日帰りで十分行けます。折角なので以前から仲良くして頂いているフォロワーさんお2人を誘って3人で見に行くことにしました。ただこの時は当然、誰が先発なのかは全く考えていませんでした。特に誰目当てと言うことも無く、ただ単純に初めて行く球場での観戦を楽しみにしていました。

 時は流れて6月26日。TORACOデーに劇的なサヨナラ勝利を飾った日です。この日の夜、先発登板していた西純矢投手を登録抹消し、才木浩人投手を翌週7月3日に先発させることが判明しました。全くの偶然で、復帰登板を見られるという幸運が転がり込んできました。

 才木浩人。2021年から阪神ファンになった私は今年に入るまでこの投手のことをほとんど知りませんでしたが、2022年2月の安芸キャンプ期間中に実戦復帰を果たした頃から、他の大多数の阪神ファンと同様に彼の復活を楽しみに待つようになりました。そして本格的に先発として復帰した才木投手は二軍で完封勝利を収めるなど、順調にステップアップしていくところを見てきました。そんな中でついに一軍での先発登板機会がやってきたのです。長く追ってきたわけではなくても、この時点で感慨深いものはありました。

 そして7月3日がやってきました。珍しく早起きして9時に名古屋入り。そもそも名古屋に行くこと自体何年ぶりか……特急に乗るのも5年ぶり……? というレベルで近畿の外に出ていませんでした。特急ひのとりはすごく快適でよかったです。
 前回の千葉遠征では試合前にゲリラ豪雨に襲われるというハプニングがありましたが、今回も朝から雨が降り続き、ドーム球場でなければ試合ができるか怪しいぐらいの天候でした。

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 ともあれ無事に到着。京セラドームほどではないですがアクセスは悪くないですね。地下鉄で例の立浪監督のアナウンスも聞けました。千葉ではコラボメニューを食べる余裕すらありませんでしたが今回はしっかり頼めました。

練習から引き上げる才木浩人投手(筆者撮影)

 ビジターゲームの醍醐味と言えば試合前練習。関西に篭っていると京セラドームでのオリックス戦でくらいしか見られないものです。ホームゲームはいつも適当な時間に行くのですがビジターはそうも行きません。真剣です(笑)。今回の座席もグラウンドから大変近い良席でした。3塁側なので練習から引き上げる投手陣を間近で見ることが出来ました。

 この日は中日のFCスペシャルゲームでもあり、選手がいつもとは違うニックネームのユニフォームを着て試合をする日でした。阪神もやってくれ。

「ぐんばやし」こと岡林勇希選手。(筆者撮影)
残念ながら郡司裕也選手は一軍にいませんでした……。

 試合前練習を存分に堪能して14時にプレイボール。対戦相手は中日のエースである柳裕也投手で、特にバンテリンドームでの得点は最初から期待出来ませんでした。初回の阪神の攻撃は(溝脇選手の好プレーはありましたが)三者凡退で、阪神打線はいつも通り苦戦するものと思われました。
 そして1回裏。才木浩人投手がマウンドに上がりました。

才木投手(筆者撮影)

 初めて生で見た才木浩人は、あまりにも脚が長く、一挙手一投足が格好良く、初回から150キロを超えるストレートを投げ込んでいました。写真だけでは中々伝わりにくいですが、画になる投手だと思いました。
 この日は投球の7割弱がストレートで、ゴロアウトが全く無く、とにかく力で押し込んでいる印象でした。大島洋平を全球ストレートでフライに打ち取り、小さくガッツポーズをする姿に拍手を贈る以外の選択はありませんでした。

 才木投手の好投に応えるべく、次の回に早速打線が奮起します。佐藤輝明は四球で出塁し、次の大山悠輔からは通算100本目となるホームランが飛び出しました。100本にリーチをかけてから暫く止まっていた大山が、最高の場面で決めてくれました。

試合終了後、ボードを掲げる大山(筆者撮影)

 幸先よく先制した2回の裏は危ない当たりはありつつも無失点。そしてその次の回には1アウトから中野拓夢のソロホームランで追加点が生まれました。中野ってバンテリンドームでホームラン打てるんだ……(驚愕)。打った瞬間から相当な高弾道だとは思いましたがまさかスタンド中段にまで届くとは。現地で暫く絶句していました。もちろん私が現地で中野のホームランを見たのは初めてです。これで打撃の調子を崩さないといいんだけど

 ただしその後は柳も持ち直し、7回を3失点で投げ切られてしまいました。才木は後にヒーローインタビューで話した通り2回からバテていたようで、5回には3本のヒットでピンチを迎えますがここも無失点。ホッとしたような表情を見せてくれました。

5回、ピンチを抑えてマウンドを下りる才木投手(筆者撮影)

 結果、5回76球無四球無失点。普通ならばもう1、2イニングは行けそうなところですがここは怪我明けということで6回から継投に入りました。6回は岩貞、加治屋の2投手で抑え、7回は浜地投手が0に抑えました。
 この週は先発があまり試合を作れず打線もあまり奮わずリリーフを多く使う展開になってしまっており、特にセットアッパーの湯浅投手は前日までで3連投をしていました。流石に投げさせる訳にはいかなかったでしょう。そこで8回3点リードのマウンドに上がったのは再昇格後好投を続けてきたケラー投手でした。

カイル・ケラー投手(筆者撮影)

 私はあの開幕戦を現地で見ていました。8回に5点差を詰められた後、1点差から逆転され敗戦投手になったあの試合を未だに忘れられていません。あれは調整不足が原因で、今はずっと好投していることを知っていても冷や冷やしてしまうのも無理はないと思います(あと再昇格後唯一の失点も現地で見ていました)。ですが結果は三者凡退。あまり球速は出ていませんでしたがそれでも危なげなく抑え、ようやく来日初ホールドを記録しました。勝ちパ入りしても良さそうで本当に安心しました……。
 そして9回は岩崎投手が締め、阪神が無事勝利を収めました。中日からの被安打は8本ありましたが全て単打、対して阪神の安打数はわずかに5本でしたが。才木投手、実に1159日ぶりの勝利でした。

ヒーローインタビューを受ける才木投手(筆者撮影)

 もうあらゆる記事やニュースで取り上げられていますが、ヒーローインタビューで才木は言葉を詰まらせ、涙を拭う様子を何度も見せていました。私がどう言い表しても陳腐な言葉にしかなりませんが、今までに見たヒーローインタビューで一番心に残るものになりました。

 ホームランで援護をした大山と中野について「大山さんも中野さんも密かに僕のことを好きだと思うのですごくうれしいです」と言っていたのには観客からも笑いが起きていましたが、私がインスタなどで見ていた才木浩人という人らしいところも見られて何だか嬉しかったです。笑いあり涙あり。
 そして6回から無失点リレーで繋いだ中継ぎ陣からは試合前から「思い切って最初から行けよ」と言われていたそうです。それがあったから、初回からあれだけ飛ばして投げることが出来たのでしょう。文字通り、全員で勝ち取った1勝。本当に良い試合でした。
 今季初勝利を挙げた才木投手は7月4日に登録を抹消されました。今後は間隔を空けて登板させていくようです。今季残り、そして来年以降の更なる活躍が楽しみで仕方がないです。

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