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プロ初勝利を幕張で見た話

この記事は2022年6月12日のZOZOマリンスタジアムでの試合観戦に関する日記です。自分語りを大いに含みます。

はじめに

 皆様ごきげんよう。千利と申します。
 まずTwitterをフォローしてくださっている方々ならご存知かと思われますが、私は阪神・オリックス・ロッテの兼任ファンです。そして近畿に在住しています。プロ野球ファンになって1年と少しになりますが、阪神甲子園球場と京セラドーム大阪、ほっともっとフィールド神戸以外の球場には足を踏み入れたことがありませんでした。
 別にこの3球場だけでも贔屓の試合を見ることに関しては何の問題もありません。京セラでのロッテvsオリックスの試合はこれまでに2回観戦しています。

 ただ、困ったことに私は投手オタクです。好きな選手の大半は投手なんです。
 特に先発投手は中6日と言われるように基本は1週間に1回のみ登板し、それ以外の試合ではベンチにも入りません。その上、先発ローテーションが完全に固定されることの方が珍しく雨天中止や怪我・不振による入れ替えなど諸々の理由ですぐに変わります。どれだけ多くても現地観戦は週2が限界な人間にとって、先発投手を狙って見に行くのは結構難しいです。近くの球場なら予告先発が発表されてからチケットを取ることも可能ではありますが、遠征でそれをするのは相当な博打だと思います。

 ですが今回私がZOZOマリンスタジアムに赴いた目的は千葉ロッテマリーンズ・佐藤奨真投手の登板を見に行くためでした。2020年育成ドラフト4位で指名され、今年の3月に支配下登録されたばかりの投手です。
 3月31日に2点ビハインドの状況でプロ初登板を果たし(結果は1回無失点)、5月14日にプロ初先発して以降これまで3試合に先発して0勝3敗、防御率2.70の成績を残していました。

これまでの先発登板成績
05/14 オリックス(山本由伸) ⚫6回1失点(自責0) 援護点0
05/28 阪神(青柳晃洋)    ⚫6回4失点(自責4) 援護点0
06/04 巨人(C.C.メルセデス) ⚫7回2失点(自責2) 援護点1

 このように、阪神戦以外は勝ちがついていてもおかしくない投球内容にもかかわらず援護率0点台という不運も相まって全試合で敗戦投手となり、未だにプロ初勝利を掴めていませんでした。

 ところで私が佐藤奨真という投手のことを知ったのは割と最近です。育成選手だった1年目の頃から目を付けていたわけでもありません。全くのにわかファンです。が、プロ初先発試合から気になりはじめ、6月4日の巨人戦での登板を中継で見てからはすっかりこの左腕の虜になってしまいました。そして、プロ初勝利を中継でいいから見届けたいとも思っていました。

 このツイートをした時点で、次にロッテが京セラに来るのは7月に入ってからでした。そもそも京セラでの試合で登板する保証も全くありません。今思えば盛大な前フリにしか見えませんが、この時は中継で見られれば十分だと思っていました。

 ちなみに先発としての佐藤奨真投手の起用法は少し特殊です。ここまでの3試合はすべて佐々木朗希投手が先発登板した翌日に投げています。

 投球と共に注目を集めているのが“登板日”だ。佐藤が先発したのはすべて佐々木朗希が投げた翌試合。160キロ超のストレートを投じる剛腕と、130キロ台のストレートを投じる技巧派左腕のローテーションの妙は話題を集めている。

 相手打者には前日の“剛速球”の残像が残っているのだろうか。佐藤本人も「カーブを投げると打者が突っ込み気味になっている印象はある」と話す。

 佐藤が思い出すのは、入団時に福澤洋一担当スカウトに言われた言葉だった。

「朗希の後に投げる。そういう形が理想だよね」

 20年秋のドラフトで育成4位指名を受け、専修大学からマリーンズに入団。当時はその前年にドラフト1位で入団した佐々木朗希を引き合いに出されてもピンとこなかったが、担当スカウトがプロ入りの門出に話してくれた“夢プラン”はいまや現実のものとなっている。

「朗希の後に投げる。それが理想だよね」ロッテスカウトが描いた“夢プラン”が実現中…打者が困惑する佐藤奨真の130キロ台直球と研究したカーブ

 連戦で全くタイプの違う先発投手を並べると相手打者は惑わされる、野球に関しては全くの素人の私でも何となくイメージとしては分かります。ですがそれが実際に功を奏してきたと言うのが中々面白いところです。そして佐々木朗希投手は6月11日の先発登板が決定的になっており、恐らくその翌日、12日に佐藤奨真投手が先発登板するのではないかと言われていました。

 あまり関係ない話ですがこの2人の組み合わせも結構好きです。投球スタイルだけでなくて体格や雰囲気も真逆に見えるところなんかも。

初遠征

 関東の球団の先発投手を好きになってしまったのが運の尽き、初勝利は中継で見れたら良い、そう思ってはいましたが……結局我慢しきれませんでした。6月10日のことです。11日と13日にはバイトが入っていましたが12日は何も予定が入っておらず、いくつか買い物を諦めれば予算もつきました。週末にしては夜行バスがかなり安かったことにも大きく背中を押されました。迷った時間はわずかに3時間ほどで、試合の2日前に野球ファンになって初の遠征が決まりました。チケットを譲ってくださったフォロワーさんには本当に頭が上がりません。余談ですが10日の夜は京セラで阪神オリックス戦を見ていました。青柳さんマジで凄い。

 そして11日、カメラと最低限の荷物を持ってバイトに行き、その後夜行バスに乗り込みました。11日の昼過ぎには予告先発が発表され、佐藤投手が先発登板することが確定していました。
 思えばここ2年ほど近畿地方の外に出ることすらなく、夜行バスに乗ったのも2年ぶりでした。あと準備にかけられる時間が無さすぎてカメラの予備バッテリーを忘れてしまい、東京に着いてからレンタルする羽目になりました。間抜けすぎる。

築地寿司漬 東京駅グランスタ店の「まかない丼」

 朝ごはん。久々の旅行で若干浮かれる人間の図。改札内にこんなに大規模な商業施設があるのは中々ずるいですね……。

 久々の東京駅で迷子になったり、京葉線のホームがあまりにも遠すぎて着いた頃には既に疲労しかかっていたりとスタジアムに着くまででもう話のネタに事欠かない感じになっていましたが、ともあれ12時過ぎにZOZOマリンスタジアムに到着しました。事前に聞いていた通り海浜幕張駅からでもかなり歩きましたね。この時は晴れてこそいましたが風が強く暑くはなかったです。

6/12 ZOZOマリンスタジアム
人はかなり多かったです。ショップも混んでいました。
完全試合達成記念パネル
展示期間延長のおかげで見ることが出来ました。

 グッズショップに立ち寄った後スタジアムに入りました。ZOZOマリンスタジアムは完全に電子チケットなんですね、めちゃくちゃ便利です……京セラも電子チケットなんですが入口で紙が発行される仕様なので、結局チケットホルダーが必要になってしまうのがちょっと面倒です。
 今回座ったのは3塁側のサブマリンシートという席でした。名前通りグラウンドの下から見る角度の席で、その上3塁側が凄く近い。一軍の公式戦をここまで近くの席で見れたのは初めてだったかもしれません。

3塁ベンチに座る大田泰示選手(筆者撮影)

 もはやDeNAの選手の話し声が聞こえるくらいの近さでした。二軍戦レベル。
 写真を撮るのにも大変良い席で、近くにバズーカレンズを構えた人も何人か座っていました。

 13時過ぎにはかなり気温が上がっており、これも事前に聞いていた通りかなり暑くなっていましたので、とりあえず売り子さんからウーロン茶を買っておきました。天気はやや雲はありましたが晴れて日差しも強く、この時は荷物になるから雨具なんて持ってこなくても良かったなと思っておりました。ですが……。

初夏の嵐

 試合開始20分ほど前だったと思います。スタメン発表が終わり、ダンスパフォーマンスを眺めていたあたりから段々雲行きが怪しくはなっていました。Twitterを見ていると関東住まいのフォロワーさんが「こっちですごい通り雨来た」と呟いていたのも見ていました。ただ雨が降り出したのもあまりに突然のことでした。突然の大雨と突風。雨具の隙間から入ってくるくらいに叩きつけるような雨がしばらく続きました。この時はカメラを濡らさないことに必死でした。後で気づいたのですが先程買っていたウーロン茶はこのバタバタの中で雨に流されてしまっていました。ビールとか買ってなくて本当によかった。開始遅延がアナウンスされ、もし試合中止になったらどうしよう……などと考えながら、屋内に避難することも出来ずにひたすら雨が収まるのを待っていました。

 幸い雨は30分足らずで小降りになり、試合も30分程度遅れはしましたが無事に開始しました。ただし試合開始後しばらくは雨が降り続いていました。

ポンチョスターマン(筆者撮影)
試合前セレモニーの荻野貴司選手と松川虎生選手(筆者撮影)
思いっきり雨が写っています。

 この間あまりにも心細く(?)隣に座っていたバズーカレンズ持ちの男性の方につい話しかけてしまったのですが、快く喋って下さりました。大変有難かったです。ただし私のことは「関西住みのロッテファンでそれも佐藤奨真を見に来た奇特な人間」として認識されたことでしょう。マニアックだと言われました。

初勝利に値するピッチング

 私がZOZOマリンスタジアムにやってきた最大の目的であった佐藤投手のピッチングについてですが、1回から5回までの投球は文句なしと言えるものでした。初回からストライク先行で投げ込み、先頭打者の佐野恵太にヒットは許したもののそこからは進塁も許さず無失点。2回は三球三振を含め3アウト全てを三振で奪っていました。5回までは佐野とソト以外にはまともな当たりを打たせていなかったように思います。相手打者が130km台のストレートに振り遅れるところを何度も見ました。

佐藤奨真投手(筆者撮影)

 この日は三振とフライアウトが目立ちました。アウト18個のうち三振は自己最多の7、フライが8、ゴロアウトは3つのみでした。3回以降は非常に球数も少なく効率的にアウトを奪っており、見ていて気持ちの良いピッチングでした。

 DeNAの先発・石田健大はかの「あと一球」事件が起こった4月6日阪神戦の先発であり、阪神ファンとしてはかなり手強い印象がありました。ロッテ打線は開幕からずっと低調で、特に前日は佐々木朗希への援護点が1点止まりという有様でした。このカードで小島和哉投手にも今季初勝利がついたのだし大丈夫じゃないかという気持ちもありました。

 ですがこの日は打線の援護にも比較的恵まれました。初回から荻野貴司のヒット、マーティンのホームラン(打った瞬間の当たりでした)で石田の立ち上がりを攻め立て一挙2得点を挙げました。その後もチャンスは生まれましたが得点は出来ず、立ち直らせてしまいましたが……。
 そこから5回までは両者ほとんどランナーも出さず0得点が続きました。しかし6回表、先頭打者の桑原将志にヒットを許すと、初回にもヒットを許した佐野にホームランを打たれてしまいます。後で確認したところ所謂テラスムランでした。おのれホームランラグーン。どちらにせよド真ん中の失投を狙われた形の失点でした。前回の巨人戦でもそうでしたが、今のところ一軍レベルでは6回以降、3巡目が課題のようです。
 勿論もっと援護が多ければ、と言うところですが試合は中盤で振り出しに戻りました。

 ここで私が凄いな、と思ったのは連打を許して追いつかれても全く投球に乱れたところが見られなかったところです。落ち着いて2者連続で三振を奪い、牧にはこの日初めての四球を出しましたが後の宮﨑を打ち取ってスリーアウト。結果6回92球、4安打1四球2失点と十分に試合を作ることに成功しました。内野陣が集まったのは四球を出したあとの一度のみ(何故かこの時の写真を撮り忘れていました、不覚)と非常にテンポの良い投球が最後まで続きました。この6回の投球は、5回までの投球よりも強く印象に残っています。
 そのお陰なのかは分かりませんが、6回裏に再び打線はチャンスを作り、スイッチした三上朋也投手からエチェバリア、荻野のタイムリーで勝ち越しに成功。勝ち投手の権利が佐藤奨真には戻ってきました。プロ初勝利まで、残り3イニングとなりました。

劇場&劇場 そして

 佐藤奨真は6回で降板となり、7回以降はリリーフ陣に後を任せることとなりました。ロッテも現在のところ中継ぎに3連投をさせない方針になっているようで、この日は勝ちパターンの一角を担う東條大樹、ゲレーロの両投手がベンチ外となっていました。その代わりに7回のマウンドに上がったのが小野郁投手でしたが、DeNAの下位打線を三者凡退に抑えて降板しました。素晴らしい。リリーフの鑑です。

小野郁投手(筆者撮影)

 7回裏はDeNA・入江大生投手の好投でロッテは無得点。
 8回には西野勇士投手がマウンドに上がりましたが……2安打1四球で1死満塁の大ピンチに。そして4番・牧秀悟を迎えます。万事休すだと思いました。私の知っている限り、牧という選手はこういう時ほぼ確実に決めてきます。4月6日に阪神・伊藤将司が9回2アウトから完封を逃した日もそうでした。最早せめて1失点で済むことを祈るしかありませんでした。……が、結果はまさかの投ゴロ併殺。無失点。奇跡かと思いました。自作自演の大劇場でどっと疲れてしまいました(笑)。
 またどちらに流れが傾くか分からなくなったところでしたが、2アウトから髙部瑛斗のヒット→盗塁から荻野のタイムリーで貴重な追加点を挙げることに成功。理想的な攻撃で、今日は勝てる流れだとようやく思えました。

 そして9回。勿論マウンドに上がったのは守護神・益田直也投手。昨日からの連投ですが、何とか抑えて欲しいところでした……が、まあ先頭出しますよね。隣の方が「ロッテファンは肝座ってんなあ」と仰っていましたが、ほんとうにね。益田さんが先頭出したくらいで狼狽えるロッテファンは多分居ませんよ。でも一死二三塁は結構怖いですよ。この日のソトはずっと怖かったですね……。アウトにはなったものの大和のフライも結構良い当たりで一瞬行かれたかと思いました(小心者)。結局8回に続きの大劇場。結局二ゴロと暴投で1点差まで迫られて本当に生きた心地がしなかったです。益田さんは追いつかれなきゃいいと思ってるだろ。

 ともあれ、最後は桑原を打ち取ってゲームセット。佐藤奨真投手のプロ初勝利は守られました。良かった。

5-4でマリーンズの勝利。
カッタデー(筆者撮影)

 本当に疲れました(特に8回と9回)。隣の方とは固い握手を交わしました。ありがとうございました。

 お立ち台は勿論プロ初勝利の佐藤奨真に、勝ち越し打を放ったエチェバリア、3安打2打点の荻野と3人が選ばれました。

本日のヒーロー
荻野貴司、佐藤奨真、アデイニー・エチェバリア(筆者撮影)

 佐藤投手のヒーローインタビューを聞いた印象ですが、思っていた以上に落ち着いていたなと思いました。強心臓なのが伺えます。今日は(今日も)お父様が観戦に来られていたようで、ウイニングボールはお父様に渡すそうです。本当におめでとうございました。
 荻野選手は怪我で開幕に出遅れ、一軍に合流してからもあまり打てていなかったのですが、この日の活躍でようやく復活と言ってもいいのでしょうか。エチェバリアもですが今後打線が活発になっていくことを願いたいものです。髙部の盗塁について言及しているのも良かったです。

 本当に、最高の試合を見せてもらいました。急遽決めた遠征ですが行って良かったです。体力的にはしんどすぎるので当分こんなことはやりませんが(笑)。

試合終了後のZOZOマリンスタジアム

振り返り

八重洲一番街・ソラノイロNIPPONの特製ラーメン

 試合後東京駅に戻り、関東住まいで普段から仲良くして下さっているフォロワーさんとラーメンを食べに行きました。雨でバタバタして昼ごはんを食べられなかったこともあり、空腹に染みましたね。美味しかったです。
 そのまま夜行バスに乗って13日の朝には大阪に戻ってきました。その後バイトもこなしましたがめちゃくちゃ疲れましたね……。無理は承知で組んだスケジュールなので後悔などはしていませんが。


 それでは最後に。佐藤投手は緩急が特徴の投手で、持ち球は主にチェンジアップ、(スロー)カーブ、カットボールです。そんな投手の持ち味を最大限に引き出したのが5月28日阪神戦の途中からこれまでバッテリーを組んでいる佐藤都志也捕手でした。

【ロッテ】佐藤奨真“自分らしさ”発揮しプロ初勝利、前日佐々木朗希からの緩急で最遅は85キロ
【ロッテ】捕手佐藤都志也が天気も気にしつつ考えた 佐藤奨真のゆる~い球の魅力の引き出し方

 こちらの2記事は初勝利の翌日6月14日に日刊スポーツで掲載された記事です。ぜひ読んでみてください。

 あとこの記事を書いている途中に気付いたのですが、公式からこんな動画が……。W佐藤バッテリー、推すしかない。2人でお立ち台に立ってくれよな!!!!

 まだ応援し始めて日は浅いですが、今後とも熱く追っていきたい投手、そしてバッテリーだと思いました。ZOZOマリンスタジアムにはいつかまた行きたいですね。
 改めて、プロ初勝利本当におめでとうございます。これからのさらなる活躍に期待しています!


 とにかく長い記事になってしまいましたがここまで読んで下さりありがとうございました。また題材があったら書くかもしれません。それでは。


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