立てー立つんだ~
懐かしいフレーズ
漫画・「あしたのジョー」で、
主人公・矢吹丈(やぶきじょう)が
ボクシングでダウンした時
リングサイドから飛んでくるセリフ。
声の主は坊主頭に黒の眼帯
顔や額に傷があり、
腹巻きで杖をつき
出っ歯が特徴の丹下段平!
この言葉により、
意識を失いかけた主人公が
力を振り絞り立ち上がり
その後奇跡を起こす。
思わずそんなシーンを期待して
声を出しそうになった記憶が蘇る
第38回大阪国際女子マラソン。
約4年前の1月
リオオリンピック以来
2年半振りの挑戦で注目を集めていた
福士加代子選手
12キロ過ぎの転倒に
その言葉が脳裏をよぎった❗
両手を地面に突き
額を道路に打ちつけ
両ヒザを擦りむき流血。
痛々しい姿がテレビでアップとなった時、
恐らく多くの皆さんが
「立て-立つんだ~福士~」と
叫びたくなった筈。
マラソンで顔から出血シーンなんて
滅多に無いことに加え、
四つん這いになった光景は
正にボクシングでダウンした様な感じ。
丹下段平の心境になるのも
頷ける場面だった。
そんな大勢の心の叫びが届いたのか?
福士選手は見事立ち上がり、
再び走り始めたのである!
時に屈伸をし
時に止まって力を蓄え
前に進み続けた事25キロ地点。
ここでワコール永山監督から
ボクシングで言うタオルが投入された❗
試合ストップ・レース断念
棄権となった。
ただしこの棄権は英断であり、
福士選手本人も次を考えて
止めようという監督の思いを
飲み込んだ物。
そう言えばこの福士選手は
ダウンから立ち上がるのが
得意❔な過去が🎵
2002年全日本実業団女子駅伝
エース区間10キロの3区、
区間新記録間違いないと思われた
9・4キロ付近で
後続の足が絡んで転倒。
左足の腱を切る大怪我を負いながら
立ち上がり、、
足を引きずりながらタスキリレー❗
そんな状況でも
区間賞をマークするという
衝撃の走り。
当時3区から4区の
タスキリレー実況を担当していた私が、
区間新記録へ向かう実況から
福士大丈夫か?に切り替えて
放送したのも懐かしい思い出。
更にその5年後の2007年
日本選手権5000メートル、
スタート直後転倒😅
直ぐに立ち上がり、
後半独走して
笑顔を振りまきながら優勝🏆️
立ち上がった福士加代子の
強さを見せている。
このレース後本人は
「スタートして直ぐにコケてしまって、
逆に落ち着いて走れたから
大正解でした」と
マイナスをプラスに変えた走りを
回顧している。
人は彼女をかっ飛び娘と評したが、
実に上手い例えだったように思う。
残念ながら棄権後
5回目のオリンピックを狙った
名古屋ウィメンズは
思うように走れずゴールテープを
切れなかったが、
4回も五輪に出場したのは見事❗
そんな福士加代子選手
今年1月大阪ハーフマラソンが
ラストランとなり多くのファンから
拍手が贈られた✨
走り終えた福士さん
「最後はまた転ばなくて良かった❗
走るのは楽しかったけど
走れなくなったので終わりにします」と
かっ飛び娘を貫いた引退コメント。
あしたのジョーと違ったのは、
倒れながらも立ち上がり
生きて燃え尽きた所!
今後第2の人生のかっ飛びを
心から祈りたい🎵
それにしても
ジョーは生きていたら
どんな未来だったのだろうか・・・
人生転んで倒れても
立ち上がりその先へ進める
命有ることに改めて感謝したい。