転がる女

千葉には海に転げた女性が3人いる

市川真間の手児奈
勝浦のお仙
木更津の弟橘媛だ

一つの核となるお話が伝え聞くうちに分散された可能性はないのだろうかと疑問に思った。
脚色された部分はそぎ落としてキーワードのみ完結にまとめる

【手児奈】国造の娘。出戻り子持ち。自殺
【お仙】 豪族の娘。未婚。他殺(だが自殺のようなもの)
【弟橘媛】日本武尊夫人。人妻。自殺

端折りすぎた。
伝承と明らかに嘘の部分を切り分けたい。

【弟橘媛】
資料:古事記(712年)
年代:4世紀前半
内容:焼津(静岡)から追い立てられ出港し東京湾付近に差し掛かった時に海が荒れた為海神を鎮めるべく入水

有名な話だと思うが日本武尊という人物が実在すると思う人はいまい。
弟橘媛というのも虚構であろう。
ここで言われているのは東京湾で身分のある女性が船から海に入ったということだけである。
荒天時に態々出航することはないので以下のどれかであろう
①伝承にあるように攻められてやむに已まれず逃げて来た。
②入水するために船に乗った
③本意なく船に乗せられ用が済んだから海に捨てられた

【お仙】
内容①:勝浦の娘。古仙家のお仙は豪族の一人娘であったが、自ら強欲な父の身代わりにになり民衆に崖に落とされてしまう(県サイト)
内容②:興津(夷隅)大沢の娘。代官に見初められたが病弱の父は引き渡すことを拒否、怒った代官に筵に巻かれた父に成り代わり崖に落とされた。(商工会議所)
一次資料も年代も不明

いや?二種類出て来たんだが?
これ別人じゃないか?

お仙①
そもそも古仙という家で娘に仙と名付けるか?
父の着物の纏っていただけで父(大人の男)と勘違いされることは可能か?
豪族というワードが出てくるから5世紀援の話だが、有名豪族が整理される前の話だと思われるので4世紀の話か
18歳と伝承にはあるがその年齢で未婚かつ男の影もないのはおかしくないか?

お仙②
代官というワードがあるからには武家政権中世以後の舞台設定だろう
おそらくお仙①は名前が伝わっていなかったため類似点のあるお仙②と混同されたのでは?

①②ともやけに具体的に地名やら氏やら出てくるんだが歴史的に検証したような話は検索しても出てこなかった。
物語としても疑問符の多い話

【手児奈】
年代:舒明天皇の時代(629-641)
内容:自分を取り合って男性間で争いが起きた為元凶を断つべく入水

8世紀には音に聞こえた有名な物語だったようである
子持ちの母がそんな理由で自殺するかなって疑問はある
あとは子供が残った筈なのに足跡不明

整理してみると立場もシチュエーションも違うが不可解な理由でそれなりの身分の女性が身を捧げていることは共通している。
やはりモチーフとなる物語があったのではないかと思う。

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