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【くま日誌】628号 それ差別じゃないっすか?いやインセンティブです。

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令和6年5月2日 くま日誌 628号
本ブログは、熊倉 大輔のブログです。
ひとり起業家へ毎日の気づきを発信しています。
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たまたま手に取った「その問題、経済学で解決できます。」という本が面白かったのでオススメです。

この本の内容を一言で言うと「人の行動を変えるのはインセンティブである。人はインセンティブでやる気を出す。しかしそのインセンティブは正しく設定し微妙に調整しなければ効果を発揮しない」ということになります。

著者が他の人と違う所は「実際に実験した結果を提示している」という点です。たとえば、女が男よりも稼げないのはなぜか?という問いに実証実験を通して解を提示しています。

女性はたしかに男性に比べて給与競争が苦手で、その結果男性よりも低い給与になっていると言います。それでは競争意識というのは生まれつきの性差なのか、文化的な刷り込みによるものなのか?


これには、男系の強いマサイ族と女系の強いカーシ族に同じ競争ゲームをしてもらい比較しました。結果は本書に譲りますが、このような色々な問いに関して実際に同条件で比較をしています。

その他の実験もとても興味深く、人間をより理解するために本書はとても役に立つと思いますね。

その中で「障碍者は差別されるのか?」という問い対しての実験がありました。障碍者と健常者が車のディーラーの所に行って、価格交渉をするのです。すると障碍者のほうが平均して3割も高い価格を提示されてしまいました。これで「差別だろ」となるのですが話はもう少し込み入っています。

その障碍者の方が「他の店も見る予定なんだ」と一言、言うだけで健常者と同じ割引価格が提示されました。


障碍者の方は修理してもらおうと店にやってくるのに大変な苦労をしている。だから修理工は、彼はもう一苦労してまで別の店でも見積もりを取ったりはしないだろうと考え、高めの見積もりを渡すことにしたということが背景です。だから「相見積」を匂わせることで割引額が増えたのです。

障碍者差別ではなく、経済的インセンティブがその原因だったということですね。

人間の心理とは奥が深いですね。適切に「相見積」という武器をちらつかせることで価格交渉で有利になるということがここでの学びでした。もちろん少額でそのようなことをすれば門前払いとなるので先方のメリットも考えつつ、上手に「相見積」の武器を使いたいですね。


そういえば引っ越しをしたときのことを思い出したのですが、見積を取りに来てくれた引っ越し屋さんに聞かれました。

「今、ウチ以外に検討されていますか?」
特に検討していなかったんですが聞かれたので
「2、3社で比較してます。」と回答。

その一言で見積が3割も下がったのだから驚きです。今決めてくれたらこの値段でOKです、ということでしたので即決しました。

さらに畳みかけ、「なんかノベルティとかないですか?」と言ってみたところ、洗剤とか色々いただきました。(せこい)


この本もそうですが、人間の心理を知れば知るほど実生活にも応用でき、自分の体験を通じて実験することだって可能です。

この本もその学習の為と考えたら、1500円くらいだったでしょうか、お得な買い物だったと思ってます。


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