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なぜ菅総理は解散総選挙をしないのか?

年内の解散総選挙が見送られる公算が高まってきました。
麻生太郎副総理がしきりに解散を主張し、下村博文政調会長が「自民党の国会議員のほぼ総意、即解散すべきだ。」と述べる中、なぜ菅義偉総理は早期の解散総選挙を避けようとしているのでしょうか?

もちろん、菅政権としての実績を上げたいから、というのも大きな理由の一つだと思いますが、自由民主党の党内を眺めていると、別の理由も見えてきます。
自民党対立憲民主党、あるいは与党対野党という構図で見ると、選挙区調整を終えていない野党に対して支持率の高い菅政権が解散総選挙を仕掛けるというのは当然のことのように思えます。自民党の国会議員もそのように思っていることでしょう。
しかし、菅総理の視点から考えると、総選挙で勝利するだけでは不十分なのです。菅総理にとっては、「次期自民党総裁選における再選が確実となるような(願わくば、無投票再選となるような)総選挙での勝利」が必要なのです。
つまり、次の総選挙の時期が次期自民党総裁選に近ければ近いほど、菅総理は次期自民党総裁選に有利になるのです。もし、総選挙で自民党が勝利できるのであれば。

言い換えれば、現在、自民党内で、「次期自民党総裁選での菅再選はどうでもいいけど(あるいは望んでいないけど)早期の解散総選挙で確実に勝利したい」派と、「今より多少支持率が落ちて自民党に不利になっても次期自民党総裁選での菅再選に結びつく総選挙の勝利にしたい」派で、綱引きが行われているということです。
菅総理はもちろん後者です。菅総理と同じく、リアリスト・マキャベリスト・プラグマティストである、二階俊博幹事長・森山裕国対委員長も後者です。
間もなく解散総選挙?「土のにおい解散」」でも書きましたが、解散総選挙のタイミングをコントロールするために、菅総理は自身と気脈を通じる両者をそのポジションに留任させたと思われます。
菅総理は、自ら解散することを放棄し、次期自民党総裁に解散を委ねたわけでは決してなく、次期自民党総裁選における自らの再選に有利になるよう、虎視眈々と解散総選挙の機会を狙っていると思われます。

早期解散総選挙派と菅総理派の争いがどのように決着がつくのか、興味深いです。

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