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実りゆくの感想

実りゆくが公開になった。
私は運良く試写会が当たり既に見ていて、初日映画館に行けていないのだけど、TLに流れる感想に、そうでしょうそうでしょうと全自動赤べこの如くうなずいています。
みんなの感想を見たくて仕方がなかったので嬉しい。
ここから全くネタバレに気兼ねせず書きます。


「実りゆく」のことを事前の印象だと完全にふんわり邦画だと思っていて、ああなるほど竹内さんの大泉洋みを増幅させてしあわせのパンとかぶどうの涙みたいなやつに、タイタンのお笑いをスパイスにするのかな?と今思えば的外れなことを思っていた。
蓋を開けてみたらバッキバキの芸人映画で、正直ここまでかとおどろく。少なくともまんじゅう大帝国ファンの私がみた「実りゆく」は令和の芸人の姿を描いた映画だった。
エーマは昭和の芸人像なのだろうとおもう。故郷を捨て、女に借金を払わせ、芸の道を邁進する。ちょっとステレオタイプがすぎるぐらいのザ芸人。火花感。べつにエーマはまんたな先生には似ていない。
そしてリンゴも夢も実らせるという選択をした実が令和の芸人。松尾さんがモデルで令和の、というのもちょっとあれかもしれないけれど、今はラランドサーヤにアンゴラ村長にハチミツ次郎と兼業芸人というポジション自体はそこまで奇特な選択ではなくなってきたと思う。
監督が、一人の人間のいろんなifの姿それぞれが実りゆくの登場人物みたいなこと言っていたのなるほどなと思った。クリピのかつて天才だったあなたへを思い出す。
対照的な二人が最後の最後の神社で漫才をする。すごい救いだ。舞台の上にはどんなやつもいていい。どんな二人でもセンターマイクを真ん中おけば(今回ないけどね)コンビになる。
それをみてみんなが笑う。家族や友達、つまり選ばなかった自分の人生たちも肯定しているような場面。

あの場面には田中さん本人に抗議されても、監督が役名をエーマで突き通した理由(の一つ)があるのだろうなと思う。
あそこで紡がれる漫才。パラレル世界のまんじゅう大帝国のあったかもしれない姿。あ!実りゆくはまんじゅうシネマティックユニバースだったんだ!!!!(別バースはもちろんこれhttps://youtu.be/8z3k2Vh41VQ
まじでまんじゅうシネマティックユニバースって言いたいだけなんだけど、この最後の漫才の高揚感はちょっとなんとも言い表せない。あのモキュメンタリーにも近かったライブや芸人さんの登場シーンが、最後の実とエーマの並びをまんじゅう大帝国にダブらせるのにめちゃくちゃ効果を発揮していた。
これアイドル映画の文脈に載せて評論できる人いそうな気がする。CHECKERS IN TAN TAN たぬきとかすかんぴんウォークとかのニアイコール本人のキャラ映画みたいなの。アイドル映画が完全ドキュメンタリーになったら、芸人にそのお鉢が回ってきたというのはなんかドリフの時代に戻ったみたいな気もする。
ただ、実りゆくに関してはあくまでまんじゅう向けの目配せを拾った末にそう見えるのであって、ある種いま私がつらつら書いてきたのは幻想の一種でこれはまんじゅう大帝国のPVじゃない。ちゃんと映画としてお話として成り立ってるので、まんじゅうを知らないで見ている人を置いてったりはしていないはず。その塩梅もいいよなーと思う。
神田伯山がラジオで自分の実りゆくへのコメントが浮いていると言ってたけど、私はあれが一番すき。その通りだと思う。

財布にはムビチケが2枚入ってて、まんじゅう大帝国が出るライブに行く予定もある。私は実とエーマの物語の続きをバティオスとかでみれる。めちゃくちゃ贅沢だ。とてもうれしい。

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