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馬とはたらく、西埜さんの原木

冬はカップくんが木を運ぶのに
最も適した季節なんだとか

雪が積もると木を引っぱりやすく
彼の負担が少ないから

カップくんは5歳の雄馬
ここ厚真町で林業を営む西埜将世さんの相棒だ

現代の日本では
木を伐って重機で搬出するという方法が一般的で
馬搬で林業を営むのは日本に数名しかいない

馬搬のメリットは、山が荒れないこと

通常、木を運ぶための重機を山に入れるために
山を削ってまず道をつくる
そこを何度も重機が往復することで
地盤が崩れたり、生態系に影響することも

馬搬なら、馬が通る幅が確保できればいいので
大きな道をつくる必要はない
馬は木と木の間を通り抜けて運べるからだ

そして「台風で倒れた木を撤去したい」
「庭の木を伐りたい」など
小さなニーズに応えられる

「馬でもできる」のではなく「馬だからできる」

馬と共に暮らしながら馬搬による林業で
生計を立てたいと4年前に厚真町へ
移住してきた西埜さん

林業、山仕事と聞いて思い浮かぶ
屈強なイメージとはまるでかけ離れた
屈託のない子どものような笑顔が
印象的な優しい佇まいの男性だ

西埜さんとカップくんの仕事ぶりをみると
馬を人間に従わせるのではなく
パートナーとして敬意を持ち
お互いを尊重し合っているように思える

馬搬にチャレンジする彼らを応援したい

そして、カップくんが運んだナラの木を
しいたけの原木として使うことで

食べてくれる人たちと
厚真の豊かな森林をつなげること
馬と働く西埜さんとつなげることできるのでは

大げさかもしれないが、そんな風に思っている

毎年1万本ほど調達する原木のうち
一部ではあるけれど
西埜さんとカップくんの木を使っているので

たのしいたけを食べるとき
寒い森のなか、白い息を吐きながら
カップくんが木を引っぱる姿を思い浮かべて
味わってもらえたらうれしい

※記事内の写真はすべて、写真家の黒川ひろみさんが撮られたものを、西埜さんにご提供いただきました

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