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「自暴自棄」で自身を陶冶する精神的弱者 is

夜は7時。オフィスには数人、そしてその全員が死んだ魚の目をしながらも、そこはかとない殺気を放ち、PCとにらめっこしている。

定時就業が基本のキなこの国で残業をいとわないとはなあ、と数年住んだ今でも感心してしまう。女はマジメに働き、男はフマジメを極めたのか、人によっては真っ昼間からビールを飲む光景にも以下同文。

しかしそれでも過労死を全く耳にしないのは、やはり文化や性格といったお国柄によるものなのだろうか(わざと残って残業代を稼でいるらしいが、まあおもしろそうなので後でテーマにしてみよう)

ところで、実はボクも前述した数人のうちの1人なのだが、ボクの場合はそうなるべくしてなっていると告白したい。つまり、8月31日に絵日記を仕上げる小学生のように、日々就業時間が近づくと(金曜日の就業時間が近づいた時は特に)、FFで例えるならバーサク状態になる、アレな人間だからだ。

自分で言っておいてなんだが、ケツの穴が小さい人間ゆえちょっと言い訳をさせていただくと、重き荷を負いてゴルゴダの丘へ行進するイエスよろしく、自らヘルニアを極めていくレベルの業務量と責任感には、これでも日々押し潰されているつもりだ。

しかしまあ脳は正直である。始業時からなぎ倒しては降ってくる不条理という名の業務を、定時から2時間、3時間と経った後でもなぎ倒し続けていると、もはや両手がキーボードと性行為しているとも形容できるだろう狂気に耽溺する一方、心身が疲労を歓迎する。

そうしたら最後、身体的にはあくび、目のかすみ、視界の狭まり、意識の薄れに、精神的には自暴自棄に拍車がかかる。

それでもボクは、この「自暴自棄」に一目置いている。むしろ、たびたび救われることが多い。感謝…まではいかないが、今後のボクを高めていくキーパーソンになるのは間違いない。

というのは、これやると怒られるかな…どう思われるかな…怖いな…といつもビクビクしては行動を起こせない精神的弱者であるボクが、「ヤツ」のおかげで、もうどうでもいいや~データ揃ってないし文言も不躾だけどメール送っちゃえ~えい~~(送信ポチッ)、あ~あ~送っちゃった~~、まあいっか~~、うんこちんこ~~~~、となるからだ。

そう。ウジウジして行動を起こせず、機会損失も甚だしいレベルの杞憂に支配された挙げ句に損を被るいつものボクが、とりあえず行動してみて、たとえ不快感を抱かれたとしても、実際は予想より大したことなく、というかその他者もそれほど深刻に考えてなく、極論してしまえば死ぬこともなく、むしろ良くも悪くも次につながって何かしらの糧を得られるスーパーなボクになる。「ヤツ」のおかげだ。

心理学的にいえば暴露療法ともいえようか、現状は恐怖としか思えない状況に自身を投げ入れたあとで「実はそんなに恐怖でもないよね」と肌で知る、そんな機会がボクのような精神的弱者には、少なくともボクには、効く。またそんな道を少しずつ歩んでいくことで、おそらく精神が安定していくのだろう。

今日の労働もそうだった。いつものように幕があき、絶望のうた歌うボクに届いた知らせは、”自暴自棄”であった。そこに、もはや恐れなどありゃしない。

今まで丁寧に推敲していたメールを適当に締め上げて送信し、自分でもできるが時間がかかるデータの収集を他者に投げ、その作業量でこの締切とかふざけてるの?無理でしょ?と普段なら口が裂けても言えないことを言う。「もうどうにでもな~れ」の境地に達した。

もちろん、生粋の豆腐メンタルである以上、明日が怖いのは言うまでもない。どういう反応が返ってくるだろう、怒られたらイヤだな、嫌われるかな、アア~~~~~~~、と。

しかしそれでもやってしまった以上ゴチャゴチャ考えても時間のムダだし、おそらくこの心配も杞憂に終わるし、仮に何かが起こったとしても対処するしかないし、とりあえず今できることは寝ること、ただこれのみなのだろう。

まあそう常にいられれば、精神もこんなに弱りませんよ、って話なんですがね。

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