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「ぼくたちの哲学教室」を見て話した。子どもが思ったことを、言っていいなんて!

【ワークショップ】この映画について、しゃべりたいの会
【日時】2023年8月26日 土曜日 18:00-19:30
【参加者】5名
【場所】埼玉県越谷市 駅から徒歩5分 カフェあかね.ya ワークスペース

【様子】映画『ぼくたちの哲学教室』を見た人も見てない人も、自分の気持ちを素直に話し合って、分かち合う時間になりました。


日本初のユニバーサルシアターで

東京都北区にある小さな映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」
映画『ぼくたちの哲学対話』を見ました。

「シネマ・チュプキ・タバタ」はミニシアターにして、
日本初のユニバーサルシアター。

『ぼくたちの哲学教室』は、この場にふさわしい内容でした。

だからこそ、胸に迫るものが大きすぎて、誰かと分かち合いたくなり、すぐに「しゃべろう会」を企画したのです。

北アイルランドのことを知らな過ぎた

この映画は、けっして明るく楽しい話ではありませんでした。

【内容】
北アイルランドのベルファストに実在する公立男子小学校が舞台の、ドキュメンタリー映画。この町には、北アイルランド紛争の爪跡が、いまも色濃く残っている。

小学生の生活にも、親世代が抱える「敵対する気持ち」や「怒り・憎しみ」が伝播していて、町全体が麻薬・銃・自殺といった不穏な世界に包まれていた。ときに、小学校の校門前に爆発物さえ置かれる。

憎しみを憎しみで返せば、暴力での問題解決になる。
その連鎖を止めるには、哲学による対話しかない。
その信念を持って「小学生に哲学の授業」をすることにした小学校の日々をまっすぐに誠実に描いている。

『ぼくたちの哲学教室』のチラシ

映画を見た人が4人+見てない人が1人で、会はスタートしました。
まず、ざっくりと映画の内容を振り返って、あとは自由にざっくばらんに話します。

「わたし、北アイルランドの現状をあまりに知らなくて・・・驚いた」

この言葉にみんな深く頷いた。

町の中に、「平和の壁」と名付けられた分断の壁があることも知らなかった。壁の上には、さらに鉄条網が張り巡らされていた。


子どもが思ったことを言っていいなんて!


発言は続く。
「自分の子どもの頃を思い出した。大人が一方的にああしろ、こうしろと言ってた。矢印が一方向だった」

「でも、ここの小学校は違う。いろんな方向の矢印が飛び交っている」

「うんうん、子どもが思ったことを自由に言えるって、スゴイよね」

「きっと、それだけ安心できる場なんだよね」

そう、そうなのだ。幼稚園児のような小さな子も、「自分の考え」をまっすぐ言葉にしていた。躊躇したり、ほかの人の顔色を見ることもない。他者の発言をからかう子には、先生が毅然とした態度で「どんな発言も尊重される」と伝えていた。安全な場は、この積み重ねで作られている。

「こんな教育の場にいたい」と、みなが口を揃えてうらやましがった。不思議な話だ。過酷な世界を生きている彼らがうらやましくなるなんて。

わたしたちは、どうしたらいいんだろう。


「問題があるからこそ、話しあうんじゃない?」
そんな意見が出て、確かに平和ボケしていると話し合いにはなりにくいかもしれないねえ、と一同が傾きかけたとき

「でも、日本人だって、知らないだけ見ないだけなんじゃない?」
「第二次世界大戦のことだって、そうかもよ」

イングランドから、突如自分たちの生活にぐっと問題が引き寄せられた。

ほかにも、
身近の家族が一番冷静に聞いてくれない
子どもはすぐに「わかんない」と言い返してくる
親にあまり聞いてもらえなかった
など話は尽きなかった。

わたしたちも、やっぱり「場数を踏む」ことしかないかもしれない。
何度も何度も繰り返して、矢印が自在に向き合う話し合いの体験を重ねていくことが大事と、誰かが言った。

カメラワークも含め制作サイドも好ましい

この映画は、行われている哲学の授業も素晴らしいが、それだけではない。

カメラマンの存在を意識させない子どもの自然な表情が写し出され、
言葉で主張を押しつけず、画像を通して各自に考えさせる。
感動に無理やり寄せ過ぎない。

そんな描き方が、かえって胸に響いた。
制作サイドの一貫した姿勢も、とても良かったという感想を分かち合った。


同じ映画を見ても、それぞれ感じ入る部分が異なり、ハッとする感想が聞けた。語り合うことで、流してしまわない効果を感じました。
また、ゲリラ的に映画を見て語り合う会をしてみたいです。

突如の企画にご参加してくれたみなさま、ありがとうございました。

(とこ)


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ゆるく。そして、ここちよく。

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絵本を入り口に哲学対話をする会も行っています。
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