2023年のエンゼルスと大谷選手を振り返る

大の大谷選手のファンである私は、エンゼルスや大谷選手に関して4月から6月まで不定期でnoteで記事を投稿してきた(大した内容ではない、一個人のただの感想だ)。

しかし、7月以降は、大谷選手属するエンゼルスの成績低迷も相まって、なかなか”記事”というボリューミーな形式で何かしらの文章を書く気が全然起きなかった。記事にしたいと思うほどの題材も特になかった。試合結果に関するXでの投稿は毎日続けていたが。

11月に大谷選手が2度目のア・リーグ満票MVPを受賞した時や、12月にドジャース入団が決まった時は、ツイッター上で喜びの投稿やリツイートはしていたが、特段noteで記事を書こうとは思わなかった。
それは、いま記事を書くとするなら、(別に誰に言われたわけでもないが私がnoteを始めた経緯からして)今年もPO進出が叶わなかったエンゼルスの2023年の振り返りもしなくてはならない気もして、それがなんだかとても面倒に思えたから。
X投稿で事足りていたのもあって、そういうMVP受賞やドジャース入団とかの大きなトピックがあるときですらnoteの記事投稿はやる気が起きなかった私であった。

そんな中、昨日12月23日にNHKで放映されたNHKスペシャル『メジャーリーガー大谷翔平 〜2023 伝説と代償 そして新たな章へ〜』をみて、これについて自分が感じたことや考えたことをまとめたくて居ても立っても居られない気分になった。これほどの衝動は久しぶりの感覚だった。文字数的にXの投稿では収まらないことも踏まえて、久しぶりにnoteで記事を書こうと思った。

しかし、そのNHKスペシャルをみた感想を記すにあたっては、2023年のエンゼルス、そして2023年の大谷選手に対して私が感じたり考えたりしたことに触れないことには、筋を持って語ることができないように思えた。

そこで、まずは、『2023年のエンゼルスと大谷選手を振り返る』というタイトルで、2023年のエンゼルスと大谷選手について、私個人の視点で総括しようと思う。
※以下、長文駄文で読者のお目汚しになることを先に詫びておく。


2023年のエンゼルス:勝つべきときに勝てないチーム

今シーズンは、大谷ファンとして、そしてエンゼルスを応援する者として、私は『ポストシーズン進出』を一番の目標に設定してエンゼルスを応援していた。
大谷選手の打率やHR数、防御率、奪三振数などの個人成績も常に気にはなっていたが、極端な話「大谷選手が打たれようが凡退していようが、チームが勝ちさえすればいい」と思うほどに、シーズン中は目の前の1試合1試合の勝利をただただ願っていた。

それは、二刀流は個人技の披露ではなく、チームの勝利に貢献するんだということを全員に証明してほしかったから。
現地では「彼はすごい、Most Outstanding Playerだ。それは認めよう。史上最高の野球選手のひとりかもしれない。But、彼はプレイオフに出場していないだろう?なのにMVPってw」みたいな現地メディアの風潮が嫌で嫌で仕方なかったから。そういうことを内心思っている大人全員を黙らせてほしいという願望が私には強くあったから。
ただただ二刀流で活躍する物珍しさやその才能の貴重さゆえの”見世物”みたいに扱われていくことが、大谷ファンとして我慢ならないから。
『大谷選手の二刀流は、チームの勝利のためにある』。栗山監督がいつも大谷選手に関するコメントで触れているこのことを、メジャーという大舞台で、今年、エンゼルスというチームで、みんなに証明してほしかった。

だから、2023年シーズンを観戦しているあいだは、(大谷選手の投球や打席を楽しみつつも)私は一番にエンゼルスの勝利を願っていた。大谷選手が打たれようが、凡退していようが、チームが勝てればそれでよいとすら思っていた。
チームが勝つという結果が出ないことには、二刀流がチームの勝利にどのように貢献しているかの議論は始まらないと思うから。

そして、2023年シーズンが開幕する。

エンゼルスは、エンゼルスの顔であるトラウト選手もいて、メジャーナンバーワン選手の大谷選手もいて、投手陣も野手陣もうまい具合に若手有望株が出てきていて、近年ではプレイオフ進出の可能性が最も高いように思えた。

結果はア・リーグ西地区4位(73勝89敗)。

夏頃(7月末)までは、希望はあった。プレイオフ進出圏内(ワイルドカード枠)まで、2ゲーム差とかだったと思う。
だから、エンゼルスは大谷選手をトレードに出さなかったのも十分に理解できる。

しかし、奮闘むなしく、結果は地区4位。

シーズンを終えて、私の胸の中で残った感想はひとつ。

”エンゼルスとしては、勝つべき試合、そして、勝たないといけない試合に、勝てなかった”

格下と思われる、絶対に負けられない相手に負けるのもそう。リードしていてこのままいけば勝てるはずだった試合を逆転されて落とすのもそう。そんな試合がいくつもあったように思うのが、今年のエンゼルスに対する私の印象だ。

その中で私が一番記憶に残っているのは、6月下旬のロッキーズとの3連戦。2023年はナ・リーグ西地区最下位であったロッキーズを相手に、エンゼルスは1勝2敗で負け越した。正直、私は、2023年シーズンのエンゼルスにこの辺りから明確な疑問符を持ち始めた。こんなことで、ポストシーズン進出なんてできるのだろうか?と。

勝たないといけない相手だったといえば、ロッキーズ戦の前に行われた、6月のロイヤルズ(2023年ア・リーグ中地区最下位)との3連戦でも第2試合で9回裏に逆転されて10-9で敗戦した試合も強く印象に残っている。3連戦は2勝1敗で勝ち越したが、スイープできる数少ない機会をみすみす逃したことに落胆したことを覚えている。

そういえば開幕戦も大谷選手の好投むなしく、勝てなかったな。

あと、8月のブルージェイズ戦第2試合で、ウォード選手が5回表に顔面死球を受けたときも、その回の裏にブルージェイズに逆転されてそのまま負けたし。この試合はリアタイで観戦していたが、これは本当に、エンゼルスというチームに情けなさしか感じなかった。仲間が死球受けて退場しているんだから、せめてこの試合は死にものぐるいで勝ってやれよ…と思った(プロの世界での1勝の難しさ云々の話は別とした感情論で申し訳ないけれども…でも…)。

エンゼルスが勝たないといけない相手に勝てないこと、勝つべき試合に勝てないこと、は今に始まったことではない。

2022年には、大谷選手が1試合8打点を記録した試合があったが、最後は延長戦の末に黒星をつけている。この試合は、大谷ファンとしては、大変にがっかりした記憶が今も根強く残っている。

エンゼルスというチームは、こういう”勝つべきときに勝てない”チームだった。
2023年の私のエンゼルス評はこの一言に尽きる。

最後に余談ではあるが、2021年からエンゼルスを3年間応援していた者として私がしみじみと実感したことがある。
それは、”選手を育てる”ということが強いチームになるためには超・重要であるということだ。
それは、生え抜きで良い選手を輩出するという意味もそうだし、FAやトレードで加入した選手に対するアドバイスやサポートという意味でもそう。
エンゼルスにFAやトレードで加入した選手で、控えめに言っても、活躍したといえる選手はほとんどいないように思う。ある程度の成績を期待されてエンゼルスに入団したのに、結果を出せなかったのは、必ずしも選手自身の問題だけではないように思う。球団側のサポート(データ分析、投球アドバイス等)がうまくいっていない、ということは十分に考えられる。例えば同地区のアストロズ(2022年地区優勝&WS優勝、2023年も地区優勝)は、このあたりの充実度が、エンゼルスの1枚も2枚も上を行っているように思われる。それを示す例として、アストロズは、2022年は投手大谷を前に5戦中3敗も喫していたが、今年は大谷投手が先発した試合は全勝した。これは、チームとして同地区のライバル球団のエースである大谷選手へのアプローチの仕方を球団側でしっかりと練っていることが伺える。アストロズを見ていると、MLBで勝ち切ることができるチームというのは、”選手単体の集まり”としてではなく、”選手・監督・コーチ・フロント・スタッフ全員が一丸となったチーム”として目の前の1試合に臨んでいることが伺えた。
MVP3度のトラウト選手と、二刀流のスーパースター大谷選手を擁しながらもエンゼルスがポストシーズン進出にかすりもしないのは、このあたりに他球団と比較して脆弱性があるのではないかと推察する。

私は、大谷選手のファンなので、2024年はドジャースを一番に応援する。なので2024年はエンゼルスの試合を追うことは少なくなるだろう。
しかし、2023年、オホッピー選手やネト選手、サニュエル選手など期待できる若手選手の台頭を私は目にしてきた。彼らが来年どういう成績を残すのか、エンゼルスの主軸として成長していくのかは、興味がある。
若手有望株を更に飛躍させる・主軸として成長させることがエンゼルスという球団にできるのか。私の洞察が不足していただけで、エンゼルスも選手を育てる懐の深さはしっかりあるんだというところを見せつけてくれるのか。2024年のエンゼルスも(一番に応援することはなくなるが)密かに見守っていけたらいいなとは思っている次第だ。


2023年の大谷選手:投打でなにか掴んだか?

2023年、大谷選手は、投手としても、打者としても、なにかコツをつかんだのかもしれない。
私を含むファン全員が、来年(投手としては再来年)、大谷選手はどういう成績を残すのだろうかとワクワクしてしまうような、そういう2023年シーズンの活躍だったと思う。

【投手大谷について】
ピッチャーとしては、7月のタイガーズ戦。やや投球フォームを前傾にしていた。これは、試合中継で後ろから投球フォームを見ていて、私個人としては感覚的にしっくりきていた。
その日は9回完封としっかり結果もついてきている。

そのタイガース戦から、投手大谷は、マリナーズ戦(4回無失点)、ジャイアンツ戦(6回1失点(自責0))、レッズ戦(2回無失点)と、痙攣があったり靭帯損傷したりと体はボロボロになりながらも、しっかりと成績を残していたように思う。

2023年の投手大谷について、私はこの投球フォームの変化が強く印象に残っている。
もし健康な状態で、やや前傾した新フォームで登板し続けていたら、どういうパフォーマンスを見せてくれたかと思うと、興味深い。

投手大谷の復活は再来年(2025年)の予定だ。1年以上あいだは空くが、そのときはどのような姿を見せてくれるのか、私は今からワクワクしている。


【打者大谷について】
バッターとしては、怪我で最後の1か月を未出場ながらも、3割、44本と、申し分ない成績を残せたことが何よりもコツをつかんだ証拠だと思う。昔から、「一番は構え」とコメントしてきた大谷選手。
その、最高の”構え”を、今年は見つけたのかもしれない。

私自身、6月上旬までは、チャンドラー製の新バットに「ハンマーみたいだ」「こんなバットじゃあ良い成績残せるはずない!」とかなり懐疑的に思っていた。

しかし、大谷選手は「何言ってんの?ノープロブレム。全然使いこなせるよ」と言わんばかりに、過去最高ともいえる打撃をそこから私たちに披露してくれた。私を含め、誰も文句を言えないような成績も残してくれた。

この活躍について、大谷選手の番記者である日刊スポーツの斎藤記者がテレビ(Goingかな)で語っていたこととして、構える時のバットのグリップの位置を少し低く調整するようになってから、HRを量産していったとのこと。


終わりに

投打ともに、シーズン中でも常に微調整しながらより良いフォームを探求し続ける大谷選手。

大谷選手のファンになって、大谷選手を追っかけながら野球の試合を見ていくなかで、なんとなく感じ取ったことがある(これが合っているかどうかはわからない)。

“チャレンジ”

プロ野球選手を語る上で、これが、切っても切り離せないキーワードだということ、だ。

3割も打てれば上等ともいえる野球の世界。
完封することもあれば、1アウトも取れないまま降板することもある野球の世界。

この、野球という、確率の世界を体現しているような競技で(野球未経験で個人競技のテニス畑出身の私からすればそう思ってしまう)、プロとして、いち選手として、第一線で活躍し続けるということが、どれだけ稀有で大変なことか。
それは、もう想像を絶する所業といっても過言ではないと思う。
そのためには、恐らく、心技体あらゆることにおいて、大なり小なりの”チャレンジ“を日常的に行なっているのだと思う。
野球がうまくなるために、チームが勝つために、日々クリアすべきタスクや考えなければならない事項というのは、生活面でも技術面でもメンタルや意識の面ですらも、大なり小なりあるのだと思う。さらに、それは、シーズン中でもシーズン終了後でも、練習中でも家に帰っても、もっと言えば1試合のあいだ、1打席、1球ごとに。
そして、そのどれもが、”安定した成績”や”目の前の一試合の勝利”を確実に保証してくれるものにならないことを考えると、プロ野球選手は、毎日が”チャレンジ”な日々だと思うのだ。

その日々何を考えたり何を試したりしているかを知る機会は少ないから、ファンはあくまで想像するしかないが、その大なり小なり乗り越えるべきチャレンジがどれだけあるかを想像すると、選手に向かって「打てよ」とか「抑えろよ」とか、簡単には口に出せないな……と私は思ってしまう。

2024年は大谷選手にとって、ドジャースという超強豪チームに加入して初めての年でもあり、2度目の右肘の手術明けということでそのあたりの課題と付き合いながらの年でもあり、総じて”チャレンジ”の年になると思われる。
また、来年は大谷選手と同じドジャースのチームメイトとして、山本由伸選手が加わる。山本選手は、契約内容を見れば、MLB初挑戦ながらも、相当な期待をされているのが分かる。しかし、MLB初挑戦ということで、山本選手にとっては大きな”チャレンジ“の年になることは想像に難くない。

2024年からは、私はドジャースを応援する。この球団は、地区優勝&WS制覇が最大にして唯一の目標だろう。私も、エンゼルスを応援していたときとは少し違う、ファンとしてのモチベーションを今からジワジワと感じている。この感覚は、WBCで世界一を目標としていた日本代表チームを応援していたのに近い、かな。
そのなかで、大谷選手と山本選手の2人の日々の”チャレンジ”がチームの勝利に結びつくことを、日本からエールを込めて祈っている。

以上


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