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欠けたネイルはきみのためにあったのだと、蝉の声が反響した

洗濯洗剤と、アイスクリームと、お惣菜を持って、灼熱のアスファルトを歩いた。 駅から徒歩20分。私にとっては遠いし長い道のりだけど、彼にとってはそうじゃないらしい。暑さと陽射しで買い物袋が一層重く感じた。 家賃4万7千円の白いマンション、その202号室に、それはある。 いやに足音の響く階段を上って、狭い廊下(と呼べるのかもわからないくらい、完全に外である)を数歩進む。ドアは、鍵を開けてもらっていたのですんなり開いた。冷房で冷えた空気が身体中に伝う汗を蒸発させ、たちまち体温

    • きもちいところを探すために舌ピあけた

      * 今年の5月、自分で舌ピアスを開けた。 予想の5倍痛かったけど頑張ってニードルを貫通させ、ピアスを通した。 * 自分の中の「キモイ」感情の処理が上手くないから、痛みに逃げている。小さい時からそうだった。ストレスが溜まると口の中の粘膜を噛んで剥がした。剥がした皮はそのまま食べた。噛み始めたら止まらないから常に口の中はズタズタで、トマトとかとんかつソースが滲みてすごく痛かった。今でもたまに噛み、剥がし、食べてしまう。高校1年生のとき、ついに唾液腺の部分まで噛みちぎって粘

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