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レタス畑とうちゅうひこうしのうた

小説と曲。
場所と匂い。
色と思い出、とか。
自分の中でリンクして、片一方を思うともう一方も勝手に思い出される組み合わせがあったりする。
今でも我ながらぴったりと思える組み合わせを記録しておこうと思う。


コロナがまん延して間もないころ、マスクをする生活から解放されたくて、山の上のレタス農家へ住込みで働きにいった。
標高約1,200m。
夜には星が良く見えた。
そして、レタス。見渡す限り、とにかくレタス。
収穫期になると、どこからともなく香ってくるレタスの匂い。

そのころ、あまりにぴったり過ぎて、
勝手にテーマソング認定してよく聞いていた曲があった。

元々は坂本真綾さんの曲のようだが、
私はコトリンゴの歌うKIRINJIバージョンが特に好きだ。
元々キリンジはよく聞いていたが、お兄さんが始めた新生KIRINJIはあまり聞いていなかった。
なのだが、レタス畑に行く少し前のタイミングでたまたま耳にして、お気に入りになっていた。
夜、高原の道をドライブしながら聞くと、そのまま宇宙にふわりと飛んでいきそうになった。

歌詞にも出てくる「あなたのTシャツ、レタスのにおい」。
レタスのにおいは服にもつくのだろうか。

いつ聞いても数か月のあの生活を思い出す。
透き通って冷たい空気の感触もよみがえる。
農業倉庫の2階で、私はひとりで、宇宙飛行士でもあり農夫でもある、そんな気分だった。

<2020年夏>

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