24歳、恋しさに寄り添う。

いきなり大人になったなあ、と昨年思ったのだが、全然そんなことはなかった。毎年思うんだろう。
気付いたら20代前半戦終了の警笛が鳴っている。わたし自身からというより、得体のしれない空気中のもやのようなものから。目に見えるような、見えないような。
これにやさしく包まれていたような気もするし、冷や水を浴びせられたような気もする。
どこからか聞こえる大人の言葉のことだ。
……どこからか、なんかじゃない、これまでわたしが会ってきた大人のことだ。数え切れないほどすれ違ってきた、たったひとりずつの人間のことだ。

大人になったら朝は起きれるようになるものだと思っていた。
大人になったらお腹は痛くなくなるものだと思っていた。
大人になったら素敵な人に出会えると思っていた。

大人になったら寂しくなくなるのだと、思っていた。


いまのわたし。
朝は起きれないので朝から働くことをやめた。
毎月生理痛でお腹が痛くなるので薬を飲んで静かにうずくまる。
たったひとりの素敵な人には、まだ巡り会えていないみたい。
最近ようやく、「寂しい!」と声に出すことができるようになった。

OMG。ぴえんだよこれは。どういうことですか?? え? ていうかぴえんってまだ使ってて大丈夫ですか?
独り閉じこもってちゃそういうこともわからない。

23歳は選びとることと自分の身を守ることで手いっぱいだったが、そういう繭の1年を過ごしたらなんだかやっとここに種があったことに気付いた。ゆるやかだなあ、自分でもそう思うよ。ただ、わるいが急かさないでくれ、わたしにはわたしの流れがあるもので。

目まぐるしいスピード感についていかなければ振り落とされる、と焦ったことも何度もあるが、よくよく見直せば振り落とそうとしてくるものが何なのか自分にはわからなかったし、人をむりやり振ったり落としたりするのはあんま好きくない。ので、じゃあそれは今のわたしが欲しいものじゃない、とおもうことにした。そのうち欲しくなったら手を伸ばすし、手を伸ばしている人のことも変わらず尊んでいる。

できればこれから、もうすこしこういう思考がちゃんと根を張ればいいのになあ、と自分にお願いしたい。
今はゆっくりと時間を取って、書いたり消したり、言葉を選んだり、思い返したりしながら綴っているので、本心ではあれどかなりろ過された思考になっている。

でもやっぱり、急に言葉が必要になったり、準備が足りなかったりするとあとから悔やんだりすることになる。
だって咄嗟に体が、覚えてることをやるんだもん。
愛想笑いを、濁した返事を、軽い自虐を、瞬きひとつで勝手にやる。
あ〜〜っわたしの流れどこ????? うっかりもってかれちゃった! 足場ぬかるんでるんだが? 誰かおれを助けろ〜〜!(あとり依和23歳独り言大賞受賞ワード)

残念ながら誰も助けてはくれんし、そもそも「助ける」という定義が曖昧なものは誰かが与えてくれるものではない。自分が勝手に受け取るものだ。
まだまだ研鑽が足りねえな、とぼーっとしてみたりするが、こういうのはきっと数をこなしてまた新しく体に覚えさせていくしかないんだろう。無理だったらその時はその時。また考えよう。

じょうずに開き直れるようになりたい。
自信なさげに開き直るより、胸を張って開き直る方が心身ともによさそうだ。
でもそれは決して慢心ではなく、目を逸らすということでもなく、自分自身の居場所を探しつづけるということ。
うん、こんなかんじで、どうでしょう? よさげ。

誰かに何かを伝えたいなら、やっぱりわたしは一滴でも光を渡したかった。
何故ならわたしがそういう表現たちに数え切れないほど救われてきたからだ。

苦しいことも不安なこともおそろしいこともたくさんあって、どうしようもないくらい暗いこともある。
繰り返し繰り返し、自分が弱い人間だということを思い知る。
100人からの「いいね」が欲しい時もあれば、たった1人の「大丈夫だよ」が欲しい時もある。
大事なものが増えるたび、許せないものも増えてきた。

愛するということは全てをゆるすということだと思っていたし、今もほど近く思っているが、愛するゆえにゆるせない、という矛盾に背筋がふるえたりする。人間らしくて興奮もするけれど、まだまだ問う余地がありそうだ。人生100年時代、あと76年も考え続けるのはちょっとごめん被りたいが、今はまだ考えていてもいいんじゃないだろうか。

わたしにわたしがあいされるために。
わたしをあいしてもいいよと言ってくれるだれかの言葉を真っ直ぐ受け取れるように。

まあ愛とかそこまで大きくて深い未知のものではなくても、わたしをゆるしてもいいよ、と言ってくれる人の瞳は真っ直ぐ見つめ返したい。ありがとうと伝えたい。

綺麗なことばっかり伝えられたらどれだけいいだろうかと思うけど、わたしも人間なのでたまに弛んだら手を添えてほしい。
人間だから眠くなるしお腹が空くしえろいことも考える。
そういうとき、しょうがないなあ、と笑ってくれたら。


何でもできそうな気がする。わたしができることのうちは、何でも。

できなかったら
そのときは、そのとき考える。


とりあえず24歳はこんなかんじです。
気が向いたら一緒に笑ってください。

2022.01.29 あとり依和
(浮遊信号pixivFANBOXより再掲)

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