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歌を愛し歌に愛された男。布施明

2023年2月5日(日) 
大阪フェスティバルホールにて、布施明様(以下、明という)のコンサートが行われた。今回は、その感想をお届けしたい。事前にセトリ等の予習をしておらず、また、メモを取りながら観ていたわけではないので、正確ではないことをご了承いただきたい。

15時開場、16時開演だったので、15時30頃会場に到着。客層は、65歳以上くらいの高齢女性が目立つ。着物や高そうなお召し物を来て、明へのプレゼントや花束を持った方もちらほら。杖をついたり脚をひきずっておられるおばあさんお姉さまもちらほら。痛い身体に鞭打って明に会いに来たのだと思うと胸が熱くなる。

お花はこれだけしか見当たらなかったが!?

15時40分頃に席につき、双眼鏡を調節するなどして開演を待っていた。私が使用していたのは対京セラドーム用に買った本気のオタク向け双眼鏡なのだが、会場を見渡すと、折りたたみのコンパクトな双眼鏡を持っている人は少なからずいるものの、本気の双眼鏡を持っている観客はいないようだった。「そんな小さな折りたたみの双眼鏡で明と向き合おうとしていたの?あなたたちは本当に明のファンなの?」と一喝したい気分だった。

16時ぴったりに開演のブザーがなり、真っ暗になる会場。「ドン!」というイントロで始まる曲。そして明の登場である。双眼鏡スタンバイ。あれが…布施…明……。かっこいい。なんという端正な顔立ち。生田斗真に似てない?ハンサム。美男子。二枚目。いい香りがしそう。髪の毛フサフサ。歯並びが良くて真っ白!白すぎる(セラミックなのか?)。とにかく「ザ・布施明」というオーラがすごい。

1曲目『勝手に思い出』
初めて聴く曲。ラテンナンバーである。明はノリノリで「アウッ」など雄叫びをあげている。噂に違わぬものすごい声量。なんならうるさいとすら感じてしまうほどである。左隣のおっさん(一人参戦)がリズムにノッているし、拍手がやたらとでかいのが気になる。

2曲目『昔日の情熱(Caminito)』、3曲目『Mr.Bonjangles』…
申し訳ない。しょっぱなからしばらく全然聞いたことない曲が続いたので個別の感想は省くことにするが、あまりの声量のすごさと歌のうまさにただただ唖然とするばかり。独白コーナーやメドレー、MCをはさみつつ、順調に進む。

MCの内容は、というと
・この島、この国を良くしたい。
・ある学者の説によると、2050年にはこの国はもっと良くなってるとのこと(多少オカスピ系の方向に走っておられた)。
ほかにも色々話しておられたが、うまくまとめきれないので割愛する。

どのあたりでかは忘れたが、黒い帽子をくるりんぱして被っておられ、客席からまばらな拍手が飛んでいた。

そして、ノーマイクで「♪あーあーあーあー」と歌い出す明。あっ、『霧の摩周湖』!!これは知ってるぞ。ノーマイクだがホールに響き渡る歌声。いったいどうなっているのか。

続く『カルチェラタンの雪』。これも聴いたことあるぞ。っていうか歌うますぎる。そして、何曲かあって『シクラメンのかほり』。キターーーーーー!!!!すごい。何度でも言う。歌がうますぎる。

「夢を握りしめたまま逝った友へ(「志半ば?」だったかもしれない)の鎮魂歌」ということで、歌い始めた曲。タイトルはわからなかったが『We'll meet again』と後で知った。先に歌った『YOKOTA AIR FORCE TOWN 』のような英語が混ざる曲で発音の良さを発揮する明。そして、この『We'll meet again』の歌詞を噛みしめながら聴いていると、昨年亡くなった父のことを思い出し、思わず涙がこぼれた(伊勢崎1回目の涙)。調べによると、この亡くなった友というのは、西城秀樹さんのことらしい。

その後、(パンフレットによれば)『慟哭』、『まほろばの国』(明から我々観客へのプレゼント曲とのこと)、『ついて来るなら』と続き、お待ちかねの『マイ・ウェイ』。明の歌唱に全集中。すごいとしか言いようがなく、また泣いてしまった(伊勢崎2回目の涙)。確かこのあたりで何回目かの衣装チェンジがあり、薄いピンクのいかにも高級そうな生地のジャケットを羽織っておられた。あんなに薄いピンクが似合う75歳の男性が明以外にいるだろうか?こんなにピンクを着こなせるのはマイメロか明くらいなのでは?

そしてそして、「今回はもしかして歌わないのか?」と思っていたところへ『君は薔薇より美しい』のイントロ。鳥肌。私はこの曲を聴くためにここへ来たと言っても過言ではない。語彙力が無さすぎるが、本当にすごいとしか言いようがない。この曲はおしゃれだし、明の歌唱はすごいし、何より明が楽しそうに歌っているのでこちらまで楽しくなってしまう。「♪あっ歩く」のところで「本当に『あっ』を入れるんだ」と思わず笑ってしまったし、「♪翼広げて~」のところで腕を横に伸ばすかわいい明が見れたし、「♪変わっ~~たァァァ~~」のところでスタンドマイクから体をのけぞらせて口がマイクから離れていくにもかかわらず声量が大きくなるという怪奇現象を目撃してお腹いっぱいだった。

そしてラストは『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』。何語で歌われるのか気になっていたが、どうやらイタリア語のようである。この怒涛の流れでまた双眼鏡を握りしめて泣いてしまった(伊勢崎3回目の涙)。

アンコールが無いとみんな知っているのか、明が舞台袖にはけてもコールは無し。というか、すぐに会場が明るくなったのでコールする暇もなかったというのが正確かもしれない。

そして、とうとう最後にこらえきれず、左隣のおっさんが長友よろしく「フォーッ!ブラボー!」と叫んでおられ、そんなおっさんに「あんたがブラボーだよ」と声を掛けたくなった。

客席が明るくなり、「本日は、AKIRA FUSE ライブツアーにお越しいただき…」という館内放送が始まった。ライブというのは観客が立ってワーワー騒ぐようなイメージ、明のようなステージはどちらかというとコンサートなのではないかと思ったが、明がライブというならライブなのだ。そして、アナウンスではブロックごとの規制退場を呼び掛けていたが、高齢の方が多く理解できていないようで、指示をガン無視してみんな好き勝手に退散していたのがおもしろかった。

以下、気づいた点などを箇条書きにする。
・全体的にマイクが体から遠い(基本的にネクタイの結び目より下)。
・イヤモニが見えない(付けないことってある!?)。
・息切れする様子がみられない。
・バンドの演奏うますぎ。
・口をパクパクさせて声には出ないセリフを言いながら一人芝居っぽく何か演技をしている様子が何度があった。
・目を閉じて明の話し声を聞いていると美輪明宏様に似ていると感じた。
・たまに声が裏返ることがあったが、CDとは違う生の迫力を感じられて、かえってよかった。
・MCでは「大阪では〇〇を食べた、□□に行った」等のご当地トークが一切なく、少しさみしかった。

こういう全国をまわるライブツアーでは、地方から地方へ移動するのか、地方からいったん東京に戻り、また地方へ行かれるのかわからないが、どうかお体にご無理のないようにして頂きたい(頼むぞ運営)。

妻の森川由加里さんとは、家でどんな話をされているのだろうか。ジャージ姿でソファに寝そべって「えのきって歯に挟まるよね」とかって話をしたりしてるのかな。してて欲しい。

グッズ等には手を出すまいと思っていたが、思わず帰りにパンフレットを買ってしまった。

明、ありがとう。できるだけ長く健康で歌い続けてください。

最後に、同じ空間にいたこの方の息子さんのツイートをご紹介したい。

国へ。明を法で保護して、国民栄誉賞を与えてください。一国民より。





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