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父の三回忌によせて〜ほくろと私

2022年1月7日。午前10時30分頃だったか、父が入院している病院から職場に電話があった。たまにケータイに「着替えを持ってきてください」等の連絡があるが、職場に電話とは。「何か急ぎかな?」と思い受話器を取ると「お父様が心配停止でいま措置をしてますが……お体をきれいに…」えええええ??何を言われたのかよく覚えていなが、状態が危ないんだな、ということはわかった。でも今日どうしても裁判所に提出しないといけない書面があるから、午後から病院いけばいっかな♪等とのんきに構えていたが、電話を取り次いでくれた同僚に「早く病院に行った方がいいですよ」と促され、職場をあとにした。

病院に到着して受付で「お電話を頂いた〇〇の家族ですが」と受付で声をかけると、上の階から看護師長さんが駆け下りてきて「こちらへ」と、病棟ではないところに案内される。「検査室にいるのかな?」と思っていると、あ、霊安室。あ。。扉を開けると、冷たくなった父が、顔に白い布をかけられ横たわっていた。その後は2時間ほど霊安室で泣いてて動けずにいたが「あのー…そろそろ」と、葬儀社の一覧表を手にした事務職員さんが入って来られ、我にかえって葬儀社やお寺に電話をしたりとあれこれ手配をした。あとで思い返すと、病院から電話があったときに「お体をきれいに」と言っていたので、その時にはすでに亡くなっていたんだなぁと思う。父は厳しかったのでそんなに仲が良くはなかったし、生まれてからずっと心配や迷惑をかけっぱなしだったが、父なりに愛情をもって育ててくれたと思う。親を亡くして初めてそんなことを実感するなんて、我ながら情けない限りだ。

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2024年1月7日。父の三回忌が終わった。もう2年も経ったのか、まだ2年しか経ってないのか、てか死後2年で三回忌ってどういうことなんだ(※この後、調べました)。

父は色白でほくろの多い体質だった。全身にほくろがいっぱいあり、なかでもおもしろいのが、千昌夫を彷彿とさせるマーブルチョコレート大の立体ぼくろが右肩にあり(ナウなヤングは「千昌夫 ほくろ」で画像検索してみてネ🔍)、幼少期に父と一緒にお風呂に入った際にはツンツンしたりコネコネしたりして遊んでいた。ちなみに感触はレーズンのようだった。
私はそのほくろ体質を受け継いでしまい、体はいいとしても顔にいくつかほくろがあるのが悩みだった。特に嫌だったのが、右の眉毛の眉頭にある直径1cmほどのほくろ。眉毛であまり見えないのだが、とにかくこれが嫌で嫌で仕方なかった。寝る前に鏡を見ては「これさえなければ宮沢りえにそっくりなのに…」とため息をつく思春期everyday(注:裸眼視力0.03)。そうだ、そんなに嫌なら取ればいいんじゃない?(脳内豆電球ピカーン)インターネッツなど無かった中学時代に、ほくろを取ってくれそうな都会の美容外科を電話帳から探し出し、反対する親に頼みこんで連れて行ってもらった。もちろん施術費はお年玉からの支出。カウンセリング時に医師から「このほくろを取ると、その部分からは眉毛が生えてこなくなりますがいいですか?」と聞かれ、少し迷ったが「いいです」と答えた。おそらくレーザーで取ったと思うが、きれいに取れた。今考えると、眉頭に1cmほどの丸い空白があるのはかなりNEOなのだが、そこはあまり深く考えていなかった中学時代のアテクシ。その後、医師の見立てに反し眉毛が生えてきたからよかったものの、もし生えてこなければ、ずっと「眉頭に丸ハゲがある女」という足枷をはめて生きることになっていたと考えると恐ろしい。まあ今はアートメイクやらアイブロウやら眉ハゲを隠す手段はいくらでもあるんだが、眉ハゲはできれば避けたい。Don't you think so?
後日、その美容外科の院長がお金を持ち逃げしてボートでどっかに逃亡したとかいうニュースを新聞で知った(結果、当該美容外科は閉院)。今、この件をネットで検索しても全くそれらしき記事が出てこないことに何らかの闇の存在を…(おっと誰か来たようだ)。

社会人として働くようになって金銭的に余裕がでてくると、顔のほくろを一掃したいという気持ちになり、皮膚科で取ってもらった。だが、くちびるの右側にあるほくろは、なぜか取る気になれなかった。
そんなある年の正月、友人と台湾に遊びに行った。街を歩いていると占いの館のようなものがあり、興味本位で入ってみた。中には占い師のおっさん(日本語OK)がひとり座っており、あれやこれやと質問に答えてくれた(やりとりは99%全く覚えてはいない)。最後に、そのおっさんに「あなた 口もとにあるそのほくろ ぜったい取ったらだめよ そのほくろ 食べるに困らないから」というようなことを言われた。はい了解〜。これは決して取りませんぞ!そのおっさんとの約束を守り続けてうん十年。このほくろのおかげか、豊かではないが食べるに困る状況には陥っていない。
しかし、昨年より、若返りを図るために定期的に顔にレーザーをあてており、そのせいか、口もとのほくろが薄くなってきているような気がする~(CV:天津木村)。このほくろが消えたら、あたし、飢えちゃうの!?!?黒のマッキー(極細の太い方)でほくろを塗っちゃおうかしら?

いまは安く手軽にほくろを除去できる時代になったが、一度取ってしまったほくろは元に戻せないし、覆水は盆に返らないし、契約って一定期間を過ぎたらクーリング・オフできないし、ダイアモンドは傷つかないし、花を入れる花ビンもないし嫌じゃないしカッコつかないし…と思うと、安易にほくろを取るのもどうなのかな?って思ったのは人生のほんの1秒くらいで、ほんっと顔にほくろなんか無いほうがいいですよ。もし悩んでるならさっさと取ったほうがいいです。千昌夫さんもきっとそう思ってます(知らんけど)。



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