年度末の評価面談で失敗しないために知っておきたい事

アメリカではそろそろホリデーシーズンを迎え、世間の雰囲気が緩やかになる頃ですね。日本では12月は「師走」、即ち年間で最も忙しい時期とも捉えられますが、アメリカでも日系企業のマネジメントの皆さまは、日本同様にご多忙な方も多いのではないでしょうか。

やるべき事が多い中で、満足の行く準備ができないまま年末の人事考課を迎えてしまう様な事態を避けるため、今回は評価について考察してみました。


在米日系企業によくある問題点
私が訪問させていただいている中小規模の在米日系企業では、評価に関して問題を抱えている所が少なくありません。また、訪問企業で評価を行っていない所は稀で、評価を行う際には、ほとんどの企業で評価メソッドや評価フォームなど、何かしらの制度を利用している様です。

問題となっているのは、「用いるのが非常に煩雑なメソッドになってしまっている」「フォームに書かれている評価目標が現状に合っていない」「評価指標が無いあるいはスコアの定義が曖昧」「それによって評価者間で評価の精度が異なる」などの制度や運用に関するもの、「評価面談でこちらの意図が理解して貰えない」「評価目標や結果に対する認識にズレがある」といった、コミュニケーションに関するものなどがあります。

そもそも、いま使っている評価制度が現状に合っていない事や、評価の目的が定かでは無い事など、根本的な部分に問題を抱えている場合もあるのですが、今回は「現在置かれている環境の中でベストを尽くすために、何をしたら良いのか」という観点で考察しており、評価面談までに準備する事と面談時のコミュニケーションという二つのポイントに絞ってまとめてみました。


面談までに準備する事
では、現状の評価制度のもと何を準備するべきなのでしょうか。まずは、評価面談の際に「何を伝えたいのか」「何を聞きたいのか」という部分が最も重要になります。その部分が曖昧になってしまうと、「やらなくてはならない事だから、ただやっている」という事になり、評価というプロセスは形骸化し、評価者にとっても被評価者にとっても有意義な時間では無くなってしまいます。

伝えたい事は「成果への感謝」「取り組みへの労い」「昇給・昇格」「来年度の目標のすり合わせ」など、評価の目的によって多岐に渡ると思います。また、それをどの様に伝えるのか、伝えた際に被評価者からどの様な返答があり得るのかという事を考える事によって、当日のコミュニケーションを円滑にする事ができます。

さらには、給与について言及するのであれば、給与調査などの裏付けを用意する、今後のキャリアについて話し合うのであればキャリアパスを提示できる様にするなど、「ファクト」の準備が不可欠となります。


面談時のコミュニケーション
上述の様に入念な準備をしたとしても、当日に良いコミュニケーションが取れなかった場合、意図していた面談にならない可能性も考えられます。良いコミュニケーションを取るためには、まずは評価者が面談の目的をしっかりと理解している必要があり、同時にマネジメント・マネージャーとしての自覚やビジョンがあるかどうかも大切な要素となってきます。

その目的や自覚・ビジョンがしっかりとする事で、評価者と被評価者の会話が建設的になる事や、取るに足らない内容への言及を避ける事ができる様になり、評価面談がより有意義になるのだと考えられます。

また、被評価者に対して英語でフィードバックを行う場合は、日本語とは異なる言い回しや表現が求められるため、更に準備が必要となります。英語が不慣れである場合は、伝える事を書き出して音読などリハーサルを行うのも一つの方法ですし、伝えるべき内容が改善点を要するものであったとしても、極力ネガティブにならない様な言い回しを推敲するのも一つの方法かもしれません。

それらの部分をしっかりさせる事によって、もう一つ大きなメリットが考えられます。それは、面談時に堂々・ハキハキと話せる可能性が増し、それによって評価者と被評価者の間で、より良いコミュニケーションが成立するきっかけにもなり得るというものです。


時折、「評価の時期を迎えると色々と忙しい」「評価面談は気が重くなる」という様なコメントも耳にする事がありますが、いまからできる事を一つでも多く実現させる事によって、評価がよりポジティブなものになるとも考えられます。

一年で最も忙しい時期を向かられる方も多いのかと存じますが、来年に向けた良いスタートを切るためにも、評価面談に向けた「良い準備」をされてみてはいかがでしょうか。(2018年8号)


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