こころ 夏目漱石 青空文庫

全体を通して読んだのははじめて!ページをめくる手が止まらない、私は先生の過去を知ったうえで始めから読んでいたが、知らずに読んだら先生の背後に影を落とす暗闇に、さぞモヤモヤしながら読まなくてはならないんだろうかと思った!先生は賢明ながらもいかにも人間らしい人間で、人間のこころのリアルが共感できる一冊。先生が、Kに先回りして奥さんに結婚の談判をする。そのせいでKは命を絶つ。一見、先生が完全な悪のように思える。それでも、先生のこころの描写には一言一句同情してしまう!それはわたしも人間らしい人間のひとりやから、なんかな、夏目漱石にすべてを見透かされてる気分!Kの存在が先生の後の人生にずっと影を纏い続けるのも、人間らしい。1番身近な人間の妻(お嬢さん)が、Kの存在を最も彷彿させるのも皮肉すぎる!
最後、語り手が列車に乗りながら手紙を読んでる設定だったのでわたしも列車に揺られている気分で、最後先生に会いにいくぞ!のつもりだったのに、手紙(というか遺書)を読み終えたところでページが終わっちゃった。語り手は少なくとも生きた状態の先生にもう会えなかったんやろうな、でも、語り手(私)と出会ったから、先生も死という形で楽になる決心がついたのかもしれんと思うとこれもまた皮肉に感じられる。単純な疑問として、語り手はなんで先生にあんなにも近付いたんやろ?見覚えがあるとか何とか書かれてたけど、その辺も気になりました。さすがは不朽の名作、それにしても読みやすかったし前述した通りページを捲る手が止まらなかった!!

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