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読書室の窓辺から (3)

こんにちは。富岡です。
こちらは、課題図書型読書会「対談読書室」の3回目「課題図書『プリズン・サークル』を語り合う (3)」の振り返り記事になります。

参加人数
・スピーカー :3名
・リスナー* :4名
*スピーカーによるディスカッション中は聴き手に徹し、読書会の全体の振り返り時に任意で発言可

読書室の風景

『プリズン・サークル』の課題範囲を読みながらの反響をご紹介していきます。

6 いじめという囚われ

  • 100ページの健太郎の台詞「いつだったか覚えてないんですけど、木とか草を、やたらと愛おしく思うようなったんです。(中略)ああ、自分も生きてるんだなって実感するというか」を読んで、「鉄仮面」があだ名だった健太郎の変化を感じた。

  • 健太郎の母に、健太郎がお金を全部渡していたこと。健太郎が自身の母や家族らに対して「見捨てられ不安」を抱いていたのではないか。自分も、子どもの頃から見捨てられ不安を感じていた。親から見捨てられる不安。健太郎は特に強かったのかも知れない。

  • (スピーカーが見聞きしたいじめの体験談。プライバシーに関わるので割愛)

  • 112ページ。健太郎の台詞「この話は人にしたことがないんですけど」「たとえば、人がここに立ってたりするだけで、本当は怖いんですよ。(後略)」に見られるように、いじめの影は、本人が普段通りの様子をしていても、ふとしたときに健太郎のように恐怖心が蘇ることもあるのでは。

  • 113ページ。精神科医ベッセル・ヴァン・デア・コークの指摘。「仲間の力を借りながら、自分の物語(記憶)と自分の身体を統合させていくことで、感覚や価値観を回復することができる」。TCは、まさにそのための場所といえる。

7 性暴力 光のまだ当たらない場所

  • 119~120ページ。男性の性暴力被害。ナヤ・アービターの指摘「幼少期の性的虐待は、一般に認知されているよりもはるかに多く、しかも男児にも頻発しています。アミティで受ける印象としては、幼少期の性的虐待の割合は、男女の差がない。しかも、男児の場合は男性のみならず、女性からも被害を受けますし、家庭でも、外でも、場所を問わず性暴力にあいやすいのです。(後略)」

  • 「フラワーデモを記録する」フラワーデモ編(エトセトラブックス)で記録されている、性犯罪被害者の語り。女性だけではなく、男性も声をあげている。(被害者は、性別関係なく居る)

  • 126ページ。「(前略)いずれも性犯罪で、人を人と思わない、その感覚にゾッとしたのだった」の「人を人と思わない」が印象に残る。相手を人間と思わないことが、加害の根源にあるのかも知れない。

  • 129ページ。「性的虐待のあと」の朴の発言。「僕自身が、トラウマじゃないんだけど、(中略)女性恐怖症じゃないけど、姉が薄着で家の中をうろつくだけで、もう、汚らわしいっていう、そんな感じになっちゃった。」自分も。自分自身に対する女性性に対する嫌悪がある。男性にも、嫌悪感・恐怖感を持って生きてきた。朴の発言は共感できる。

  • 135ページ。「性犯罪、性暴力には、ジェンダーやセクシュアリティに対する社会のまなざしや姿勢が影響していることを忘れてはならない」。

今回の課題範囲を振り返って

スピーカー、リスナーから、様々な感想が寄せられました。
一部抜粋してご紹介します。

  • 全ての暴力は性別関係なく起こる。誰でも、加害者・被害者になる。そのような暴力が起こる要因は、「相手を人間と思っていない」こと。被害を受けた・加害してしまった、ときの相談先を皆が知れる環境が社会でできると良いと思った。

  • いじめられっ子だった。ただ、自分に「いじめられてる」という意識が強いだけで、もしかしたら自分に「いじめられた」という意識を持っている人もいるかも知れない。

  • いじめについて容認するわけではないが、無くすことは現実的に難しい。だが、対処する方法はある。助けてくれる人がいる。自分は、その人に出会えなかったために、長い間いじめられ続けたし、誰にも相談できなかった。これからの時代変わっていくこととして、制度として、仕組みとして、社会がいじめの相談に乗れるようになるといい。

  • いじめ。いろんな見方・捉え方、被害者の立場・加害者の立場でも違うのだろうな。本人たちの周りの環境に、受け止めてくれる環境があるのがいいのかな。(問題行為を)なぜしてしまうのか、なぜ抱えてしまうのか。個人の点の問題ではなく、面の問題。

  • 性のアイデンティティ。自分の性に対して嫌悪感を持っていたときもあった。「女性らしく」が本当に嫌。だからといって、男性になりたいわけではない。「女性」として認識されたときの「嫌らしい目」が耐えがたかった。自分でも受け入れられていないものに対して、被害を受ける。耐えがたいものだろうな。

  • 性教育が行き届いていない。このように、自分が「性教育」を強く意識することは、自分自身のなかでも向き合いたい課題なのかも知れない。おばさんに被害を受けた朴。朴のおばさん側の抑圧された背景に興味をもった。

  • フラワーデモ。自分もずっと関わってきた。コロナ禍なので、静かに花を持ってスタンディングしている。声を上げているけれども、権力に無視されている。とある男性政治家の発言「どうして性犯罪で一般の女性を殺害するのか。風俗を利用すれば良いのに」という趣旨。本当に腹が立った。風俗の「女の子」たち。自分にとっては地元の女の子たち。彼女たちも守りたい。

主催者からのメッセージ

スピーカーによるフリートークを各章3回ずつ回し、最後の感想を語り合いましたが、参加者(スピーカー、リスナー)の皆さんの熱量が高かったので、アフタートークとして、茶話会でそれぞれの思いを語り合い、さらに考えを深めることができました。
発言しづらいテーマだったにも関わらず、皆さまが勇気を出して意見交換してくださったことに、感謝申し上げます。