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学校施設の長寿命化計画

昨年にはなりますが、香川県坂出市内の中学校で、天井の一部が落下したということがありました。幸い人への被害はなかったですが、その後の調査で他にも天井のモルタルがはがれた部分が見つかる等、老朽化が著しいことが分かりました。坂出市では今年度から来年度にかけて、学校施設の長寿命化計画を策定することとしています。

学校施設長寿命化計画は、国からも策定を要請しているもので、事後保全から予防保全的な維持修繕にシフトしていき、施設の長寿命を図るための方針を立てるというものです。

文科省からは、解説書等も出ていますが、個人的に気になるポイントがいくつかあります。


①全ての施設が長寿命化を図れるわけではない。

施設の駆体の状態が悪ければ、長寿命化という選択肢はなくなり、建て替えが現実的な選択肢になります。耐震診断報告書のコンクリート圧縮強度等から判断するということも書かれていますが、予防保全的な維持修繕をこれまでしていない場合は、40年も経過していると、長寿命化できるかどうかは怪しくなってきます。

②長寿命化は問題の先送りという見方もできる。

長寿命化すれば、中期的にみると建て替えよりは、少ない費用で施設を長く使うことができます。しかし、長寿命化しても、いずれは建て替えの時期はくるので、先行きの見通しが立たない将来に、建て替えを強いてしまうという見方もできると思います。

③長寿命化改修は、現状、駆体以外の改修しかできていない。

文科省のホームページで先進団体の事例等も確認できますが、躯体に対する対策(例えばコンクリートの中性化対策等)を行っている事例は見当たりません。実施しているのは、駆体以外の屋根や外壁といった部位の改修を行う際に、より耐久性が高い材料を使う等の対策をもって、長寿命改修としているようです。


長寿命化だけでなく、統廃合を含めた施設のあり方の見直しも、前提として必要となると思います。改修に関しては、今は駆体に対する対策が少ないですが、時代とともに、改修の技術のレベルと高くなってくると思うので、民間企業との積極的な仕様の共有を行なっていくことが重要です。

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