1Q84

読めば読むほど天吾の生活が最高。

みんな最終的に天吾のような生活がしたくて努力したりしているのではないだろうかとさえ思う。

数学の天才、神童で体が丈夫で大きく、柔道をやらせればこれもなんなくこなしてしまう。

特に意識しなくても自然と周りに認められる。

高円寺の小さなアパートでつつましい生活を送り、早寝早起き。
数学の塾講師をしており評価が高いので週に3日も出勤すればあとの4日はアパートで好きな小説を書いていられる。

週に一度10才年上のガールフレンドがアパートまできて濃密で楽しい時間を過ごす。

性に対しての欲求もそれでほぼ収まる。

穏やかだ。理想的。

途中出てくる麦頭や新宿の店なんかの描写もいちいち心くすぐる。

ふかえりや小松への知的好奇心。

父親との猫の街の時間。

最後の青豆との魂ごとの繋がり。

人として生まれてきて、これ程理想的な人生はないのではないか?

順風満帆に見えて、家庭環境のことで人の痛みが人一倍わかる。

人としての温かみ、重みが加わる。

もちろん、それは不幸なことではあったのだが。

欲がない人間のほうがかえって何もかも手に入れている典型的な例と言える。

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