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1人でバスツアーに参加したら、賓客のようなプレミアム体験をして、ショックなことが全て吹き飛んだ〜迎賓館 赤坂離宮〜

国賓来日といったニュースを見るたびに思っていた。天皇陛下や首相が賓客を迎えるあの迎賓館 赤坂離宮はどんなところなのだろう?また、煌びやかな部屋の中で提供される晩餐会メニューは一体どんなものなのだろう?

そんな私の好奇心を満たすバスツアーを発見してしまった。はとバス主催のツアーで、通常は非公開とされる東の間・西の間を含む迎賓館内部を、なんと貸切のうえ案内人付きで楽しめるというのだ。

しかも迎賓館見学後には、初めての国賓 アメリカ フォード大統領に振舞われた晩餐会メニューを一部復刻して、オークラ東京で味わえるという。

こんなに素敵なツアーがあるだろうか。もし目の前にこのツアーを企画してくれた方がいたら、その方の手を両手で握りしめて「素敵な企画をありがとうございます!!」と伝えたいくらいだ。

1人参加だが、悩むことなくツアーを申し込む。しかし、ここで1つ目の関門が立ちはだかる。最少携行人数である。20名集まらないと催行されない。しかもこの素敵な企画は、迎賓館50周年を記念した3日間限定のプレミアムツアーなのだ。催行されなかったら、次はない。

お願い。集まって・・・・・・
そう願い迎えた申込み翌日、思いのほか早くツアー決定の連絡がきた。

やった〜!!
思わず万歳した。この素敵なツアーに申し込んだ、同じ好みをもつ19名の同志と「やりましたね!」「よかったですね!!」と握手してまわりたい気分だ。

申し込みから当日までの2ヶ月ちょっと。ウキウキと楽しみの日々が続く・・・・・・と言いたいところだが、ここで2つ目の関門が訪れる。

日本列島をのろのろと横断していた台風10号である。はるか遠く九州に上陸している時でさえ、関東はかなりの風雨だった。この台風が近づいている。しかも、のろのろすぎて先が読めない。

ツアーが中止になりませんように・・・・・・
そう願い迎えた当日。多少の風雨はあるものの、ツアーに影響はなさそうだ。ほっとしつつワクワクしながら仕事をこなしていたとき、事件は起きた。

今後どうしていこうかと悩むほどのショックなことを取引先から突然 告げられた。一気に落ちていくテンション。ツアーに参加している場合ではないのでは?なにか色々と対策をたてて動いた方がいいのでは?

そう思い、もはや関門というには大きすぎる問題を抱え悩みつつ、楽しめる日も今日が最後でしばらくは無理かも・・・・・・と、予定通り参加することにした。

ツアーを楽しめるか疑問になるくらい沈んでしまった気持ちのまま東京駅にある集合場所に行くと、黒塗りにゴールドのラインが入った高級感あるバスがすでに止まっていた。

そうだ。今日のツアーは、はとバスに2台しかないという最上級バスに乗るのだった。どの辺が最上級か、それは乗ってみてすぐ分かった。

クリーム色の高級感ある皮シートでできた座席。これが独立型で横に3列しかない。そのため座面幅が広い。前の座席との距離も広々としているので、身体も足もゆったりしているのなんの。しかもレッグレスト付きである。

あぁ~。疲れた足が楽ちんだ~。

お茶とスリッパのサービスが付いていて、こちらは持ち帰りも可能だ。全席にコンセントまたはUSBコネクター完備な上に、FreeWi-Fiも利用できる。

それだけではない。車内のクーラーが寒すぎた場合に備えて、ブランケットも貸してもらえた。おまけに車内にトイレまであるのだ。もう至れり尽くせりである。

以前に一度だけ利用したことがあるが、まるで新幹線のグラングラスのようだ。

まさに「はとバスが自信をもってお勧めする貴賓席」との触れ込み通りである。もはやこれ以外のバスに乗れなくなるのでは?と恐ろしくなるほどに座り心地もいいし、快適。私の気持ちも自然とちょっと上がってきた。

せっかくのツアーなのだ。楽しむぞ。

同志である参加者が全員揃い、バスがゆっくりと動き出す。まずは車窓から東京観光だ。レインボーブリッジ、お台場、東京ゲートブリッジ、豊洲、勝鬨橋、歌舞伎座と巡っていく。ガイドさんが淀みなく、車窓からの景色を説明してくれるので飽きるということはない。

だが、窓の外は台風の影響でどんより曇り空である。途中で雨が降りだし、景色が靄で見えづらくなっていくうちに、仕事でのショックなことがだんだんと頭に浮かんでくる。

振り払おうとしてもなかなか難しい。沈んだ気持ちを抱えつつ窓の外に目をやっていたら、雨でぬれた窓の向こうに国会議事堂が見えてきた。

迎賓館はもうすぐだ。スイッチが入り、少し気持ちが盛り上がってくる。

ガイドさんが迎賓館の当日券を配ってくれた。ハローキティのスタンプ付きだ。迎賓館とキティちゃん。全く縁がなさそうだが、なんとどちらも今年50周年。そこで期間限定でコラボしているそうだ。

キティちゃん、あんなに可愛い顔をして50歳なのか・・・・・・ 私より年上じゃないか。美魔女ならぬ美魔猫ぶりに驚く。そういえば、子供の頃に私が初めて買ってもらった水筒はキティちゃんだった。あの頃から、キティちゃんはお姉さんだったのだ。

つづいてガイドさんが迎賓館での説明をしてくれる。通常、迎賓館に入るには荷物検査とか金属探知機検査があったりするが、今日は特別 この検査をパスして入ることができるそうだ。しかも通常は西門でバスを降り玄関まで歩かないといけないところを、バスに乗ったまま玄関前まで行けるという。

おぉ~。貸し切り&案内人さんがいるだけではなく、そんな特別待遇まで。てっきり荷物検査があると思い、恥ずかしくないようカバンの中をきれいにしてきたが不要だった。

西門を通り、「え、ここをバスで通るの?通れる???」と不安でドキドキしてしまうくらい狭くて急な敷地内の坂を、運転手さんの見事な運転裁きで登っていく。すると、右前方に迎賓館本館が見えてきた!

うぉ~。とうとう迎賓館だ。そわそわして、停車次第シートベルトを外せるように思わずバックルに手を置いてしまう。

迎賓館

正門と外観 ~思いがけないところに和の要素~

バスを降り、まずは前庭に集合だ。迎賓館の写真を撮る時間はないと事前に言われていたのだが、案内人の方が気を使って写真を撮りながら説明を聞いてくださいと言ってくれた。

遠慮なくバシャバシャ写真を撮る。しかも案内人さん以外にも数人のスタッフさんがいて、お願いすれば写真を撮ってくれるというのだ。なんという有り難すぎる対応。迎賓館に招かれたお客様になったような気持ちになる。

私たちは西門から入ったが、国賓といった賓客は当然ながら正門から入ってくる。白を基調としゴールドの細工が施された正門が、遠目でも美しいのがよく分かる。

正門を真っすぐに入ってきて見えるのが、これから見学する本館である。横一直線の建物を想像していたが、建物の左右が前方に張り出し緩やかな曲線を描いていた。

ここは元々、紀州徳川家の屋敷があった場所。明治時代に皇室所有となり、のちの大正天皇の東宮御所として誕生したのがこの迎賓館だ。こんなに素敵な洋風建築なのに、大正天皇が住むことはなかったそうだ。なんと、もったいない。住めるものなら、住みたいものだ。

そんなことをぶつくさと思っていたら、「日本で唯一のネオ・バロック様式です」と紹介された。

ほほぉ~と頷いてはみるものの、私の頭の中は「ネオ・バロック様式???」である。

高校生の頃に世界史で習った気がするが、どんなものをネオ・バロック様式というのか分からない。調べたところ、豪華で彫刻の彫りが深く、曲線が多いのがバロック様式。このバロック様式を復興させ絵画のような華やかさを持つのがネオ・バロック様式?のようだ。

分かったような、分からないようなだが、絵画のような華やかさというのは見て納得だし、曲線を特徴としたバロック様式の復興というのも確かに、という感じだ。

こんなに西欧な雰囲気満載なのに、和の要素もしっかり取り込まれているというから驚きだ。どこにそんな要素が?と思っていたら、

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