社会人サッカーの楽しみ方

フットボールを愛する全ての人へ、プレイングスポーツとしてのフットボールの魅力が詰まった社会人サッカーの楽しみ方についてまとめました。

まだ社会人サッカーを経験していない人に向けて、こっちの楽しい世界においでというメッセージを送れたらなと思っています。
社会人サッカーを始めたばかりの人や、まだ味わい尽くせていない人にも、目一杯楽しむための方法をお伝えしたいです。

すでに社会人サッカーにどっぷりなこっち側の人も、そうそうあるあると思いながら読んでいただけると嬉しいです。


◎フットサルではだめなのか

社会人になってアマチュアの選手がボールを蹴る機会といえば、一番よくあるのはフットサルではないでしょうか。
チームが組めればレベルに応じて大会もよく開催されていますし、ある程度人数が集まればコートを借りて仲間とワイワイやったり、ひとりでも気軽に参加できる個サルなどもあります。

フットサルも非常に楽しいのですが、サッカーを求めてフットサルをプレーしてしまうと、何か物足りなさを感じないでしょうか。
レベルの低いフットサルはミニサッカーのような感じですが、エンジョイ志向が強く、思い切りぶつかったりシュートを打つのは憚られる雰囲気があります。
逆にレベルが上がれば上がるほど、フットサルの競技特性が色濃く現れ、サッカーとは全く別物になります。

ある意味当たり前の話で、競技が違うのだから仕方ないのです。
フットサルにはサッカーとは別の魅力があります。
ソサイチも然りです。
それぞれの魅力に惹かれ、フットサルがいい、ソサイチがいいと言う人はそれでいいですが、本当はサッカーがしたいけど…と思っている人はいませんか。
もし満たされない想いがあるなら、社会人サッカーを是非おすすめします。

カレーライスが食べたいときに、カレーパンやカレーうどんを食べても、100%の満足は得られませんよね。
本当にやりたいのがサッカーなら、フットサルやソサイチではなくて、やっぱりサッカーをやるべきです。


◎勝負にこだわる

社会人サッカーはガチ(=手加減無し)です。
レベルや年齢を問わず、どのカテゴリーでも試合中は、ほとんどみんな本気でプレーしています。
なので、あのエンジョイフットサルにありがちな、おいおいそんなマジになるなよーみたいな空気はありません。
むしろ、ナメたプレーをしてミスしたら、まじめにやれと怒られます。

もちろんチームの雰囲気は様々で、喧嘩ばかりしているチームもあれば、みんなで楽しもうというチームもありますが、どちらにせよ手加減は無しです。
大の大人が、おい!集中、集中!!行くぞ!!と声を掛け合い、思い切り蹴って、走って、身体をぶつけ合う、まさにガチのフットボールがそこにはあります。

ここがひとつ分かれ目ですが、そんな熱苦しいのはごめんだよという人と、なんだかんだそういうのが好きなんだよなという人がいると思います。
前者の方にはハマりませんが、後者の方には社会人サッカーは喜びを提供できるはずです。

また、学生と社会人では大きなルールチェンジがあります。
社会人サッカーは勝負にこだわることができます。
何でもありです。
どういうことかというと、育成年代はこうあるべきといった価値観に縛られることなく、発展性など気にせずに貪欲に勝ちを求めることが許されているのです。
このリミッターが外れた状態での勝負こそ真のフットボールです。

これを経験せずに学生時代だけで競技人生にピリオドを打ってしまうのは、正直、非常にもったいないと思います。
RPGでせっかくレベルを上げたのにラスボス戦の前でやめてしまうようなものです。
それまでは、たくさんアイテムを集めて貯めておくことが求められますが、ラスボス戦ではそれらを全て使ってとにかく勝つことが求められます。


◎掛け持ちOK

さて、では社会人サッカーの門を叩くとき、どんなチームを選ぶのがいいでしょうか。
友人知人の誘いや紹介があれば、そこに参加して様子をみてみればいいでしょうが、そうでなければ自分から何らかの募集をしているところにアプローチしなければなりません。
そこで、重要になるのは、自身の求める競技レベルです。

地方のレベルは把握していないのでわかりませんが、首都圏では、都道府県リーグの1部以上のカテゴリーは競技志向が高く、2部くらいだとそこそこ、3, 4部は低めで安定しているチームの中に新規参入した上昇志向のチームがちらほらいる感じです。
また、これとは別に市区町村のリーグや私設リーグがあります。
だいたい市区町村リーグの上位が都道府県リーグの2から3部に相当するレベルです。

平日から練習などの活動もがっつりやりたい競技志向の高い人は、都道府県2部以上で自分が活躍できるチームを選べばいいでしょう。
自身のレベルに応じて、自ずと居場所は見つかるでしょう。

週末に試合メインでやりたいと言うのであれば、都道府県3部以下または市区町村や私設リーグがおすすめです。
下位のカテゴリーになるほど競技レベルは低くなりますが、選手のレベルがおしなべて低いかと言えばそうではありません。
育成年代に強豪でプレーしていた高いレベルの選手でも、社会人では競技志向ではなく、試合中心に楽しみたいという人は結構多く、中には無双している元プロなんかもいたりします。
逆に育成年代では控えでプレー機会に恵まれていなかった選手や、社会人になってからサッカーを始めたという選手も中にはいて、そういった選手でもやる気と能力次第で必要とされるチームがあり、活躍しています。

このレベルでは、練習はなく公式戦と練習試合だけの活動をしているチームが多く、中には公式戦だけというチームもありますし、練習のあるチームでもゲーム形式が中心だと思います。
チームによりますが、基本的にあまり縛りはなく、参加できるときに参加すればOKというチームが多いです。

そして、市区町村や私設リーグには独自の選手登録がありますが、これはJFAの第1種登録とは別のものです。
つまり、同一のリーグでなければ二重登録にはならないので、複数チームの掛け持ちOKです。
都リーグ2部のチームと渋谷区リーグのチームと川崎市のチームの3つを掛け持ちするといったことが可能なのです。

だいたいこのレベルだとメンバー不足に悩むチームも多く、助っ人の誘いもあります。
だいたいのリーグは多い時でも月2試合くらいなので、毎週プレーしたいのであれば2つか3つのチームを掛け持ちすればいいわけです。
また、フットサルやソサイチと掛け持ちもできますし、年齢が上がるとシニアリーグとの掛け持ちも出てきます。

どれだけやりたいか、意欲と体力次第でいくらでも増やすことができます。
土日連戦なんてはっきり言って序ノ口です。
同日でも時間が被らず移動できれば連戦可能なので、ダブルヘッダー、トリプルヘッダーといったフットボールでは聞き慣れない用語が、エキスパートの間では飛び交います。

育成年代で誰もが少なからず経験しているトレーニングのためのトレーニングなど一切なし、とことん気が済むまで試合ができます。
まぁ、いくらやってもまたやりたくなるのがフットなのですが…笑

もしチームの戦術や雰囲気、人間関係が合わないと感じたら、移籍も容易にできます。
同一リーグでなければ、掛け持ちもOKなのですから、他のチームでもやってみて、よかったらそっちに乗り替えるというのもありです。
ただし、チームの関係者同士が知り合いで、練習試合の助っ人などで交流がある場合は、元のチームにきちんと説明して「筋を通す」ことをしないと移籍先チームが「引き抜き」をした形になってしまってチーム同士の関係が悪化することもあるので注意が必要です。


◎自分たちで決める

市区町村リーグのレベルでは、専任の監督がいるチームは稀です。
たいていは選手兼任でチーム運営をやっている代表が監督的な役割もするといった感じです。
その代表の立ち位置と権限次第で、チームごとに様々なスタイルになりますが、監督がいる場合に比べ、選手ひとりひとりの発言力が強くなり、自分たちで決めていくことが多くなります。

戦略、戦術、フォーメーションなども選手同士で話し合いますし、場合によっては、活動費をどうするかといった運営面も話し合って決めることもあります。
近年はSNSも活用し、連絡のみならず、意見を出し合ったり、撮影した試合映像を共有して反省点を話し合ったり、参考になる動画を探してきて共有したりといったことを選手が自分たちでやります。

そういう発言が得意ではなかったり、言われたことをこなすだけの方がいいと言うタイプの人もいるかもしれませんが、チームみんなで話し合って、盛り上げて雰囲気を作って、試合の準備をしていくこともフットボールの一部です。
勝つためのチームをどう作るかということを自分たちで決めていくことは、面倒なことでもありますが、上手くいった時の喜びを何倍にもします。


◎仲間と分かち合う

社会人サッカーチームのメンバーは、企業チームや設立間もない部活動やサークルのOB・OGチームを別にすれば、年齢や仕事も様々です。
社会人になると、ほとんど仕事関係かたまに学生時代の友達くらいの人付き合いになる人が多いのではないかと思いますが、社会人サッカーをしているとそんな垣根はいとも簡単に取り払われます。

(シニアではない)一般のチームで、上は40代から下は20歳前後といった構成になることも珍しくありません。
ピッチの上では対等ですから、職場のような上司と部下ではなく、(先輩後輩の意識はあっても)仲間という関係性になります。
倍も歳の離れた、生まれも育ちも仕事も全然違う人間同士が仲間になれるのはフットボールの素晴らしさだと思います。

そうして気の合う仲間と出会い、共に戦い、劇的なゴールに感情を爆発させ、勝利を告げるホイッスルに歓喜の輪を作るのは、フットボールにおける最高の瞬間といえるでしょう。

さらに、それだけでも楽しいことですが、試合後に語り合うことまで含めてフットボールです。
時にはそこにアルコールも入ってきます。
勝利の後の美酒のために試合をしているのだと公言しているチームもあります。
そのように毎回ではなくても、飲みに行くことが全くないという社会人サッカーチームはないのではないでしょうか。
チームの仲間と酒を酌み交わしながら、あれは良かった、悪かった、次はこうした方が、などと語り合うのもまた最高のひとときであり、次回のモチベーションにも繋がっていきます。


◎週末を楽しむ生活

社会人サッカーなどのスポーツをしておらず、特に趣味を持っていない社会人は、仕事の疲れを休日に回復するというライフサイクルになっていることが多いように思います。

ある土日休みの会社員によると、月曜日から金曜日にかけて徐々に疲労が蓄積していくので、土曜日は疲れを取るために昼まで寝ていて、午後は掃除や洗濯など溜まっている家事をするそうです。
そして、日曜日は買い物などに出掛けますが、翌日からの仕事に備えて早めに帰り早めに寝るのだそうです。
仕事中心の生活のように思えますが、彼によれば其れほど仕事が好きというわけではないとのことです。
他人の生活に口を挟むのも申し訳ないですが、はっきり言って、これでは何のために生きているのかわかりません。

社会人サッカー選手のライフサイクルは全く異なります。

まず、一番身体がキツいのは月曜日です。
仕事が憂鬱というメンタル面のことではなく、単純に土日の活動による疲労のためです。
そして、一般人が疲労を貯めていく平日に、社会人サッカー選手は回復していき、週末に向けてコンディションを整えていきます。
仕事終わりに練習や自主トレやジム、フットサルなど、調整の一環として何らかの活動を入れたりすることもあります。
そして週末に思う存分フットボールを楽しむのです。
フットボールのための生活ですから、次の日の仕事のためにセーブすることは本末転倒です。
筋肉痛や場合によっては二日酔いなども伴った状態で、月曜日の朝出勤することを恐れてはいけないのです。

このような生活を送っていても、みな仕事を疎かにしているかというとそうではありません。
週末の社会人サッカーを優先しているのに、何故か会社で出世していくといった人も少なくないように思われます。
これは完全な私見ですが、メリハリがつくことで仕事も効率的になり、フットボールを通じて獲得した課題解決力とチームマネジメント力が活かされているのではないかと考えられます。


◎まとめ

このように、社会人サッカーは、それぞれ自身の求めるレベルで、とことんフットボールを楽しむことができます。

最後に、まだ社会人サッカーを始めていない人へ、改めてお誘いをしたいと思います。

サッカーをしたい気持ちがあるなら、是非一緒やりましょう。
様々なチームがあり、自由に選べるので、プレーが上手か下手かはそれほど問題にはなりません。
フットボールを愛する気持ちがあれば、あなたを必要としてくれる仲間が見つかるでしょう。
気の合う仲間と共にボールを追いかける最高のフットボールライフが待っています。

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