悪条件下で勝つ

◎フットボールの文化

フットボールに雨による中止の規定はありません。
強風でも雪が降っても同様です。
人工芝以外の濡れたピッチでプレーするとピッチにダメージが残るので、管理者側が使用を許可しないこともありますが、やってもいいと言われればやらない理由はありません。
落雷の危険があったり、台風などの自然災害を別にすれば、本来悪天候でも試合を行うのがフットボールです。
これは、サッカーだけでなく、ラグビーやアメリカンフットボールでも同様で、フットボールの文化と言えます。

◎理想のコンディション

カラッと晴れた涼しい気候で風も強くなく、絨毯のように均一に刈り揃えられた天然芝のピッチに適度に水が撒かれ、充分な明るさの照明に満遍なく照らされ、満員の観衆がスタンドを埋め尽くして応援してくれる環境で、クリーンで紳士な相手チームとレベルが高くフェアなレフェリーがいて、怪我人もなくチームも勢いに乗っていて自身も心身ともに万全の状態での試合なら、誰しも頑張るでしょうし、緊張し過ぎなければ集中していいプレーもできるでしょう。

ただし、そんな試合ばかりではありません。
プロでもそんな最高のシチュエーションはなかなかないでしょうし、アマチュアでは望むべくもありません。
求めればキリがないものですし、環境を嘆いても意味がありません。
置かれた状況の中でベストを尽くして勝負するのがフットボールです。

◎コンディションを味方につける

天候やピッチコンディションそれからレフェリーが良くないときに、打ち克つというよりも味方につけるというような発想が必要になります。

例えば、雨でぐちゃぐちゃなピッチでの試合を考えます。

グラウンダーのパスをしようとしてボールが止まり、ドリブルを仕掛けようとして止まったボールを置き去りにしてしまい、ピッチに足を取られて転び、イライラを募らせるのは賢いやり方ではないでしょう。
ピッチコンディションが良いときと同じ「いつも通りのプレー」はできないのです。
「いつも通りのプレー」ができないのは当たり前のことなのですが、なかなか理解できないのか、経験が少なくどうすればいいか分からないのか、この「いつも通りのプレー」をしようとしていまう選手は多いです。
経験の少なさによって、ぐちゃぐちゃのピッチに対応した判断ができなかったり、そもそもプレーの選択肢が持てていないのだと思います。

この状況では、グラウンダーのショートパスを繋ぐのではなく、浮き玉のロングボールを蹴り、ボールを浮かせてラン・ウィズ・ア・ボールで前に運び、方向転換は難しいのでなるべく相手ゴールに勢いを持って向かって行くようにプレーするべきです。
また珠際では、ユニフォームの汚れは気にせずに、勢いを持ってスライディングして止まったボールをかっさらうテクニックも使えるといいでしょう。
状況を利用して優位に立つことを考えられるかが勝負を分けます。


◎好きこそものの上手なれ

ここからは完全に持論ですが、この悪条件に対応できるかどうかは、どれだけサッカーが好きかに関わっていると思います。
子供の頃、「こんなに雨が降るのにやめなさい。」と家族が言っても、ボールを持って飛び出して遊んでいたかどうかです。
でこぼこなピッチ、ぐちゃぐちゃなピッチ、雨の中、風の中、雪の中、真夏の炎天下、どんな時でも夢中でボールを追いかけていた子供は、自然とどんな環境にも対応できる能力を身に付けた選手に育っているはずです。
降りしきる雨の中、相手も味方も足を滑らせバタバタと倒れるなかで、スーパープレーを見せたヒーローは、きっと家族が止めてもボールを蹴っていた子供だったと思います。

もし子供の頃そうでなかったとしても、今、泥だらけになってもサッカーが好きだという気持ちがあるなら、思い切ってやってみましょう。
水溜まりではインサイドではなくトゥーキックを使うというようなコツを覚えれば案外簡単にできることも多いです。

チームとして勝つという意味では、サッカー好きの集団になりたいですね。
とは言え、悪いよりは良いコンディションで試合をしたいというのは当然なので、悪条件でやるとなったときには「おいおい、こんなんでやるのかよ。」と口をついて出てもそれは仕方ないと思います。
ただし、ピッチに入ったら両手を広げて不満を言う選手は必要ありません。
状況を利用して勝つことを考える、またそれを楽しめる集団が強いチームです。


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