ジョンが出会った読者たち【第60話】
★先日、渋谷のclubasiaで開催した『フェスボルタ アジア』ですが、出演者数も会場規模も過去最大で大成功!と思いきや、実は13万円の赤字! う〜む、どうしたものか …。ん? そうだ! 『フェスボルタ アジア』にも出演していただいた、やついいちろうさんは1万人規模の『やついフェス』を同じく渋谷のクラブ街で主催している。まさにフェス主催の大先輩だ。何か良いアドバイスをもらえるのでは?と思い、キネボルタと一緒にお会いしてきました。
文/ジョン・ヒロボルタ
この不思議な生態系を守れ! あなたたちは森を伐採する気か?
水場に集まってきた 珍しい生き物たち
ジ&キ:ぜひアドバイスをお願いいたします!
や:う〜〜〜〜〜ん……(フェスボルタアジア開催リポートの誌面を睨みながら)……そもそもこれ、本気で集客したがってます?
ジ:僕の番号に電話するっていうハードルを超えてくるのは、自然と変な人ばかりになるんですよね…。
や:なるほど。一種の“オアシス”になっているんですよね?
今、お二人のマインドは、そのオアシスを開発する方向に向いてる気がします。
ジ&キ:はうあ!
や:オアシスの水場に共生している動物がいて、それを助けたい。だから本来あるべきは“募金”って形なんですよ。
お客さんを集めようとしていないところが、フェスボルタのいいところなわけで。
ジ:大きくはしていきたいんですけどね…。
や:きっとこの人たちは他のフェス には出てくれないでしょ? そういう人たちの表現の場になっていることがフェスボルタの力だと思います。そこを伸ばしていくべきじゃないですかね。ただただその水場に集まってきた珍しい生き物たちを、そこでしか見られない生き物たちを 育てていくことで、
「あのオアシスを見たいな」「あのオアシスを守らなきゃ」ってお客さんに思わせなきゃいけないんだと僕は思います。
キ:なるほど〜!
ジ:フェスボルタでは、主催者側でお金を払って呼んでいる有名な方もいるのですが、出演者にとってそういう人たちと「対バンできる喜び」ってのはあると思うんです。
や:でも、誰が出てるとかはどうでもよくて、「ゾウが見られる、トラが見られる」だと従来のフェスですよ ね? フェスボルタはきっとそこじゃないんです。
ジ:集客に焦ってメディアに取り上げられたいばかりに、ゾウやトラに目が行きがちだったかもしれません。
や:
フェスボルタは「この森に何が住んでいると思います?」という“生態系を見せていく演出”をしていくべき だと僕は思います。
流行ものじゃない、先端的なものが見たいって人は来てくれるようになるんじゃないですかね。フェスボルタの面白がり方を強く出せば勝ち目がありますよ。
キ: 面白がり方?
や:「電話をかけてきた人たちと、 フェスやりました!」だと、単なる企画になっちゃってて、フェスそのものの面白さが伝わらないんです。この人はこう見たら面白いよ、この人のこの歌詞に注目とか、この人とこの人の関係は?とか、事前に説明が必要なんじゃないですか? だって、見たことのない生態系に対する説明って必要ですよね。
ジ:確かに説明書は必要ですね。 主催者自身も出演者の皆さんの売りをよくわかってなかったかもしれ ない…。
キ:開発はやめましょう。
ジ:そうしましょう
エレキコミック単独ライブ第25回発表会「東京」
ジ:さて、 10月からエレキコミックの単独ライブが始まりますが、もうネタはできあがりましたか?
や:今、追い込みの真っ最中ですよ 〜。
ジ:ネタを考えるときは殻に閉じこもるタイプですか?
や:街に出てますね。テレビとか映画とかはあんまり観ない。街歩いたり、店に入ったり。とにかく外に行きます。そうすると刺激があるんですよ。街には変な人がいるから。
キ:フェスボルタの出演者みたいですね。
や:昔は他の人のお笑いも観たりしてましたけど、今は観なくなって久しいですね。
キ:どうしてそうなったんですか?
や:昔は自分も小ボケいっぱいやってましたけど、そういう「普通言わないじゃんそんなこと」より、
日常で体験するおかしさのほうが面白くなってきたんです。
キ:日常で体験するおかしさ?
や:「この人、なんでこうなっちゃったんだろうな? しょうがないな。この人こういう人だし」みたいな感じですかね。小ネタというより、もっとストーリー性のある「強い大きな流れ」が大事に思えます。
ジ:普段、お笑いライブに行かない人向けに一言お願いします。
や:人は一瞬で見て決めちゃう。パッと見て嫌だったらもうダメみたいな。
だから、ずーっと見ていることの面白さを知ってほしい。
月だってずーっと見てないと、満月や三日月などいろんな種類があったりだとか、月の面白さはわからないじゃないですか。
キ:ネット時代になってから、その傾向はより加速してますよね。
や:テレビとかって簡単に手に入る笑える娯楽ですけど、結局、人間って、ウケている人の多さで面白いかどうかを測っているんです。
全てのエフェクトを消したテレビがあったらどうなんでしょうね。
おそらく観てても笑わな いと思いますよ。自分にとってほんとに面白いもの、ほんとに美味しものって、それを実体験しないとわからない。だからライブなんです。
ジ&キ:それは同感です。ライブが全てですよね。
や:フェスボルタもそうだと思いますよ。記事を読むだけじゃわからない。体験してなんぼ。「プロが実は裏でどれだけしっかりやってるか」とかもわかってくれたらいいなと思います(笑)。
エレキコミック第25回発表会
「東京」
10/7(水)〜11(日)東京・本多劇場
10/17(土)大阪・ABCホール
10/18(日)名古屋・東別院ホール
10/24(土)福岡・西鉄ホール
10/31(土) 札幌・かでるホール
料金:前売券4,500円(全席指定・税込) 問い合わせ:TBSラジオイベントダイアル: 03-5570-5151
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