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全裸監督 第18章 要約

第18章 14億人(村西とおるが新たな市場として狙う中国の総人口)

AV業界の映画の話(高槻彰の村西とおる物語は完成せず、代々木忠の映画が2011年公開)。『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』の公開記念で西村とおると代々木のトークイベントが実現。このときのやりとりが代々木忠のブログに綴られていて、奇しくも村西とおる論になっている。2人は同じ業界にいながらもほとんど会ったこともなく、双方の動向も人伝にしか耳に入ってこない関係だったが、その人生と仕事ぶりはどこか似ていて良きライバルであった。村西が莫大な負債を抱えていた頃、代々木忠はうつ病を患い引退や死を考えていた。お互いにそういう苦難を乗り越えての対談だったから感慨深いものがある。そして、こういう関係はどこの業界にもあると思う。頂点を目指して闘い続ける男。挫折しながらも這い上がる精神力。人間/村西とおるの魅力は尽きない。

中国における日本のAV人気の凄さ(中国で最も名前の知られた日本人女性はAV女優/蒼井そら)。当然、村西監督作品も人気が高い。2011年、日本最大のアダルトグッズメーカー「日暮里ギフト」が主催した中国でのイベントは異様な熱気に包まれ、そのイベントの演出を村西とおるが仕切っていた。中国人やウクライナ人のモデルが出てもイマイチなのに、それほど有名でもないAV女優たちが舞台で踊り歌うだけで大盛り上がり。なぜ、これほどまでにウケるのか? 本橋曰く、それは日本人AV女優の「笑顔」だと。中国人は厳しい競争社会・密告社会でピリピリしているから女性も笑わないし笑えないというのだ。日本人だけが天真爛漫な笑顔で人に接することができる。これは江戸末期の日本人を見た欧米人の驚きでもある。他に、中国で売れる日本のものとして、「お米」がある。当時の村西とおるは、日本のコメとAV女優を中国に輸出して大儲けできると考えていた。

2012年6月、村西とおるの体調が悪化し、緊急入院・緊急手術。医師が「1週間以内に100%死ぬ」と身内に伝えていたのに、2日間の手術で奇跡的に助かる。症状は心臓弁に雑菌が侵入し弁が破壊されたことによる心臓の機能不全。

2014年7月、ろくでなし子がわいせつ物頒布と公然陳列の疑いで逮捕されたが、この事件について村西のコメントは日本の性表現に対する規制の分析と批判も含めて話題となる。「性器そのものはわいせつではない。スケベは人間の頭の中で考えること。エロチシズムは生と死の持つ絶望と希望の心の揺れ幅、心の落差」。

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