全裸監督 第12章 要約

第12章 16歳(村西とおるが撮った主演女優の実年齢)

村西とおるが逮捕された児童福祉法違反容疑は、未成年者が姉の健康保険証を自分のものだと偽って出演したことによるのだが、判決は懲役1年、執行猶予5年だった。村西とおるの日本での逮捕歴は華々しい。1984年のわいせつ図版販売は執行猶予。1986年の関税定率法違反は罰金刑、同年の職業安定法違反、児童福祉法違反は処分保留。1988年の最初の児童福祉法違反は罰金刑。これだけ逮捕歴はあっても実刑をくらったことがない理由を、本人が28年後に語る部分がこの章の白眉。それは単なる強運ではなく、検察庁の大物検事との個人的な関係で実刑を免れたというものなのである。

戦後最強の検事と呼ばれ、政界の巨悪の摘発から様々な大事件に辣腕を振るった大物検事とは、本文中では名前は伏せられているが、第18代検事総長の吉永祐介。村西とおると吉永祐介に個人的な関係があったという衝撃(一緒に飯を食ったり、吉永が大事にしている女性のために中島みゆきのチケットを取ってあげたり)。背景には、わいせつに対する警察と検察の罪の重さが違っていたこともあるようだ。検察からすれば、この程度の違反で実刑など馬鹿馬鹿しいという感覚があったようなのだ。いくら警察が正義感から逮捕しても、起訴する・しないは担当検事の上司が決める。その上が検察庁で最も影響力のある人だったとしたら・・・。人たらしの天才、村西とおる最大のエピソードでもある。

後半はダイヤモンド映像の窮地を救った女優、松坂季実子の話。「巨乳」という言葉も彼女から生まれた。千本売れればホームランという当時、松坂季実子の新作は1万本も売れた。実は、「毎月1日は巨乳の日」と銘打ち、あの手この手で松坂季実子の新作をアピールしていたのはこの本の著者/本橋信宏であり、「巨乳」という言葉を世に広めたのも本橋信宏なのである。

他の専属女優の名を上げるだけでも、年配の人ならどこかで聞いたことや見たことがある名前があるはずで、ダイヤモンド映像の新作が絶えず売れ続けたのが分かる。田中露央沙・卑弥呼・藤小雪・野坂なつみ・桜樹ルイ・高倉真理子、そして後に村西と結婚する乃木真梨子である。イエローキャブの野田義治社長が村西とおるから芸能人のイメージビデオの制作を依頼されるのもこの頃で、のちに野田社長が「巨乳マイスター」「巨乳バカ一代」と呼ばれてマネージメントするタレントがみな巨乳になっていくキッカケは、村西とおるとの出会いともいえる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?