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① ちいさなあの子

あなたにささげる

ひとつの夢ごとに ひとつの花を

  ひとつの波ごとに一羽のかもめを

あわい夕ぐれには

そぼふる雨のなかの虹を

それから

思いだして

ひとつのこころごとに

ちいさな あのこ

瞳には

きらきらと星の煌めき

ものいわぬ ちいさなあのこ

      いつもそばに いたのに

    青い水のそばで

ときが流れて
風のすさぶ夜
月に照らされた雪のうえ

夏空の雲

   あなたの来た道
それから

幾千もの月もない夜

あなたの流した涙

黒い夜の宝石は

涙の数だけの

 かがやきを放つ

ばらまかれた夜空の穴

永劫のときをたどって

血のかよった首飾りになる

   失われたエデンの

王者のしるしをかけ

  光りに包まれ

あなたとゆく

手をつないで

きらきらと

星の煌めきを 瞳にやどす

ちいさなあのこをつれて

青白い雪を踏んで

さく さく さくと

月明かりの下を

あなたとゆく

誇らかにかけるのは

あの首飾り

時空をこえる 声をきくとき

光のなか
りんりんと
まわり続ける車輪になる

    それは
    ふたたび
    生まれくる

    ちいさな
    あのこの
    贈り物

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