「体と頭とプレーの質」〜その①〜
スポーツをする上でプレーの質を上げる為にはどうしたらいいでしょうか?私は自分の体を自由に操る事ができること、明確な意図(ビジョン)を持つこと、の2つがプレーの質を上げる近道だと考えます。
体を自由に動かせること
まずはスポーツに限らず、何でもいいので体を動かす時を思い出してください。自分のイメージ通りに100%の精度で体を動かせているでしょうか?多くの人ができているつもりでも実際は少なからず誤差が生まれます。
体を自由に操れる能力の最も分かりやすい例が、動きのマネです。体育の授業で先生がお手本を見せてパッとできる人と、そうでない人の違いです。できる人はお手本の動きを見てすぐに理解し、再現してしまいます。できない人はなかなか動きを理解できないので再現できない。ではなぜその様な差が生まれるのでしょうか?
それは脳が発した運動指令を伝達する神経や筋肉の性能に差があるからです。(脳→神経→筋肉と運動指令は伝わる)
分かりやすく説明すると、体の中で伝言ゲームがおきてるというイメージです。どれくらいの力の強さで?どれくらいの時間?どのタイミングで?など脳から発信されるたくさんの指令を脳→神経→筋肉とどれだけロスなく正確に伝達して最後は表現できるか?それこそが自分の体を自由に操るためのカギとなります。
ではどうしたら伝達のロスが無くなるのでしょうか?
答えは簡単で様々な運動を経験する事です。
様々な運動を経験する事で、動作の手順が脳内の運動を司る場所に運動プログラムとして「蓄積」されていきます。特に幼少期は神経系が発達が著しいため、運動プログラムが「蓄積」されやすく、ゴールデンエイジと呼ばれます。「蓄積」されたプログラムは繰り返し経験する事で、神経や筋肉が刺激され、強化されていきます。より早く、より強く、より正確にプレーするために脳だけでなく神経や筋肉も学習して成長しているのです。
この一連の流れが人の運動能力が向上していく過程です。運動の得意な人は運動プログラムをたくさん持っていて、新しい動きにも類似のプログラムから動きのイメージを応用できるので習得が早いのです。
運動音痴はどうなるのか?
では運動音痴といわれる人はどうなのか?できない人はどれだけやってもできないではないか!と思う方も多いと思います。まさにその通りで、ずっとできないことにも理由があります。
運動音痴と呼ばれる人の特徴として、同じ動きの繰り返しがあります。失敗した動作を何度も何度も繰り返してしまうのです。同じ動作を繰り返す理由として、動きに夢中になりすぎて周囲の状況や自分の動きといった運動を正確に行うためのに大切な情報をほとんど把握できていないことが考えられます。
そのため失敗や成功したという結果しか残らず、なぜできなかったか?何が良かったのか?原因を推測し動きを調整する事ができないため、一度つまづくと繰り返し同じ失敗をしてしまうのです。
簡単で効果的な練習方法
体を自由に動かす能力を向上させる方法はシンプルです。写真や動画などで実際の動きを記録し見せる事です。ここで注意したいことは成功や失敗の結果にフォーカスするのでなく、その前の過程に着目することです。子どもたちによくあることですが、ゴールを決めたから上手い、外したら下手くそと決めてしまいがちです。どこが良かったから上手くいったのか?何が原因で上手くいかないのか?を客観視する習慣をつけること考えてプレーすることに繋がり、プレヤーとしても人間としても成長につに繋がります。
最初は反復練習あるのみ
何事も良し悪しを判断する感覚を掴むまでには時間が必要で、それにはには個人があります。教育改革実践家である藤原和博氏の言葉 “『量』だけが『質』に転化する” とあるようにまずはとことん経験することです。その過程で注意することは量をこなしていることに満足しないこと。常に考えながら試行錯誤して取り組むこと。そして分からなくなったら指導者にアドバイスをもらうこと。その習慣が身につけば時間はかかっても絶対に成長することができます。
意図(ビジョン)を持つについてはまた次回をお楽しみに。