見出し画像

基礎的な不動産投資用語の解説

①基礎的な不動産投資用語の解説

・利回り
⇨利回りについては前章でも説明しましたが、定期預金の年利と一緒だとお考えください。
いくら投資していくらリターンがあるの?という事です。 利回りには、表面利回りと実質利回りの2つがあることに注意してください。

※表面利回りの計算式 年間家賃収入÷物件価格=表面利回り(×100で%になる)

※実質利回り (年間家賃収入-ランニングコスト)÷(物件価格+イニシャルコスト)=実質利回り (×100で%になる)

不動産会社が販売図面やインターネット上で記載している利回りのほとんどは、表面利回りですので、あくまでも目安となる参考として見てください。
やはり、物件を購入する段階では、実質利回りで検討する必要がありますので、ご注意ください。

・キャッシュフロー
⇨これは、金融機関さんから融資を受けて不動産を買った場合に大事な数字になります。

キャッシュフローとは、毎月受け取る家賃収入から、『返済(金利+元金)』と『管理費等』を差し引いたお金のことで、実際にいくらのお金が手元に残る かを表しています。

・返済比率
⇨返済比率とは、先ほどのキャッシュフローとは逆に、毎月受け取る家賃に対して、『銀行に毎月返済している金額』の割合になります。
実は、この数字は非常に大事な指標です。
金融機関によっては、返済比率が明確に決められていることもあるからです。
もしかすると、この返済比率により、物件を増やしていくことができなくなる可能性もあるので注意が必要です。《そうならないようにするためには、金融機関の癖を知っておくべきなのです。》
ちなみに、この返済比率をどれくらいで抑えるか?で賃貸経営の安全度が変わってきます。
では、どれくらいが安全圏ですからしょう?
まず管理運営費が約20%掛かるという事を覚えていますか?
つまり、毎月の収入のうち80%が残るということです。
世の中には絶対はありませんが、見方の厳しい金融機関さんですと30~ 40%の返済比率に抑えるように言ってきます。
最も保守的な数字だと思いますが、毎月の家賃収入の残りである80%のうち 半分が返済に充てられていると概ね安全圏だと思います。
また、見方が厳しくない金融機関さんですと50~60%台の返済比率でみています。
やはり、いざという時《修繕、トラブルなどなど》が来た場合、対応できるように心がけておくことが非常に重要です。

・ROI(Return On Investment)
⇨ROI は、自己資金投下に対しての資金回収率になります。
これは、融資を使った際のお話です。
例えば、100万円を自己資金として、家賃収入1,000万円のアパートを買ったとします。
物件価格以外に諸費用が10%かかると想定すると、約100万円の諸費用になります。
100万円以外は銀行からの借り入れとすると、次のような式になります。
年間家賃収入―(返済額+経費)=キャッシュフロー 自己資金(購入の時に払った自分のお金)÷年間キャッシュフロー= ROI
利回りが10%だとした場合、年間家賃収入100万円
返済額が1,000万円(物件価格1,000万円+諸経費100万円-自己資金100 万円)で、30年返済、金利3%だとすると、毎月の返済は4万2,160円になり ます。
運営費で約20%の1.7万円が毎月掛かりますので、キャッシュフローは、8 万4,000円-(4万2,160円+1.7万円)= 2万4,840円
年間キャッシュフローが2万4,840円×12か月=29万8,080円
29万8,080円÷自己資金100万円=29.8%(ROI)となります。
自分で最初に100万円を実際に投資に出したなかで、初年度の投資からのリ ターンで29.8%を回収してしまったという結果になりました。
やはり、レバレッジを上手く活用することで、他の投資と違い、高い収益があげられる部分で、不動産投資の良さを感じていただけると思います。市場の状況にもよりますが、利回りが上がれば上がるほどROIも良くなるので、 物件を検索する楽しみも増すと思いいます。

・買い付け証明書
⇨物件情報を得えて、物件調査をした結果、絶対にこの物件がほしいとなった物件情報を得えて、物件調査をした結果、絶対にこの物件がほしいとなったら、どうしますか?
そうです。買付証明書を作成し、売主さんに提出するのです。
法的な拘束力はないと言われていますが、購入したいという意思表示と購入条件を出さなければ、交渉は進まず、契約には至りませんので。
また、最近では良い物件が少なくなっていることもあり、1分でも早く他のラ イバルよりも早く提出することが重要です。
本当の話ですが、物件が市場に出てものの1時間で何本もの買付が入るのが最近の状況です。
良いことではないですよね?1時間で調査もできないですし、資料も見ていないにもかかわず・・・・買付をとりあえず出すという方が最近は多く、トラブルに発展する話をよく聞きます。
ここで、購入希望価格を書くのですが、売主の売却希望価格よりも安い値段を付ける事、つまり、価格交渉をする事を『指値』と呼んでいます。
例えば、1,000万円が売主の売却希望価格だとすると、800万円で価格交渉をする場合などが指値に当たります。
私の感覚ですが、都心よりも地方、高額案件、ファイナンスのアレンジが難しいエリア、ボロボロ、入居率が悪い案件などは指値が通りやすいと思います。
ただし、注意が必要なのが、指値をする根拠になります。何となく指値するだけでは売主も納得しませんので。
やはり、あくまでも人対人の交渉なので、話の展開を最初から想定しておくことも重要です。

・指値
⇨指値とは価格交渉をする事ですが、仲介業者によっては嫌われる行為です。
簡単な話ですが、仲介手数料は物件の価格に準拠します。そのため、仲介業 者は1円でも高く売りたいし、買ってもらいたいと考えます。
そのため、物件を買いたいと考えているみなさまは、1円でも安く買いたいと 思っているので、思惑が完全に不一致となるわけです。
全ての仲介業者が嫌っているわけではないので、価格の交渉にどれだけ努力をしてくれるかで、良い業者なのかの判断ができるかもしれません。
また、指値が通るケースと通らないケースがあります。
正直言いますと、売主の経済状況によると覚えておいてください。
つまり、早く売りたい状況、買付が来ない、返済がきついなどなど・・・・・・・・ 考えるときりはないのですが、売主がOKするように交渉を進めていくノウハウ は貴重なものです。
このあたりのノウハウを質問するだけでも業者のレベルが分かるかもしれません。

・耐用年数
⇨金融機関で融資を受ける場合に重要となるのが、この耐用年数です。
なぜかと言いますと、この耐用年数に応じて融資期間が決まるからです。この耐用年数は、建物の構造《骨組み》により決められています。
建物構造と耐用年数は、次の通りとなっています。ような物があります。
1,木造 22年
2,軽量鉄骨造 19年
3,S造 《鉄骨造、重量鉄骨造》 34年
4,RC造《鉄筋コンクリート造》47年
5,SRC造《鉄骨鉄筋コンクリート造》47年

耐用年数とは、実は税務署が決めた減価償却の年数で、金融機関が想定する耐用年数は税務署が決めている耐用年数に基づき、独自に設定しています。
注意点として、使用用途《事務所、店舗》でも耐用年数が違ってきますので、 ご注意いただきたいのですが、みなさまは基本的には住宅への投資をご検討す ることがほとんどだと思いますので、上記の数値を参考にしていただきたいと 思います。
ちなみに、融資期間の考え方をここで触れておきたいと思います。RC造の平 成6年築の建物の場合、融資期間=耐用年数 RC 47年-築20年=27年が基 本となります。建物の修繕状況などにより伸ばすこともできますが、基本を押 さえておくと返済シュミレーションを考えるときの参考になると思います。

・元利均等、元金均等
⇨元利均等、元金均等とは、金乳機関から融資を受けた際の返済方式の事です。
主な返済方式としては、大きく2種類の方式があり、圧倒的に「元利均等方式」 が多く利用されています。
それぞれの方式の違いについて説明します。
元利均等返済とは、毎回の支払額が均等となる返済方式です。
毎回の支払いが変わらないので、最初から最後までの返済計画が立てやすいというメリットがありますが、長期に及ぶローンでは初期に借入元金がなかなか減らないというデメリットもあります。つまり、金利部分が元金均等に比べ大きくなりますので、金融機関さんはこちらの方がうれしいということになります。
元金均等返済とは、毎回の支払元金が均等となる返済方式です。
こちらは、借入元金が均等に減ってゆくために、利息が減ると毎回の支払額も減って行きます。
元利均等返済と比べて利息の支払総額が少ないというメリットがありますが、 元利均等に比べ当初の返済が高くなります。つまり、みなさまのキャッシュフローが少なくなるので、元利均等の方が人気になっています。
しかし、支払い開始当初の返済は大変ですが、段々と支払いが楽になるので、 キャッシュフローにゆとりがある2棟目、3棟目で取り組むのは良い選択だと思 います。

・繰り上げ返済
⇨繰り上げ返済とは、銀行からの借金を期限よりも早く返済する事です。例え ば、手元に100万円があり、借金が100万円で手元資金がなくても問題なけれ ば、全額返済したほうが金利を負担しなくて済むのでお得になります。
つまり、不動産を購入しキャッシュフローに余裕がある場合、繰り上げ返済したほうが支払う金利が少なくて済むの繰り上げ返済のメリットです。
しかし、注意が必要なのは、金融機関さんによっては、多額の手数料を取られる場合もあるので、借り入れをする前に聞いておくようにしてください。
また、物件を増やすつもりであれば、繰り上げ返済はやらない方が良いです。
金融機関さんの癖として、『お金をたくさん持っている人にお金を貸す』というものがあります。
返済できなくなる人よりも、間違いなく返済できるであろうという人の方が、金融機関さんは好きなのです。
当然、あらゆる属性の条件にもよりますが、1000万円持っている人と100 万円しか持っていない人では、融資可能額が違ってくるということです。
そのため、物件を増やすことを考えているのであれば、とにかく手元資金を増やすことを優先すべきとなるわけです。

・積算評価
⇨積算評価とは、一定のルールで土地と建物の現在価値を求める評価方法で、ローン金額を決める時の基準となることがあります。
つまり、積算評価を超えるローンは出さないと決めている金融機関さんもあります。
基本的な計算方法は下記の通りで、土地と建物の評価額の合計が積算価格となります。

※土地の評価額=前面の『路線価』×土地の面積(m²)
※建物の評価額=建物の延べ床面積(m²)×再調達価格×(残存年数/法定耐用年数)
再調達価格とは、『今、その構造の建物を建てたとしたら1m²でいくら費用 がかかるのか?』を想定した単価で、木造で15万、軽量鉄骨で13~15万、鉄 骨造で17万、RC造で20万程度です。
《金融機関さんにより単価は異なります。》
競売時の落札価格の目線、金融機関さんの担保評価の目線など・・・・・・・ あくまでも目安です。
そのため、積算価格通りにローンが出たり、物件が売れたりするわけでもないのでご注意ください。

・収益還元法
⇨収益還元法は、積算評価とは別の不動産価格を想定する方法で、不動産の証券化が盛んだったころに多く用いられていました。
収益還元法とは、不動産が将来生み出すであろうと予測される家賃収入の現在価値の総和を求めることによって、不動産の収益価格を求める手法です。
収益価格を求めるには、直接還元法とDCF法の2つの方法がありますが、こ こでは直接還元法を取り上げます。
DCF法は精度を高めるため複雑な評価方法をしており、不動産の証券化をす るときに主に利用されるものなので、ここでは省略します。

・直接還元法
⇨一定期間(通常は1年間)の家賃収入を還元(還元利回り)で割って、100 を掛けて収益還元価格を求める方法です。はっきり言って『還元利回り』の選択で価格はガラリと変わります。
対象不動産の収益価格=一期間の純収益÷還元利回り
例えば、還元利回りを5%と設定し、年間の収益が120万円、年間経費(維持 管理費・修繕費・公租公課・損害保険料・空室等損失相当額等)が20万円だっ たとすると、物件の収益価格は2,000万円になります。
(1,200,000円-200,000円)÷0.05=20,000,000円
金融機関さんによっては、収益還元法で求められた評価額を参考にローン価
格を決めています。
つまり、還元利回りがトップシークレットとなっています。
上記の例で言いますと、仮に還元利回りが6%の場合、収益価格は1,670万円 になりますので、全然違う結果になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?