天官賜福第1巻197,198㌻

半月人は力がこの上なく強く、かつ気性が荒くて猛々しく好戦的だ。しかも地理的に珍しい場所に位置していて、中原と西域を往来する道の重要な関所の一つを握っていた。国境ではしょっちゅう衝突が起きて摩擦が絶えず、大小の戦が多く複雑な場所だった。
また、彼らの国師は邪術に精通していて、半月国の兵士も国師に信服しており、何があろうとも従っていた。
しかし200年前、中原のある王朝がついに出兵して攻め入り、半月国を平定したのだ。半月国は滅んでしまったが、国師と兵士たちの怨念は消えずに残り、祟りを起こした。
半月国はもともと一面の緑地だったのだが、国が滅んで半月関となったあと、まるで邪気に浸食されるように緑地が次第に呑み込まれてしまった。
聞くところによると、夜な夜な手に狼牙棒を持った長身巨躯の半月兵士が砂漠を徘徊し、見回りや狩猟をしているのが遠くから見えるそうだ。
そこには元は何万もの住民がいたが、皆次第に生きていけなくなり、他の地に移って離れていった。
同時に「関を通る度に半数以上が失踪する」という噂も次第に広まったのだ。中原から来た者が関を通りたければ、必ずや通行料j、すなわち半分の人の命を置いていかなければならないのだと❗

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