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【大会カバレージ】デュエプレ選手権2023 青馬堂書店本店_01ブロック 1回戦 こじぃVSすべすべまんじゅうがに【オフライン大会】

※当記事は全て敬称略になります。ご了承下さい。


ライター:こじぃ
スクショ撮影者:こじぃ

デュエプレ初のオフライン公式大会、『デュエプレ選手権』。全国の猛者たちが集う中、最大級の96人規模となる青馬堂書店本店会場にその男はいた。

単身で乗り込んだ男はTCGマイスターの操作に悪戦苦闘する危機を早々に迎えるが、同会場に居合わせたデュエマYouTuberのまきーだによる助けもあり、無事に0回戦落ちを免れる。
戦いはルームマッチに入る前から始まっている、身に覚えのあるプレイヤーも多いのではないだろうか。

やがて自身を導く卓に着き、対戦相手を確認する男。

「すいません、すべすべまんじゅうがにさんですか?」

「はい」

「対戦相手のこじぃです、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「………」

その後も周囲が対戦開始の合図までザワつく中、男は淡々とアプリを開き対戦開始の準備を行う。集中力を極限まで高めないとこの戦いには勝ち残れない。いや、対戦相手を狩り取ることが出来ないと判断したからだ。単なるコミュ障では断じてない。ないったらない。ちなみに部屋は対戦相手が立ててくれた。優しい。


そして運営の合図が降り、戦いの火蓋が切り落とされた。

「「対戦よろしくお願いします!」」


GAME1

先攻:こじぃ 後攻:すべすべまんじゅうがに

「後攻かぁ…」

対戦相手が苦笑いしながらそう呟くと、(そういう軽い感じでいいのかな?)と内心思った男。もぎ取った先攻に隠すことなく右手でガッツポーズを作る。場所が場所なら某審議会に取り沙汰されるが、この場でそのような心配は不要だ。

そして手札が配られる間に超次元ゾーンを確認する両者、更に互いの表情は崩れることになる。

こじぃside
すべすべまんじゅうがにside


先攻1ターン目

ミラー、先攻。そして手札を確認した男は、本日の運気が最高潮に高まっていることを確信した。

男は淀みなく≪フェアリー・ライフ≫マナチャージ、そして現在の環境を定義しうる幻獣が、男の手から放たれる。

禁断の先1≪お目覚めメイ様≫。
対戦相手の顔が更に険しくなったことは言うまでもない。その一方で男はほくそ笑む。


後攻1ターン目

最高のスタートダッシュを決められる対戦相手。しかし負けじとばかりに≪流浪の頭目 鬼流院 刃≫のマナチャージからメイ様を繰り出す。これは小さな1マナ1000クリーチャーの尖兵たちだろうか?いや、男の目には横綱同士による静かな立ち会いのようにも見えた。


先攻2ターン目

先1メイ様という最高の滑り出しを見せた男。しかし順調な展開の裏で既に綻びが見え始める。
デッキの切り札である≪大魂蟲オオヘラクレス≫をドローし少し悩んだ後、≪カモン・ピッピー≫をマナチャージしフェアリーライフを唱え次ターンの4マナ、あるいは5マナまでの動きを視野に入れる。
次の動きを重視するならカモン・ピッピーを手元に置いといた方が良さそうなものではあるが、果たして…

また手元のメイ様は進化速攻の運用を視野に入れ、手札にキープ。抜かりなく1ターン目に繰り出したメイ様を≪眠りの森のメイ様≫へと変身させターンエンド。


後攻2ターン目

こちらも負けることなく≪予言者ヨーデル・ワイス≫をチャージし、フェアリーライフを唱え万全の流れからメイ様を眠りへと誘う。その様子はさながら将棋の相矢倉か。同じくメイ様も入眠しターンエンドで終了。


先攻3ターン目

眠りへと誘われたメイ様が牙を剥き始める3ターン目。メイ様からマナにマナに置かれたカードはヘラクレスの相棒とも呼べる≪逆転王女プリン≫。
更にデッキトップからのドローは、次のヘラクレスへと襷を繋ぐ会心の≪斬込の哲≫。ノーチャージから哲を繰り出し、次のターンには眠りこけるメイ様へ牙を剥く構えを見せターンエンド。


後攻3ターン目

半手遅れてメイ様からマナブーストされたカードは≪ヤッタレ・ピッピー≫。多色によるタップインのアクシデントはあったものの、淀みなく≪爆走鬼娘モエル・ゴー≫からヘラクレスを引き込み応戦の構えを見せターンエンド。



そしてここから、戦局は一気に動き出す。


先攻4ターン目

メイ様によるマナブーストはタップインすることもなく、男のマナは切り札を呼び出せる6へと到達。少しの間から、意を決した男はデッキトップから引いたメイ様をマナに置き7まで伸ばす。残る2枚の手札を使いきり、手札のメイ様から瞬く間に進化したヘラクレスがスヤスヤと眠る対戦相手のメイ様へと襲いかかる!
ヘラクレスの攻撃時にはマナゾーンから逆転王女プリンを呼び出し自身をアンタップ。更に更に呼び出しと引き換えに山札からマナへと落ちたカードは、追撃となる逆転王女プリン。余りにも出来すぎな展開に男は昂りを感じる。

この場面での択は2つ。
一つはマナから追撃の逆転王女プリンを呼び出し、攻撃的にシールドを割る構えを見せるか。
もう一つはトリガーの切り返しを懸念して、まずはカモンピッピーから≪ブーストグレンオー≫を呼び出して進化元のモエルを確実に狩り取るか。


男は勢いに乗ろうとする自身を律し、カモンピッピーからブーストグレンオーを呼び出す。まずは対戦相手の盤面をすべすべにする択を選んだ。モエルが焼かれ、相手の盤面が壊滅した状態でヘラクレスの角が相手のシールドを叩き割る。

この場面で懸念すべきは二つ。トリガーフェアリーライフによる7マナへのヘラクレス進化速攻か、トリガー逆転王女プリンによる進化元確保。その危険は確かにあったが、それ以上に見えないトリガーを恐れた男は迷うことなくシールドへと飛び込んだ。


戦況が、大きく変わる。


後攻4ターン目

颯爽と飛び出した逆転王女プリンへ、待ってましたとばかりに飛び乗るヘラクレス。盤面に横たわる哲へとヘラクレスは容赦なく襲いかかり、更にヘラクレスの攻撃時にはヨーデルワイスが呼び出される。そして、ヨーデルワイスから呼び出されたのは、男のヘラクレスを鎮める≪勝利のプリンプリン≫。
懸命に次ターンへと繋ぐ鮮やかな動きを見せる。

この見事な切り返しにより、男の目前まで迫っていた勝利は、一瞬で彼方まで遠のいた。相手のシールドは残り3枚、殴れるクリーチャーは3体のみ。スピードアタッカーを繰り出すための火文明はマナに不在。
圧勝の流れから一転、一気に追い込まれる形となった。

男が望むのは火文明を介さずに追加打点となるヘラクレス。次点で相手のヘラクレスを間接的に止めるヨーデルワイス。薄い筋に対して、果たしてデッキは応えてくれるのか。


先攻5ターン目

すやすやと眠るメイ様から置かれたマナは火文明であるカモンピッピー、デッキトップの受けは≪永遠のリュウセイ・カイザー≫や≪悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス≫まで広がった!そして運命のデッキトップは、


自身の優勢をひっくり返した、逆転王女プリンだった


男は少し頭を抱えたのち、逆転王女プリンを召喚。対戦相手のヨーデルワイスをタップし、カモンピッピーとのバトルにて破壊。更にブーストグレンオーで1枚だけブレイクしシールドを偶数にすることで圧を掛ける択を選んだ。
此処でのトリガーは無し、残りシールドは2枚となる。
ヘラクレスが歯痒そうに見守っているであろう中で、数刻前まで来ないと思っていた後攻5ターン目が幕を開ける。


後攻5ターン目

ターン開始時、対戦相手の盤面にいるのはヘラクレスと勝利プリンプリンの2体のみ。何も知らなければこの状況を楽観できるかもしれないが、ここまでヘラクレスを使ってきた男にとっては、只々天に祈るばかりの気持ちだった。

逆転を逃さないようにと、少しの間を置いて手札から召喚されたカードはカモンピッピー、呼び出された《ウコン・ピッピー》《サコン・ピッピー》のスタンバイは万全だ。

そして、遂にヘラクレスから一転攻勢を図る攻撃の宣言が下される。攻撃時にマナから呼び出されたカードは2枚目のヨーデルワイス、そしてヨーデルワイスから繰り出されるのは勿論≪流星のフォーエバー・リュウセイ≫。一気呵成に顕現したサイキック・クリーチャーたちが《星龍王ガイアール・リュウセイドラゴン》へとP'sリンクを果たし、男の首を切らんと唸りを上げる!

しかし、男もまだ諦めてはいない。
守りの要としてデッキに組み込んだ《DNA・スパーク》がマナゾーンの1枚のみしか見えていないからだ。更に言えば、トリガーのタイミング次第では逆転王女プリンでも終わっちゃいない。星龍王さえ止めてしまえば男のターンは返ってくる。男の目はギラギラと輝いてる。

そして迎えた、運命のシールドブレイク。



男の目は僅かに死んだ。いや、まだ《DNA・スパーク》があるではないか。男は自らを鼓舞し、続く星龍王の攻撃宣言を受け入れる。
星龍王は男の喉元を切りつけんとばかりに残りのシールドへと襲いかかる。ついでに踏み倒された《アルプスの使徒メリーアン》と《光器セイント・アヴェ・マリア》も、起死回生のスパークに備えて飛び出してくる。

「スパーク来い!!」
「スパーク来るな!!」

周囲へのデッキバレも厭わずに両者は声を上げる。



男の目は完全に死んだ。

息を入れた後、男は告げた。「ないです」と。

『ウィーアー!ビクトリー!ッピ!!』

長いようで、一瞬のようにも感じた試合が決着した瞬間だった。


1-0 WINNER すべすべまんじゅうがに



「「ありがとうございました!」」
対戦終了後、お互いに挨拶を交わした後は男の目に一瞬で光が戻っていた。やりきるだけやった、最高のパフォーマンスをデッキが見せた上で、その先を対戦相手に行かれたからだ。悔いは間違いなく無かった。


1回戦負けとは思えないほど、男の心は晴れやかだった。
対戦相手が目の前にいて、自分のデッキに全力で応えてくれるオフラインの醍醐味を存分に感じたからだ。
そしてそれは、遠い過去に過ぎ去った紙のデュエル・マスターズの記憶をも想起させてくれた。

オフライン大会。敷居の高さはやはり存在するかもしれないが、代えがたい経験をさせて貰ったと男=筆者は強く主張したい。


次は戦いを望んだすべてのプレイヤーにチャンスが与えられることを切に望んでいる。


2023/5/15 こじぃ

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