【聖地巡礼】めだかボックスに出てくる九州の地名を巡る(全108ヵ所)
ー初めにー
皆さんは「聖地巡礼」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
近年では「ガールズ&パンツァー」などアニメの中に実在する街の風景を取り入れて、もとになった地方自治体が観光のPRをするという取り組みもあり、観光という側面からもこうした「聖地巡礼」という行為は無視できないものとなっています。
話は変わり、「めだかボックス」という漫画はご存じでしょうか。
原作:西尾維新、作画:暁月あきらのコンビで週刊少年ジャンプで2009年~2013年で掲載されていた作品。いわゆる能力バトルものに分類される作品ですが、原作の西尾維新による個性的なキャラクターや言葉遊びを絡めた台詞などが印象的です。
なぜ聖地巡礼からめだかボックスをいきなり持ち出したのか。
実はこの作品に登場する人物の苗字は全て九州に実在する地名から取られているのです。
公式ガイドブックの西尾維新による解説でも「『めだかボックス』の登場人物の苗字がすべて九州地名由来であることは今となっては周知の事実だろうが」と書かれています。
連載当時そのことに気づくと、九州に生まれ育った私は新しい人物が出る度にこの苗字はどこだ、なんて思いながら作品を楽しんでいました。
そしてまた、作品を読みながら沸々と思っていました。
「いつかこの地名を全て巡りたい!」
まだあまり聖地巡礼という言葉も一般的でなかった時代、そんな思いを抱えて約10年。
いつしか就職し、その仕事の中で九州を廻るなかでそうした思いは日に日に膨れ上がり、その結果…………
廻って来ました。これから細かい話をしていきますのでお付き合いください。
なお、これから先はめだかボックスの内容に触れていきますので「まだ読んでない」「新鮮な気持ちでめだかボックスを読みたい」という人は少年ジャンプ+に行ってください。
―準備―
まず各地を廻るにあたり、
めだかボックス全22巻
公式ガイドブック「めだかブックス」
小説全5巻、アニメ2期全24話
以上の作品群を確認します。
苗字の検索に関しては「地名辞典ONLINE」を使用し、九州圏内でヒットしたものを確認していきます。
そしてその検索結果を基に人物名とその地名をエクセルシートに記入していきます。
この作業を繰り返し親・兄弟など同じ苗字になるキャラ、本名が設定されていないキャラクターを除いて数えた結果、めだかボックスに出てくる九州の地名は全108ヵ所。人間の煩悩の数と同じですね。
なお、「言い間違い・妄想での呼称はカウントしない」ので「十島くん(阿久根高貴)」「小林さん(廻栖野うずめ)」「螢川さん(須木奈佐木咲)」の3つは今回含んでいません。
同一人物の「名瀬夭歌」「黒神くじら」はどうなのか、という話ですがこれは劇中終盤「未来へのブーケトス編」にて別扱いである、と明言されていますので今回はそれぞれを一人の人物としてカウントしています。
また、苗字となっている地名の中には九州の中にも複数箇所同じ地名が存在する場所がありますが、原作者たちからここはここだ、と明言されていないので私が廻る中で写真を撮れたもので紹介します。
前置きが長くなりましたが早速いきましょう!
聖地巡礼
ここから先は基本的に劇中での登場順に紹介していきますが、一部順番が変わることもあります。
なお、区分に関しては電子書籍で発行されたカラー版での区分に基づいて名前を付けています。
生徒会執行編
黒神めだか/真黒/くじら/舵樹/亡=鹿児島県黒神町
人吉善吉/瞳=熊本県人吉市
不知火半袖/半纏/袴/半幅=熊本県宇城市不知火町
まずは作品での主要人物の3か所。
原作者が九州旅行をした際、この3つの地名を見た事が九州の地名を名付けるにあたった発端になったそうです。
他の生徒会の面々、メインで活躍した人物は後々紹介していくので次は作品の舞台となる箱庭学園の生徒について紹介します。
「生徒会執行編」と名付けられためだかボックスの序盤は各話生徒のお悩み解決を主軸とした一話完結の方式が基本となっていて、必然的に毎話一人は新しいキャラ=地名が出てきます。その結果として…
これだけの生徒が出てきます。
まずは1話目から出てくる剣道部員を紹介すると、
門司真罅 =福岡県北九州市門司区
宇佐驚斎 =大分県宇佐市
鳥栖木曜 =佐賀県鳥栖市
伊万里鞠 =佐賀県伊万里市
指宿静寂 =鹿児島県指宿市
中津念義 =大分県中津市
湯布院献景 =大分県由布市湯布院町
嬉野然 =佐賀県嬉野市
これだけの数が1話目で出てくるというのだから最初からアクセルベタ踏みです。
日向瞬 =宮崎県日向市
有明ありあ=福岡県柳川市有明町
諫早いさぎ=長崎県諫早市
秋月漆 =福岡県朝倉市秋月
鹿屋必修 =鹿児島県鹿屋市
八代拳奈 =熊本県八代市
夕原兆 =福岡県北九州市八幡西区夕原町
阿蘇短冊 =熊本県阿蘇市
そして1話目の日向を含めそれ以降の話で登場する学園生徒たち。鹿屋市、八代市など比較的大きな市町村などはこうしたゲスト的な生徒に割り振られている印象です。
なお、この中の「有明」ですが九州には海苔の生産で有名な有明海があり、その沿岸沿いを中心として有明、という地名が複数箇所存在します。
また、原作以外にも生徒会執行編が原作となるアニメ1期のオリジナルエピソード(12話「黒神めだかがいなくても!」)で登場した将棋部の二人もきっちりルールに従い九州の地名から取られています。場所はそれぞれ以下の通りになります。
餅原沙小枝=宮崎県北諸県郡三股町大字餅原
鉈山粍 =鹿児島県南さつま市鉈山
阿久根高貴=鹿児島県阿久根市
鍋島猫美 =佐賀県佐賀市鍋島町
城南捌平 =熊本県熊本市南区城南町
続いて生徒会書記・阿久根高貴を含む柔道部員の3人。
「城南」という地名が文字通り城の南、という由来であるので鹿児島市、福岡県久留米市、福岡市城南区……とこちらも九州各地に点在しています。
喜界島もがな=鹿児島県大島郡喜界町(喜界島)
屋久島有無路=鹿児島県熊毛郡屋久島町(屋久島)
種子島率 =鹿児島県熊毛郡種子島
そして生徒会会計・喜界島もがな含む競泳部は水に関係する生徒らしく全て離島が元になっています。喜界島で看板を撮る時、地元のおっちゃんらしき人が丁寧に綺麗な景色の撮れるフォトスポットを教えてくれたのが申し訳なかったです。
そして競泳部にはもう一人部員が存在します。
伝説の存在…………
奄美大島先輩!!!!(嘘)
そしてアニメ1期目でも対決のクライマックスともなる風紀委員を紹介します。
雲仙冥利=長崎県雲仙市
呼子笛 =佐賀県唐津市呼子町
鬼瀬針金=大分県由布市鬼瀬
まずは委員長の雲仙冥利をはじめとしてメイン格で活躍した3人。
千々石等星 =長崎県雲仙市千々石町
野母崎兜 =長崎県西彼杵郡野母崎町
児湯灯 =宮崎県児湯郡
八女菓石 =福岡県八女市
国東歓楽 =大分県国東市
吉野ヶ里卵殻=佐賀県神埼郡吉野ヶ里町
そしてその他の風紀委員達。
因みに序盤で生徒会メンバーを襲っていた「国東」と「吉野ヶ里」は実在する市のどちらにも弥生時代の史跡を再現した施設があるという共通点があります。
なお、生徒会執行編で出てきた「木金コンビ」は劇中でもファンブックでもそれぞれ本名が設定されていない為今回の巡礼では対象外となりました。いつか彼らの本名が分かる日も来るのでしょうか。
十三組の十三人編
さてお次は十三組の十三人(サーティーン・パーティー)編。アニメではここが2期目にあたります。
宗像形 =福岡県宗像市
高千穂仕種=宮崎県西臼杵郡高千穂町
古賀いたみ=福岡県古賀市
名瀬夭歌 =鹿児島県名瀬市(現:奄美市)
都城王土 =宮崎県都城市
行橋未造 =福岡県行橋市
まずは表の六人(フロントシックス)の6人。
この中の「古賀」という苗字は実際に九州に多く存在する苗字なのですが、地名としても九州に数多く存在する地名です。
糸島軍規 =福岡県糸島市
湯前音眼 =熊本県球磨郡湯前町
百町破魔矢=福岡県柳川市三橋町百町
筑前優鳥 =福岡県朝倉郡筑前町
鶴御崎山海=大分県佐伯市鶴見半島
上峰書子 =佐賀県三養基郡上峰町
そして裏の六人(プラスシックス)の面々。
私はこの中だと湯前ちゃんが好きです。上裸オーバーオールってすごない?
また劇中には十三組の十三人以外にも十三組の生徒は登場します。
牛深柄春 =熊本県天草市牛深町
平戸ロイヤル=長崎県平戸市
直方賢理 =福岡県直方市
アニメでもこの3人は一瞬でやられていますが原作では生徒会以外の生徒が動く場面やおまけ描きおろしなどでちょくちょく平戸ロイヤルは出番があるという美味しい役回りです。
対馬右脳/左脳=長崎県対馬市
そして競泳部に続いて離島が元になった人物が登場。写真が暗いのは旅費をケチって早朝にフェリーで対馬に向かったからです。
さて次は作中屈指の人気を誇るあの人物です。
球磨川事件編
球磨川禊=熊本県人吉市 球磨川
めだかボックスを読んだ人間大体好きになる球磨川禊。劇中でも因縁ある善吉の元になった人吉市にあるのは何か感じ入るものがありますね。
ちなみに僕は手ブラジーンズ推しです。
江迎怒江 =長崎県佐世保市江迎町
蝶ヶ崎蛾々丸=長崎県蝶ヶ崎
志布志飛沫 =鹿児島県志布志市
続けて-13組の生徒。蝶ヶ崎は港町といった場所の近くにあってトランプを武器に使ってそうな人はいませんでした。
日之影空洞=宮崎県西臼杵郡日之影町
前生徒会長の日之影先輩。ここに住んでいる方には申し訳ないですが自然の豊かなひっそりとした場所でなんだかキャラのイメージにあっている場所だな、と思いました。
黒神めだかの後継者編
安心院なじみ=大分県宇佐市安心院町
そしてまたもう一人、人気キャラの安心院なじみは大分に存在します。
読み方は当然「あんしんいん」ではありませんので訪れる時には気をつけてください。
鴨池多々郎 =鹿児島県鹿児島市鴨池
羽衣唯無 =福岡県北九州市八幡東区羽衣町
曽於消希 =鹿児島県曽於市
荒生田くるみ=福岡県北九州市八幡東区荒生田
劇中では球磨川の一言により一瞬で潰された中学生4人。見事に福岡と鹿児島から2:2で選出されています。
喜々津嬉々 =長崎県諫早市喜々津川
財部依真 =鹿児島県曽於市財部町
与次郎次葉 =鹿児島県鹿児島市与次郎
鰐塚処理 =宮崎県鰐塚山
希望が丘水晶=大分県大分市希望が丘
そして登場から色々と活躍を続けた中学生達。
「希望が丘」は本当に住宅地も住宅地で上の写真はそこにあった自販機の住所情報を撮影しています。
十二町矢文 =鹿児島県指宿市十二町
赤青黄 =福岡県田川郡赤村
飯塚食人 =福岡県飯塚市
米良孤呑 =大分県大分市米良
上無津呂杖 =佐賀県佐賀祖富士町大字上無津呂
廻栖野うずめ=大分県大分市廻栖野
大刀洗斬子 =福岡県三井郡大刀洗町
長者原融通 =福岡県糟屋郡粕屋町長者原
そして中学生たちに立ちはだかった各委員長達、及び生徒会戦挙などで活躍した長者原君。
「赤 青黄」と名前だけで見るとふざけた名前に見えるんですがこれもしっかり実在する地名なあたり九州の地名の奥深さを思い知ります。
長者原は上で紹介した福岡以外にも大分の方に同一の地名が存在します。
鶴喰鴎/梟/鳩=熊本県八代市坂本町鶴喰
そして鶴喰という地名も当然実在します。
この聖地巡礼をしてると一見すると変わった地名も人によってはハガキに書いたり、ネットで住所を入力する際に打ったりしてると思うと不思議な感覚です。
ちなみにこの「鶴喰」に至る道中、マジで人の気配がなくってビビり散らかして車で走ってました。
須木奈佐木咲 =宮崎県小林市須木奈佐木
八人ヶ岳十字花=長崎県西海市西彼町平山郷
不老山ぞめき =長崎県松浦市調川町松山田免不老山
後に紹介するグッドルーザー球磨川でも登場する「キヲテラエ」の面々は山などの自然から取られた名前が多いです。
漆黒の花嫁衣裳編
潜木もぐら/怪儡=長崎県佐世保市潜木町
寿常套/蜃気郎 =福岡県福岡市博多区寿町
桃園喪々/幻実 =福岡県北九州市八幡東区桃園
贄波生煮/錯悟 =宮崎県日南市南郷町贄波
叶野遂/仮輝 =大分県竹田市萩町叶野
杠かけがえ/偽造=佐賀県佐賀市三瀬村杠
花嫁候補の6人。「叶野」や「杠」など結構山深い地方に存在する地名が多いです。
なお、「寿」も一般的な名前故にか九州各地に点在する地名です。
兎洞武器子=大分県中津市本耶馬渓町西屋形兎洞
「兎洞」、検索しても殆ど情報が出てこず、事前にGoogleマップを見ても山の中過ぎて本当にこの写真が撮れるのか着くまで不安でした。
なおこの写真を撮ったバス停もこのような山間にあるので撮ってる時にめっっっちゃ虫寄ってきて最悪でした。
虎居砕=鹿児島県薩摩郡さつま町虎居町
健全的フラスコ計画1期生で生徒会庶務の虎居砕。
「虎居」に「砕」って名前、普通にカッコ良くないですか??
不知火知不編
さて物語もそろそろ終盤。流石にここまで来るとあまり新キャラも出てきません。
獅子目言彦=鹿児島県鹿屋市獅子目町
鹿児島にあるひっそりとした町。ここが不知火の里のモデルか?と思うくらいにひっそりした場所でした。
未来へのブーケトス編
これが一応の括りとしては本編最後のシリーズとなります。
久々原滅私 =福岡県柳川市久々原
椋枝閾 =福岡県北九州市八幡西区椋枝
杁理知戯 =福岡県遠賀郡水巻町杁
啝ノ浦さなぎ=大分県国東市国見町小江
全くの新キャラではないですが小説版の方で先行登場していた先生方4人はここで本編に初登場。
朳(えぶり)に啝ノ浦(なぎのうら)と初見での読みの難易度が高すぎる。
そして最終話間近。「百輪走」でこれまでの登場人物が総登場などもう新しいキャラの出てくる余地なんてないですね。
流石にここで新キャラなんて………
五島列島……?
五島列島!?!?!?!?
五島列島六腑=長崎県五島市
最後の最後で離島をもってくるんじゃあない!!!!
五島列島をもって本編からの登場人物は以上!
ここからは外伝作品などに登場する人物を紹介していきます。
グッドルーザー球磨川
蛇籠飽 =熊本県八代市蛇籠町
練兵癒 =熊本県熊本市中央区練兵町
花熟里桃=鹿児島県日置市吹上町花熟里
坂之上替=鹿児島県鹿児島市坂之上
般若寺憂=鹿児島県姶良郡湧水町般若寺
まずは水槽学園生徒会の面々。こちらは九州南方面にある地名が多い。
なお、西尾維新の解説でも書かれているが「花熟理」は誤植で正しくは「花熟里」である。
鉄砲撃 =福岡県田川市伊田鉄砲町
箞木盟 =佐賀県唐津市厳木町箞木
焼石櫛 =福岡県大牟田市焼石町
隠蓑既/済 =福岡県北九州市小倉南区隠蓑
画図町筆 =熊本県熊本市東区画図町
続けて小説・アニメで出ていた水槽学園の生徒の面々。生徒会の面々とは逆にこちらは九州の北方面にある地名で固められています。
ジュブナイル 小説版
千怒憖(なまじ)=大分県津久見市千怒
続けて小説版・ジュブナイルで登場したキャラクター。
小説版のカラーイラストが艶めかしくてエッチです。
公式ガイドブック「箱庭図鑑」
御船いふ=熊本県上益城郡御船町
誰?と思った方は安心してください。これは本編では登場していない、公式ガイドブックで初めて描写されたキャラクターになります。
赤坂=福岡県福岡市中央区赤坂
別府=大分県別府市
そしてこの二人はもっと誰だ?と思うでしょう。
この二人は本編には出ていない、読み切り版にのみ登場したキャラクターになります。勿論読み切りにおいても地名縛りは健在で、名ありのゲストキャラの二人はしっかりと実在する地名から取られています。
なお、「赤坂」「別府」という地名どちらも九州に点在していますが、特に「別府」というのが厄介です。
というのも同じ字を書いていても「べふ」「びょう」「びゅう」と読み方がバラバラなのです。
以上をもちまして本編外のキャラクターも紹介終わりとなります。
終わりに
以上読み切り版含め108か所のめだかボックスに出てきた地名を聖地巡礼してきました。観光に関しての情報は殆どなくてつまらないと思ったかもしれません。
というのも廻った箇所は観光地として紹介できる場所もありますが、その大半は住宅地だったり普通の街中だったりとそうした観光に適しているとはいえない場所なのです。
では何をもって聖地巡礼といえるのか?
他のアニメのように分かりやすいパネルがあるわけでもない、行った先にめだかボックスたらしめるものがあるわけではないのは写真を見ていれば分かると思います。
ただ、それでも。
自分の眼で見て己でその地名が実在することを確かめた、それが自分にとっての聖地巡礼でした。
冒頭の引用からも「登場人物(キャラクター)の名前の由来地や同名地など、思い入れのある場所=聖地を実際に訪れ、憧れや興奮に思いを馳せることを「巡礼」と呼ぶ」と言いますので今回のは間違いなく、私にとって「めだかボックスの聖地巡礼」だったのです。
世界は平凡か? 未来は退屈か? 現実は適当か?
安心しろ。それでも…
聖地巡礼は、最高だ!!!!!!
次回は「School Rumble(スクールランブル)に出てくる地名を巡る」の企画でお会いしましょう。
それではさようなら。
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