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自分にとってのサンフレッチェ広島

私はJリーグが大好きだ。そして、サンフレッチェ広島が大好きだ。

自己紹介で「Jリーグが好きです!」と言うと、9割9分「どこのチームが好きなの?」「どこファン?」と聞かれる。そうすれば、すかさず「サンフレッチェ広島です!」と答えるのだが、私は以前からこれがなんだか好きじゃなかった。

確かにJリーグが好きだし、サンフレッチェ広島が好きだから別に問題ないはずないのだが、モヤモヤが残っていた。
というのも、こういう問答をしていると私という人間が相手にとってただの「サンフレッチェ広島のファン・サポーター」になってしまうのではないかという危機感があったのだ(この結論に至るまでにもかなりの時間を要した)。

Jクラブのファン・サポーターは、私がいままで見聞きしてきた範囲で言うととにかく「自クラブ至上主義」の印象が強い。他クラブを貶し、他クラブに対して異常なまでのアレルギー反応を見せる。

もちろん、そうでない人もたくさんいるが、日本でJリーグと肩を並べるかそれ以上の規模・人気を誇るプロ野球、近年注目が集まっているBリーグに比べるとそうした傾向が非常に強いように感じる。

それが全て悪いというわけではないと思う。
ただ、小さい頃から私にそれは合わなかった。
なぜなら、私は広島から遠く離れた東京にいたからだ。

周りにはヴェルディ・F東京・浦和・川崎Fなど首都圏のクラブを好きな友達がたくさんいた。そんな彼らと毎日話すことでどんどんJリーグを好きになっていったし、「サンフレッチェ広島を好きであること」が私にとって一つのアイデンティティになった。

さらに言えば、常に自分のそばにあったのはヴェルディであり、F東京であり、最初にJリーグの魅力を私に教えてくれたのは彼らだった。

だから、私はサンフレッチェ広島を愛するために、自分の中で他のクラブを下げること、嫌うことをしたくなかった。
そして、周りにも私自身が「サンフレッチェ広島が好きなあまり他のクラブのことを悪く言う人間」だと思ってほしくないというわがままな気持ちがあった。

そうした自分の面倒くさいポジショニングをどうにかして伝えたいと思って考案したのが「Jリーグ好き・サンフレ推し理論」である。

これは「例えば、乃木坂46の堀未央奈を推してるからって、他の乃木坂メンバーのこと嫌いなわけじゃないでしょ?白石麻衣も生田絵梨花も好きでしょ?自分の場合は、乃木坂46の部分がJリーグに、堀未央奈の部分がサンフレに置き換わってるって感じだよ!」といった感じで使っていた。

要は大前提としてJリーグが大好きで、その中で特に好きなのがサンフレッチェ広島であるだけで、他のクラブに対してもポジティブな感情を持っているということを伝えようとしていた。

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ただ、この理論に関しても段々と違和感を覚え始めた。
というのも「推し」という言葉が、私にとってのサンフレッチェ広島という存在を適切に表現できているのか疑問を抱いたからだ。

サンフレッチェ広島は私の中でもっともっと大きな存在であるはずだという気持ちがあった。

そして、サンフレッチェ広島と出会った2007年3月3日からのことを振り返った。

2007年の開幕戦、降格。2009年、味スタで初めてのサンフレ応援。等々力での0-7。2010年のナビスコFINAL。2011年、サプライヤー変更、初めてのレプリカユニフォーム。コカ・コーラウエスト広島スタジアム。2012年、等々力での勝利。テレビで見た雨のビッグアーチ、初優勝。2015年、初めての日産、BMW。2017年の降格危機。2018年の大失速。2019年、初めてのバイト代で買ったユニフォーム。2020年、応援に行けないつらさ。

そして、試合以外でも、
味スタで衝撃を受けてすぐにランドセルの色は紫がいいと駄々をこねて両親を困らせ、折衷案として紺色になったこと。筆箱をサンフレッチェのものにしたこと。2010年まではミズノ、2011年からはナイキのスパイクを贔屓目に買ってきたこと。コンフィットTシャツを学校に着て行ったこと。サンフレッチェの財布を使っていたこと。広島出身の有名人は自然と応援してしまうこと。図工・美術の作品には絶対に紫色の絵の具を使ったこと。家の車を買い替えるときには絶対にマツダを推すこと。パスケースは絶対に紫色のものにしていること。エディオンのお店があるとちょっと嬉しくなること。新宿駅のハイセンスの看板をつい見てしまうこと。

私がサンフレッチェ広島と出会った試合

振り返ると、常に私の中にはサンフレッチェ広島がいた。
サンフレッチェ広島とともにこの14年生きてきた。

そして、いつの間にかサンフレッチェ広島は私の血肉となっていた。
今、私の体の中には明らかに紫の熱い血が流れている。

青赤の血に触れようが、緑色の血を摂取しようが、私の中を流れる濃い紫の血が変化するようなことは起こり得ないという安心感がある。「青赤の血に触れた紫の血」「緑色の血を吸った紫の血」にはなるが、紫であることには変わりない。

だから、私は「Jリーグが好き」と言える。サンフレッチェ広島以外のクラブも好きになれる。

自クラブを愛するあまりに他クラブを貶す人たちは、恐れているのではないだろうか。
自分が他クラブに、他の色に触れることで、自分のアイデンティティが失われてしまうことを。自分の血が変わってしまうことを。

サンフレッチェ広島があるから、私はJリーグを心の底から愛せる。
サンフレッチェ広島が好きだと絶対的な自信をもって言える自分自身がいるから、私はJリーグの全57クラブを愛せる。

私にとってのサンフレッチェ広島はもはや好きとか嫌いとかの次元の存在ではない。
もう自分の一部になっている感覚だ。

私は、生涯サンフレッチェ広島を、Jリーグを愛し続けていく。

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