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排泄とゴミとひとりとしあわせ

お酒を飲んで限界だった。電車から降りて改札手前のトイレに行った。30ミリくらい残された流行の飲み物の容器や着た事のない服屋の紙袋が捨ててあった。用を足し、人感センサー機能がついた便器は立ち上がっただけで真っさらになった。

自宅よりもちょっとだけ広い洋室のトイレの中、ゴミと便器だけが綺麗だなと思った。
手を拭くはずだった伊勢丹で一枚千円のタオルはどこかに置き忘れたようだった。あまり好きではないけれど、空気圧で水を吹き飛ばすやつで滴をはらった。

定価四万円の服を一万で買った。三万円も得して嬉しいと舞い上がった。九万を分割で買った携帯について来たイヤホンで月額四百八十円の音楽を聞いた。
寒いと顔を埋めたマフラーは数年前、新しいものを買ったからと、母から譲り受けたものだった。

イルミネーションがキラキラと光っていた。全然好きじゃないと、心の中で牙を向けた。人がまばらに立っている、駅のホームは寒かった。ふかふかの椅子に腰をかけ、車内の暖かい空気とふくらはぎに当たる温風に頭がふらついた。

階段よりもエスカレーターが楽だから、エスカレーターまで歩いた。

お湯を沸かすのが面倒だから、コンビニで暖かいコーヒーを買う為レジに向かった。お金を置く為の青い台よりも手前にコンビニ店員の手が出て来た。その手の横には透明な緑の箱、遠い国の誰かのための募金箱があった。

今日は面倒だからお風呂は明日の朝にしよう。タバコを吸うからと少し良い歯磨き粉をいっぱいつけた歯ブラシを歯に突き立てる。

いつかの私は、憂鬱な気持ちだからたくさんお菓子とか食べちゃって、気持ち悪くなってドロドロのほとんど水気のないお菓子味のゲロを吐く。生臭くもかすかに美味しい味が口いっぱいに広がって、涙目になりながら明日を思ったりする。顔が浮腫んじゃうかなあって。

凄く、凄く、嬉しいです。ペンを買います。