そして私は動き始めた

空白の2年半は顔面痙攣に関する記憶が欠如している故何もやっていなかったという印象しかない。私が手始めに鍼治療を始めたのが2019年2月なのだが、おそらく2018年秋ぐらいには症状が悪化していたと思う。衝撃を受けたのはご飯を食べている最中に勝手に左目が閉じてしまいご飯が見えなくなってしまったことだろう。ほんの数十秒のことだと思うのだが、開けたくても開けられない感覚、コントロール不能な感覚がなんともつらかった。またこの頃にはまぶたが勝手につりあがるという現象も起き始めていたと思う。口元の痙攣が下にゆがむ感じだったのに対しまぶたの痙攣は上につりあがる感じで顔がバラバラになってしまうような、不気味な感覚であった。朝起きてあくびをする、歯をみがく、ご飯を食べる、笑う、ありとあらゆる顔面の動きが痙攣を誘発しているようだった。

この頃はまだ手術という選択肢は考えられなかった。脳の手術なんて怖すぎた。そこで痙攣当初から夫がすすめていた鍼治療について調べ始めた。いくつか顔面痙攣を得意とするという謳い文句の鍼灸院を見つけまずは自宅から通いやすいところに行くことにした。いざ調べ始めるとかなりの確率で顔面痙攣を治していると宣伝しているところもあり、“上手なところにいけば治るのでは?”という希望もいただきつつ。 “鍼治療で神経と血管を離せるのか?どうやって?”という素朴な疑問はあったものの、手術を受けずに治るなら、いや治らなくてもせめて軽減してくれるなら、と藁にもすがる思いで予約をとった。

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