スウ・ドン剣法免許皆伝70「来いよ」の一歩に驚きを
柱の三本目の技の所で「打たせる手立て」を考えて実践した中で「来いよ」の一歩に驚いている。打たれたくないと引っ込めるのでなく、そんなに打ちたいのかい、そんなら打ってごらんと面を差し出す、小手を差し出す、一足一刀の間合いをあげるからチャンスだよ、ホラ打って来いよと中へ一歩入る。「来いよ」と入って「来ないのかーい」と、来るを擦りあげ抜き払いして打つ。「出て来いやあ」の心を込めて「Yua」と声を出しながら、身はやんわりと乗り出して、相手の打ちを引き出すという感じだ。ちなみに、「Ya-」でなく「Yua-」がより力強い発声が出来る。打ちに来させるのが第一目的なのだがもう一つ、「来いよ」と入って「来ないのかーい」と面を打つ技にもトライしてみた。鋭く入れば出て来れないだろうとか、防いで手元が上がるだろうとか、予測して打って行くという感じ、これが見事に一本決まるのだ。見た目は二足一刀、自分から打ちに行ってる面にしか見えない。鋭く飛び込んで打つ技は、上達者には通じないはずなのに、何人の相手に決まっただろう。打たれた相手も「ウーンヤラレタ」と認め、こちらも、久々にこんな充実したバクンと面を打てた気がする。相手も驚いているが、自分も驚いている。何故だろう!深く深く考えた。「行くぞ-」の仕掛け技一本は自分の事しか考えていないから、相手の反応は見えない。だから打たれる事もある。「来いよ-」は相手の事を見ているから、出て来るのも出て来ないのも見える。相手より先に「来いよ」の行為をする事が、剣道の「先」であり「攻め」である。ただし、相手が満々と出端を狙っている所に行けば打たれてしまうので、その見極めやそうなる前の先が大事である。恐い思いを振り切って「打たれに体を前に出す」命の捨て身の一歩入りが出来るかどうかが問題だ。「来いよ」と「行くぞ」は見た目は同じ。だから相手は「来たか」と防ぐ、でも来ないので防御を下ろす、そこをこちらは打ちに行く。「来いよ」と「来ないのかーい」の間には少しのタイムラグがあるという感覚かも知れない。鋭く入るのがポイントで、攻めて相手の崩れた所を打っているから、見事な一本と思うが、仕掛けて打っているから、高段者の受審では歓迎されない技かなという気もしていた。でも、皆伝49スイゲツゼンヲマチニシテの所を読み返してみて、間違いなく立派な技だと自信を持った。審査でやれる度胸はないが、試合では「うーんどうしよう」と迷うことなく、一気に一勇発揮して、危険地帯に飛び込んでみよう。地雷があればオシマイだけど、無いかも知れない、無い地雷を恐がってどうするか「エエイーイッタレイ」「打たせる勇気」と「打たせぬ躱しと捌き」を磨けば、「打たせる剣」は「打たれん剣」になる確率は高いのだ。無敵が俺を呼んでいる。
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