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壁がくずれたから

人間とは不思議なもので、
時に自分の記憶を変化させたり、封じ込めてしまったりしてしまう。

私が閉じ込めていたのは、「嫌な自分」の犯した罪。
嫌な自分の事を考えるのが嫌で、バシッと封じ込めて忘れていた。

それはもう40年程も前の人間関係の事だったけれど。

ところが、最近関わった悩める中学生にもらった言葉
「私は周囲の人に恵まれているんですよ」に
私の記憶が反応したのだ。
「私も恵まれているんだよなぁ…」
そうやって過去をふいに振り返った瞬間、
その記憶を封じ込めていた壁が崩れて、
ドドドッ!!と沢山の思い出が蘇った。
「どこにこんなモノを」と思う程、小さな事まで隠してた。
本当に人間の記憶って凄いな、と我ながら感嘆した。

ともあれ、私は急に思い出したその時の場面、そしてその場での感情にとらわれた。
私は、自分自身が嫌になっていたけれど、それに付き合っていた相手の気持ちは相手のものだ。今更ながらそのことにも気づいた。
こんな私と一緒にいてくれてありがとう。
そう伝えたくなった。

壁が崩れたから。
私は変われたのだ。
壁が崩れたから
私は過去の私に向き合う事ができた。
壁は自分で作っていたのだけれど、
誰かがヒョイと崩してしまうものかもしれない。
そんなパワーを持っていたあの中学生にも感謝だ。

私は周囲に恵まれている。
壁のない今はとても幸せだ。

花音:中平和寿子


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