記憶冷凍 毎週ショートショートnote
最近、かなり記憶力が落ちた。
夜眠る度に記憶の幾つかが消えていくような気がする。
私担当のAIロボ、ミドリは言う。
「あなたの記憶の消失分は私の中に冷凍保存されています」
そうだ、私の記憶が私のものではなくなるって事だった。私は納得できないがミドリと争う気は無い。
「ね、ミドリ。散歩に出かけない?」
「はい、ご一緒します。最近歩いておられないので心配でした」
久しぶりの外気。最近の空気製造装置はかなりのレベル。私の好みにも合う。映像の自然の中を歩くが嘘っぽさもかなり修正されている。
ふと、ミドリに尋ねた。
「あなたが管理している私の失くした記憶、これからどうなるの?」
ミドリは私が知らなかったことに驚いたようだ。それも失われた記憶の一つなのかミドリは確認しているようだ。
少しの間があり、ミドリの返事。
「あなたが荼毘に付される時、消失した記憶をお返しします」
炎に解凍された私の記憶は一体どうなってしまうの?
記憶って、燃えるのだろうか。
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たらはかにさんの今週のお題『記憶冷凍』です。
忘れた記憶もどこかで保管されているのでは、という発想で書きました。
本当に沢山のことを忘れていっている私です😭