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雨の七夕 青ブラ文学部

乙姫が特別な携帯電話で呼び出したのは織姫。
「ねえ、織ちゃん。もう7月になったわね。今年も七夕パーティーのご招待ありがとう」
「乙ちゃんも出席してくれるわよね」
「もちろんよ、何か素敵なプレゼントをって思っているのだけど欲しいものある?」

「そうね、乙ちゃんのプレゼントなら何でも嬉しいけれど……」
「織ちゃん、はっきり言いなさいよ、遠慮なんてしないでね」

「実はね、乙ちゃん。私ボーイフレンドが欲しいの。一年に一度会えるかどうかって彼氏、寂しすぎるわ」
「そうよね。私の彼氏は3日間だけだったし。私も次の彼氏が欲しいわ」

「ねえ、乙ちゃん。二人で笹の葉を手に入れて、短冊に願い事を書いて神様にお願いしてみない」
「そうよね、織ちゃん、神様に私たちだって願い事をしても良いわよね」
「そうと決まったら乙ちゃん、笹を探してこちらに早めに来てくれる?」
「うん、了解」

乙姫は電話を切ると、早速竜宮城を飛び出して素敵なササを探し出した。
姿形は申し分ない。笹の良い匂いが鼻孔をくすぐる。ワクワクする。
乙姫は天の川の近くに住む織姫の元へ。


二人で人間たちがするように笹を様々なオブジェで飾る。星もピカピカの本物。たいそうな七夕飾りが出現した。
天の川の住民は七夕飾りに大喜び。皆んなで七夕の歌を歌ったり、踊ったり。


乙姫と織姫はそれぞれの願い事を短冊に書いた。
そして笹に結び付け、神様に願った。

七夕パーティー当日
二人の様子を見ていた織姫の父、天帝はため息を一つ。
そして涙が……。
それは甘露の涙だったのか悲しみの涙か、はたまた嘆きの涙か。
天帝の涙は雨となり、地上に落ちていった。



おしまい


山根さん、参加させて頂きありがとうございます。
書いていて楽しかったです。
どれ程の雨が降ったのか、二人の願いが叶ったのか不明ですが。


#青ブラ文学部
#雨の七夕